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うろこ流! 小説の書き方講座 #12[タイトルって長い方がいい? どう決めるの?]


 どもどもー! 読みにくい苗字でも周知して欲しい! 承認欲求に正直な洞施(うろせ)うろこです。お気軽に「うろこ」とお呼びくださいね。
 いつもは「をのこたちがなさけをかはす」WEB小説を書いたり、その「をのこたち」のイラストを描いたりしながら、Twitterや投稿サイトを巡っています。

 小説書き歴が長い素人が初心者のみなさまに送る、我流・小説の書き方講座。十二回目は『タイトル』についてお話したいと思います。ごー、じゃすごー!


第十二回『タイトルって長い方がいい? どう決めるの?』

 長文タイトルがネタ扱いされていたのも今は昔……現在では当たり前のように長いタイトルが持て囃され、かと思いきゃ、短いタイトルでこちらの興味を惹いてガッツリ読ませるWEB小説に出会ったりします。

 タイトルは小説の見た目に相当します。どうせなら、目を引くタイトルで読者にアピールしたいところですよね。

 正直、私自身が苦手なテーマですが(!?)タイトルの長さなんかも含めて、一緒に考察していきましょう。



・ラノベやなろう系は何故長文タイトル?

 ラノベタイトルの長さについてはかれこれ十年以上も議論されていますね。
 長文タイトルが流行り出す前のラノベ・アニメ界隈はやたら『ひらがな四文字』が流行っていた記憶があります。
 おそらくその短いタイトルとの差別化から長文タイトルへと流れていったのではないでしょうか。

 差別化を図った長文タイトルの中から売れ筋が出てくると(考察記事でよく名前が挙がるのが『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ですね。おそらくこの作品が長文タイトルの走りだろうとのこと)それに追随して長文タイトルも増えていきます。
 通常であればその内に流行りも終わり、また差別化も始まるのでしょうが、ここで今までにない流れが出てきます。

 そう。『小説家になろう』です。

 2008年に『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』が刊行され、それから長文タイトルが流行り始めます。
 一方、個人サイトでの小説とケータイ小説の書籍化ブームに乗ってか、『小説家になろう』からも書籍化される作品が現れました(初の書籍化を調べましたが割と曖昧でした……2010年の『EYES』という作品が初ではないか、という説を見つけたものの、はっきりとはしていません)

 書籍化が始まった頃は今ほど『異世界転生もの』に偏ってはいませんでしたし、長文タイトルもほとんどなかったようです。
 しかし、なろう内での流行が『異世界転生』に偏り、更に書籍化が進んでライトノベルと近しいものとして認知されると、徐々に当時ネタにされつつも流行っていた長文タイトルが増え始めます。

 商業ベースに則ったライトノベルだけであれば、長文タイトルは飽きられて廃れていったでしょう。しかし、未だ長文タイトルは衰えを見せません。
 2020年の下半期(7~12月)発売のライトノベル・WEB書籍化作品を見てみましたが、九割方が長文タイトルでした。……現在ちょっと長文の定義が分からなくなってきてます(一応、16文字以上を長文と仮定しておきました)
 この期間での最長は67文字(3作品)でしたね。見落としがあったら申し訳ないです。

 さて、ここからは私の推測になるのですが、長文タイトルの衰えが見えない――どころか更に長文化が進んでいる背景には、『小説家になろう』の書籍化ビジネスの影響が大きいのではないでしょうか。

 まず、小説家になろうには数多の素人によるWEB作品があります(かく言う私も姉妹サイトのムーンライトノベルズに作品を置いています)
 今日も増えているだろう作品群の中、当然なろうからの書籍化を狙った小説も多いことでしょう。
 書籍化を狙うには、Pv数を、評価ポイントを稼ぐ必要があります。そのためにはまず読んでもらわなければなりません。

 なろうで小説を読もうとした方はご存知でしょうが、とにかく作品数が多いです。その中から作品を選ぶ際には、まずタイトルから入ってあらすじを読みますよね。
 もし、目についたタイトルですでに作品の概要が分かる状態だったとしたらどうでしょう。読む、読まないの判断をすぐにつけられるのではないでしょうか。

 つまり、『読むという判断』を求める以上、タイトルには概要を含めておいた方がいい、という流れになっているんです。
 是非は取り敢えず置いておいて、なろう系に長文タイトルが増えてしまう理由というのは何となく理解できたのではないでしょうか。

 そして、なろう書籍化の流れに合わせる形で、ライトノベルのタイトルも長文であり続けているのが現状と思われます。

 余談になりますが、なろう系で長文タイトルというと、書籍化が決定したもので94文字、書籍化が不明なものでは100文字を超えるタイトルがあったそうですよ(息子(ゲーマー)より情報提供)



・長文タイトルって付けた方がいい?

