行き当たりばったりと料理

どうしても冷蔵庫にあるものを美味しく食べたい。
冷蔵庫を見渡して、使えそうなものを探す。


使いかけの半額大入り牛肉、無料の牛脂、真ん中の黄緑のところが成長してきた長ネギの白いところ、今日使わないとやばそうなえのきを見繕った。

食材を手に取りながらチューブの新品コチュジャンを使いたい気持ちになってきたので、それでいこうという気持ちになった。

野菜が足りない気がしたので、傷んで終わりかけているフリルレタス(傷みやすい)を袋から出し、わしゃわしゃ洗った。

生野菜の水切りは大事だと聞いたので、律儀にキッチンペーパーを二枚被せてシンクの上で振り下ろす。水が飛び散る。振り下ろす。水が飛び散る。破けたキッチンペーパーを剥がし皿に乗せた。レタスは水気を帯びたままだった。悔しい。

やる気が出ない。途中まで見ていたオモコロの今日の最新動画をスピーカーから続きから流して気を紛らわすことにした。怪談回だ。

とりあえず、切りたいように食材を切る。
ネギはいつも細かく切られているので、今回は厚めに切ってみようと、斜め切りにした。頭にすき焼きのネギがイメージされた。これからすき焼きになるかもしれない。と思いながらえのきを切る。

えのきの根元を切り落とさねばならない。名前をよく忘れる。いしがき、いしずえ、なんだっけ。いしづきと言うらしい。石突き。字面が怖い。いしづきを切り落とすけれど、籾がらみたいなやつが絡んでいて仕方なく水でわしゃわしゃ洗った。洗うと旨味がなくなるとかなんとか言ってた気もするけど。

いまのところ、まな板を使わずに切っているのですべての工程が大変なことになっている。どうしてもまな板を洗いたくない。手、皿、ラップ、包装ビニールを駆使して切る。

そのせいでその辺で適当に切ろうとしたえのきは、その辺でバラバラになりかけている。切りながら気づいた。半分に切ろうとしたえのきは半分の半分まで包丁を入れられそのままそっとネギの上に避難してもらうことにした。あちこちに子えのきが散らばる。半分の半分にするのにあとで切ることにした。

とりあえず、小さめのフライパンを火にかける。
火にかけながら、棚に置いたスマホを覗きこむ。集中して途中聞いてなかったなと思い、少し巻き戻す。

牛脂をフライパンに入れて牛肉をパックから2枚取り出し、味出しのために焼く。許せるくらい火が通ったら皿に避けておく。

残り油と焦げは拭かずにネギを並べて、ネギをしっかり焼きつける。ネギはえのきの下敷きになっているので、えのきをバラバラにしすぎないようにそっと取り出すこと。ネギはかなり焼いて焦がしていいと思う。

焦げが一筋についたネギのイメージイラストを思い浮かべて、そうなるまで強火でガンガン焼く。たぶんすき焼きになっていくんだろうなというあやふやな確信とともに焼いていく。
あまりすき焼きを作ったことがないのでわからない。

ネギがいい感じに焼けたら、次の工程をどうしようか悩みながらぼーっとする。たぶん、えのきを焼かないとならない。えのきを切ろう。えのきを切った。えのきをネギの上に乗せて炒める。

ネギも生だし、えのきもなんだか火が通らなさそうなので、やけくそで水を入れた。

蒸しながら煮飛ばすつもりでいたが、だんだん火が通っていくにつれ、大量に水を入れすぎたことがわかり、より強火にしてみたり少しだけ塩を入れてみたりと軽いパニックに陥った。スプーンで水を出そうかと思ったけどいい感じのダシが出てしまっていて、きれいな茶色になっていたので仕方なくそのまま続行することにした。

たぶん砂糖を入れれば煮詰まるはずなので、小さじで大さじ1か2くらいだろうと思う量を入れた。

しばらく煮ているとわりといい感じになったので味見すると、当たり前に砂糖の味しかしなかった。なので、これを打ち消せると見込んだ量の醤油を入れた。
それでも甘かったので、諦めてコチュジャンを足した。コチュジャンは元々が甘いし、砂糖入れすぎて勝手がわからなくなっていたので、コクを求めてとりあえず多めに入れた。

間違えたらあとで考えよう。

煮込むつもりはなかったのだけど、煮物になっていた。
砂糖を入れすぎたので醤油とコチュジャンも同じくらい入れた。

一旦、お皿に避けた牛肉をレタスの上に乗せて、空いたそのお皿にコチュジャン煮を避ける。

フライパンの焦げはそのままに、残りの牛肉をフライパンへ。
さっき焼いた牛肉をレタスの上からフライパンへ。

いい感じに焼けたらコチュジャン煮を戻し絡めて、またお皿へ戻す。なにか足りないかと辣油をかけた。

味見するぶんには美味しいけど、見た目が濃そうだったので、追加でたまごを焼いて入れてみようと思い立った。

中華料理で青菜とたまごの炒め物とかがあるけど、それに入ってる炒りたまごのイメージだ。どこの国の料理だろうが参考になればいい。

さっきのフライパンにそのまま溶き卵をいれようと思ったけれど、焦げが思ったより多いのでキッチンペーパーで拭き取って使うことにした。

多めにサラダ油を入れて、強火にかける。そこに溶き卵を一気に流し入れるとふちがふつふつしてかなりいい感じになる。

なんでもいい感じだなと思える感じになるのが大事。

ふちがふつふつしはじめたら、ふちから箸で大きく円を描くのをタイミングよく繰り返しながら、真ん中にまとめていくと半熟ぷるぷるのオムレツになるので、火を止めてかたまりをほぐす。

想像のなかの炒りたまご像を求めてそれらしい大きさにする。そうやってる頃には余熱で火が通ってふわふわになっているので、コチュジャン煮牛肉入りの物体にふわっと乗せる。

黄色いたまごが主張しすぎるので、辣油を垂らすとそれらしい感じになった。さっき煮物にかけた辣油はいらなかったかもしれない。

嘘の怪談は途中で聞き終えてしまったので、どこかのタイミングで未視聴の動画を流したりする必要があった。辞書を引いて存在する単語の意味を四択クイズにして発表しあうという動画を選んだ。これはかなりよかった。発想の頭の回転が早くないとできなさそうだ。単語のチョイスも絶妙で、架空の単語みたいな語感の言葉がこの世にはたくさんあるんだなと思った。

かつおだしの粉末と、塩をお椀に入れて、お湯を注ぐだけの即席吸い物も作った。レタスを浸して具にすることもできる。

勘と思いつきで作ったコチュジャン煮牛肉入り炒りたまご乗せはご飯にかなり合っていた。
美味しい。調味料の配分は個人の好みによると思う。

ところで写真は全くない。
こういうのを書くなら写真が必要なはずだけれど、すべて思い付きのせいでなにも手元にない。スマホのカメラが割れているので撮るに撮れないというのもある。新しいスマホがほしい。

◎食材

コチュジャン煮牛肉入り炒りたまご乗せ

【長ネギ】 1/2本
【えのき】 1袋(半分でも可)
【牛肉 】 入れられる量

【コチュジャン】 好きなだけ(大さじ1くらい)
【砂糖 】 好きなだけ(大さじ1か2)
【塩】 味足りなかったら
【醤油】 味がしまるくらい(大さじ1くらい)
【牛脂】 あるとうれしい
【辣油】 あるとうれしい

【たまご】1か2個
【サラダ油】多めの適量

レタスの吸い物

【かつおだしの粉末】 小さじ2
【塩】ひとつまみ(少々とどう違うんだっけ)
【レタス】あれば

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