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骨董という世界をすこしのぞく

 最近、noteを書きたいなあというきもちをぼんやり持っていまして、じゃあなにを書くのかといえばべつになにもとくに思いあたるふしはない、というところなのだけれどもとりあえずなにか文章が書きたい。
 心にうつりゆくよしなしごとをという言葉がいつまででもひとの口に膾炙して消えずにすたれずにいるのはつまりそういうことなんではないでしょうかねとおもう昼もすがら。

 ということでひさかたぶりにnoteを書きにきました。

 以前に書いた記事を読みかえしてみるに、感染症対策であれこれ疲弊していたなあとか、むだにテンションあげてワタシラシク記事を書こうとしていたなあとか、そんなことをなつかしくおもい起こされるのでまあそれはそれで書いておいてよかったのかもしれない。
 なので今日のこの記事もたぶんいちばんは未来のわたしに向けての交換日記。
 文体がこんな感じなのは、まあとりあえずさておいて。
 三島由紀夫も紙の日記の書き出しに「尾籠な話で恐縮」とか書いてるくらいだし、noteというたぶん他人さまの目に触れることもあるかもしれない媒体ならもっと、まあこんな感じでもいいかとおもいつつ、もしかしたら書きつらねているうちにちょっとは変わるかもしれない。
 しれないかもしれない。

 きょうはよしなしごとでnoteを埋めるし、書いたよというおふれもほかのSNSには出さない でいようとおもいます。
 そんなnote。
 気づいたひとはなんかまあ、なんか更新されとんなってくらいに適当になかめてくださいましたなら。

よしなしことなのでとくに本のリンクを貼るでもなく最近読んだ本の話をします。

谷崎泉『月影骨董鑑定帖』(富士見L文庫)全3巻。

かつて新進気鋭の彫刻家として将来を嘱望されるもとある事件をきっかけにいまや谷中のお寺の裏にある家で置物づくりで糊口をしのいでいる三十代なかばの白藤晴と、そのはとこで複雑な家庭環境をもち現在は大学で基礎工学の助手をしている宇多蒼一郎。
に、晴のおさななじみで寺の息子で警察官僚の望月国崇が新潟に住まいながらもちょいちょいちょっかいをかけてくる。
 タイトルでもおわかりのように骨董がメインとなるミステリ。
 殺人事件が毎回起こって、それがだいたい骨董がらみなので晴さんが巻き込まれ型ホームズとなり蒼一郎くんがなんだかんだ賑やかしのワトソンとなり国崇さんが新潟からアドバイスをくれたりひっかきまわしたりする。
 よくできてるなーと読むたび、ミステリ好きのきもち、キャラクターかわいいなのきもちが満たされ、谷中のぼろ家に同居する晴さんと蒼一郎くんと猫たちの日常プラス国崇くんの来襲やご近所さんたちの関係になごみました。

 骨董の知識も、なんせまったく知らないのでフーンそうなのかーと勉強になることしきり。
 私事で恐縮ながら、尾籠な話で恐縮ながら、むかしちょっとだけ古美術商のひとたちが集まる場所で働いたことがあり、そのまえにはわりと長いめに古書業界にいたので、短冊や画軸やくらいなら扱ってたしおなじようなもんかなと気軽なきもちで就職してみたら古美術業界は古書業界とぜんぜん違う!!てなって、ほかにもまあいろいろあって(入った初日から16連勤確定だったりとか)早々に身をひいたわけですが、あのときに触れた古美術業界の雰囲気を、この本を読んでいるあいだずっと思いだしていました。

 このnoteをご覧のかたのなかにはもしかしたら古美術業界でお仕事をされている方もいらっしゃるかもしれません。
 ちょっとのぞいてみてすぐ引き返した古美術業界、こわくて奥が深くて、きっとすごく楽しいんだろうなあとおもうきもちはわりとずっとあります。
 あのときのソワソワわくわくドキドキしたきもちや、仕事で知ったいろいろなこと、忘れていたことを、このシリーズ3冊を読んでいるあいだずっとおもいだしていました。

 読書は読むひとの記憶に結びつくものですね。
 まるであの一瞬の古美術界隈のころに戻ったようなきもちになりながら晴さんと蒼一郎くんの道中を追った、たのしい読書体験でした。
 7年まえくらい?の作品ですが、続きが出ると嬉しいな。
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