♯7 アーセナルにオーバメヤンは必要か否か


 今回は、規律違反によりサウサンプトン戦ではベンチ外となったオーバメヤンについて述べていこうと思う。

 どうやらプライベートで国外へ行ったものの、チームとの合流が遅れたためこのような措置をとったとのことである。

 オーバメヤンの規律違反は今回が初めてではなく、昨シーズンの第28節のトッテナム戦でも練習に遅刻したことでベンチスタートとなっている。(ちなみにこの試合は2-1でアーセナルが勝利)また、前所属のボルシア•ドルトムントにいた頃にも何度か問題を起こしている。ドルトムントからアーセナルに移籍する際にも、練習をボイコットして強硬手段を取っていた。

 それでも、これまでオーバメヤンは結果を出し続けてきた。ドルトムントにいた16-17シーズンには32試合で31得点を決め、レバンドフスキ(30得点)をかわして得点王になっている。さらに、アーセナル移籍後の18-19シーズンにも36試合で22得点を決めてサラー、マネと共に得点王に輝いている。翌シーズンは得点王こそヴァーディーに譲ったものの、22得点を決めている。

 不調に陥ったキッカケは…

 歯車が狂い始めたのは、契約延長したころからだろうか。2020年9月15日に3年の契約延長。ボーナス込みで週給35万ポンド(約4700万円)。当然チームトップである。だが、その後は不調が続き、昨シーズンは29試合10得点。アーセナルのエースが10得点では物足りなさすぎる。今シーズンも序盤こそ9試合4得点と悪くないスタートだったが、その後は得点なし。前節のエバートン戦では規律違反前にも関わらず、ベンチスタートだった。しかも、オーバメヤンより先に出場したのはそれまでリーグ戦わずか1試合しか出ていなかったエンケティアだった。これは本人からすれば屈辱的だろう。契約延長が直接的な原因なのかは定かではないが、エジルの前例もある(他チームでいくとデヘアやアレクシス•サンチェスもこれに該当するだろう。)ため、週給が跳ね上がったことでモチベーションが低下した可能性も大いに考えられる。アーセナルといい、マンチェスターユナイテッドといい、近年は不調に陥っており、経営陣のやりくりの下手さが成績にも表れていると言っても過言ではない。

 そもそもアルテタの志向するサッカーとは相性が…

 考えられる理由は他にもある。それはミケル•アルテタの存在だ。アルテタは2016年から2019年までペップ•グアルディオラ監督の下で、マンチェスターシティのアシスタントコーチに入閣。その後、2019年の冬にアーセナルの監督に就任し、現在に至る。オーバメヤンは裏への抜け出しや、左サイドからのカットインが主な武器である。しかし、アルテタが志向する戦術は、ショートパスから相手を崩すスタイルであるため、オーバメヤンの個性が殺されている印象である。

 ただ、そもそも昨シーズンはチーム自体の成績も悪かったというのも原因の1つではあるだろう。リーグ戦は8位に終わり、25シーズンぶりに欧州カップ戦の出場権を得られなかった。だが、それは一昨シーズンも同じである。ヨーロッパリーグの出場権こそFAカップを制覇したことで得られたが、順位は同じく8位。にもかかわらず、そのシーズンは先述した通り、リーグ戦で22得点を挙げており、低迷したチームの中でも孤軍奮闘の出来であった。つまり、オーバメヤンが不調の原因の1つにはアルテタとの相性も挙げられる。

 それでも、今シーズンは序盤の9試合で4得点。悪くない出来であった。確かにアルテタの戦術との相性は悪く、消える時間帯も多かったが、それでも少ない決定機をモノにして得点を奪っている。

 しかし、ここ最近では、そのチャンスすらも外している印象だ。それが立て続けに起こることで自信を失い、点を取れずにいるような感じが受け取れる。

 早ければ冬にも…

 私個人的な意見を言うと、オーバメヤンは売却すべきだと思っている。年齢的にも32歳とピークを過ぎているし、早くしないと売り時を逃す。DF陣が既に若返りに成功している点でも、ベテランの不調で足を引っ張るわけにはいかないだろう。ただ、ラカゼットとエンケティアが共に来夏に契約満了を迎えるため、FWの獲得は必須である。来夏、あるいは早ければ冬にでもオーバメヤンを売却し、即戦力となるFWを最低1人は欲しい。

 いずれにせよ、それまではオーバメヤンに頼らざるを得ない。そこで結果が出なければ放出も現実味を帯びてくる。


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