休校中、子どもに1番やらせるべきは「自分は何をすべきか」を決めさせること
今日は、教授・学習のプロフェッショナルとして一言。
もし私だったら休校中の子どもに「自分は何をすべきか」を自分で考えさせて、決めて、実行させ、チェックさせます。
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新型コロナウイルス感染拡大を予防するための、突然の学校の休校。子を持つ保護者も学校の先生も非常に驚いたことでしょう。私も驚きました。だって、戦後の学校教育で、こんなこと誰も経験していませんから。
ただ、そのとき大人は子どもの有り余った時間をどうするべきなのでしょうか。
学校の先生は日曜返上で宿題を作り、保護者は子どもが時間を有意義に使えるように遊び道具や教材、食事の準備をしたり、学童保育を申し込んだり。
でも、本当にそれって必要ですか? 一度立ち止まって考えてみても良いと思うんです。
なぜ大人が子どもの時間の使い方を全部用意してあげる必要があるんですか?
時間を持て余してしまうからでしょうか?
だったら「自分の時間を自分で管理できるようになる」ことが、最も学びのチャンスではないでしょうか。
もし私だったら、100円ショップで売っているスケジュール帳を買ってきて、子どもに渡し、1日の予定を立てさせます。
そして実行させます。勉強するもよし、遊ぶもよし。
1日の最後に一緒に振り返ります。何ができたのか、何ができなかったのか。できなかったものはどうしたら明日はできるようになるのか、明日はどうしたら無理のないスケジュールを立てられるのか、一緒に考えます。
そして翌日は、自分で実行させながら、自分で考えさせる。
何気ない1日ほど【学び方を学ぶチャンス】があります。
つい大人は【学ぶ内容】や【安全な生活】、【快適な生活】ばかりに注意しがちになってしまいますよね。
でも、結局のところ最強のスキルとは、自分で学べる人、自分で安全を保てる人、自分で創意工夫して人生をおもしろがれる人なんです。
しかもそのスキルは、基本的には不自由な環境でしか得られません。不満が生まれなければ動機に結びつきません。やってみて成功しなければ、自己効力感も得られません。
時間の使い方を考えるのは決して簡単ではありません。仕事をするにしたって、自ら仕事をマネジメントできる人もいれば、与えられるまで動けない人もいます。もちろん、子ども一人ひとり特性が違うので一概に前者が正解だとは私は思いません。
でも、もう少し子どもが一人でできることを信じてみてもいいと思うんです。子どもって、結構一人でもできますよ? あと、大人もずっと楽です。
たとえば「1日くらい昼食を子どもだけで考えて作らせる」なんて、やってみても面白いでしょう。まず1日は献立づくり。次の日は買い物。3日目に実際に作ってみる。見ていないと落ち着かなければ、3日目は土曜日にすればいい。
子どもはきっと苦労します。
でも、そこから何を学んだか、ぜひ子どもと話をしてみてください。
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ちなみに私の子ども(6歳の長女)は3月末までギリギリ保育園の年長だったので、休校の騒動には巻き込まれませんでした。
そんな長女は、我が家では「洗濯物をたたんでしまう係」をしています。洗濯物たたみに興味をもったので、役割を任命しました。
意外と難しいですよね、洗濯物の片付け。衣類の素材やサイズによってたたみ方を変える必要があるし、しまう場所も違う。どういう順番にたたみ、積み上げ、運ぶかによって工数とかかる時間、つまり生産性が変わってきます。
最初、すべて終わるのに60分以上かかっていた作業も、最近は20分になりました。仕事が終えたら、少ないですがチップを渡します。60分だろうと20分だろうと、作業が同じならチップも同じ。仕事をサゴっても怒りませんが、その時はチップなし。余った時間を何に使うのか、それも自由だし、こちらから提案することもありません。
これは勉強ではありません。でも、ちゃんと学んでいます。
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学校の先生は急いで宿題を出して子どもに課したりしていますが、出した宿題は一体誰が評価するのでしょうか。年度をまたいで学級担任が変わったらどうするのでしょうか。教育者としては、評価しない/できない宿題を子どもに出すのは、教育倫理上はあまり責任ある行動とは思えません。
スケジュールだったら、その子の特性や生活能力が分かるので、次年度の担任にとっては子どもを早く理解する良い材料になるんですけどね。
自分で考え行動することはいかに大事か。この社会で今起こっていることが、最も良い教材だと、私は思います。
子どもには、ぜひ今の社会の大人の様々な行動を見て、その難しさと大切さを直に感じて欲しいなと願っています。
最後まで読んでくださってありがとうございます!