 ここからが今回のテーマですね。タイトルの付け方です。今回は導入が相当長くなりました。目が疲れましたよ……

 少なくとも『小説家になろう』では長文タイトルが有効であるというのは前項に挙げた通りです。しかし、ここでいくつか問題点が。

 まず、長文タイトルがスタンダード化している現状では、他作品に埋もれてしまうという点です。

 私と、『なろう小説』を読む息子の共通意見として「ランキング作品が長文タイトルばっかり!」というものがあります。
 タイトルで内容がある程度推察できるのはいいのですが、長文タイトルがズラっと並ぶ光景はなかなかに目が疲れますね。好みの作品に辿り着くまでに諦めてしまうことがあります。

 次に挙げられるのが、タイトルの内容が他作品とほとんど同じになってしまう点です。

 ライトノベルではそんなことはないのですが、なろう系(と、そこからの書籍化作品)はストーリーが似たものになりがちで、そうなるとやはりタイトルも似たりよったりに。
 似たようなタイトルが並ぶと「どれでも一緒」と選ばれる可能性が低下してしまいますよね。

 それから、タイトルだけで概要が分かってしまう点。

 これは『なろう小説』では有効である反面、内容に対するドキドキ感が減るという欠点もあります。
 タイトルからある程度内容の推察ができてしまい、あっと驚く展開になる期待が持てない。そうなると、あまり読もうという気持ちが湧かなくなるという読者もいるでしょう。

 長文タイトルの利点は概要が分かるぶん、手を出しやすいところです。が、そのせいで他作品に埋もれがちになるし、読者側の期待感が薄れてしまいますね。利点と問題点を比べてみて判断してください。
 もし長文タイトルを付ける場合は、他作品とは違う特色を押し出した方がいいと思います。ちょっとでも読者が気になる部分ができれば一歩リードできますよ。



・短めのタイトルに利点はあるの?

 さて、長文タイトルの利点・問題点を挙げましたが、じゃあ短いタイトルはどうなのか。そこを考えてみましょう。

 まず利点は、今の流れの中では目立つことができる、というものです。

 長文タイトル乱立の現状であれば、短いタイトルはパッと目につきやすくなります。まず目に留めてもらうこと。それができるだけでも利点になり得ますね。

 そして、タイトルを覚えてもらいやすい、という点。

 長文タイトルが概ね他作品に埋もれがちなのは、似たようなものが増えやすく、更に一度で覚えるのが面倒だからです。
 一度ちらっと覗いた長文タイトルの作品をまた読んでみようかな、と思った時、タイトルがうろ覚えの状態だったら探し出すのに苦労しますよね。ましてや、似たようなタイトルがたくさんあったら尚更です。
 その点、短いタイトルは覚えやすく、(現在では)目立つので探しやすくなりますね。

 最後は、興味を引きやすいという点です。

『ドグラ・マグラ』『人間椅子』『幼女戦記』『デュラララ!!』……
 なかなかに強烈なタイトルで「え、どういう話!?」と気になりますよね。
 中味が予想できそうで、でも想像がつかない。そうなったら読むしかないじゃないですか。

 短いタイトルは作者の力量が問われますが、その代わりに利点もあるということを覚えておいてくださいね。



・タイトルを付けるコツは?

 ……正直、私も聞きたいくらいだったり……

 まあ、それはともかく。
 ここは読者側の視点から、こうだったらいいのに、スゴイ! などと感じたところを挙げていくことにしましょう。

 まずは、読み進めた時にタイトルの意味が分かるもの。

 ある程度読んでもらうことが前提になりますし、付ける側(作者)の力量が問われる部分がありますが、タイトルがまさしく名を表すようなものになっているとグッときます。
 先に上げた『ドグラ・マグラ』であったり、最近だと『蜘蛛ですが、何か?』もそうです。
 ある程度、もしくは最後まで読んで「このタイトルってこういうことだったのか!」と理解できた瞬間は感動しますね。……ぜひともこういうタイトルを付けたいものです。

 次に、他作品との違いがハッキリしているもの。

『ブギー・ポップは笑わない』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『NHKにようこそ』……

 ブギー・ポップは否定系タイトルの、俺妹は長文タイトルの走りであり、NHKに〜に至ってはみなさまご存知の何とか放送協会が脳裏を過ぎりますよね。
 他タイトルにはない異物感。それが求心力を呼び、読み終えた後にずっと心に残る作品になったりするんですよ。
 作品を端的にでも表し、かつ、他作品との違いを見せつけられるタイトルを付けたいですね。

 最後は「何だそれ」と言われそうな気がしますが、結構重要です。

 それは、三〜五音で略せるタイトルにする! です。

 『俺妹』『俺ガイル』『のうせん』『変ネコ』……ちょっと例えが一定期間のアニメ化作品になりましたが、どうでしょう? 印象に残っている作品じゃないですか?

 例えば長文タイトルをつけたとしても、こうしてテンポのいい略称ができれば、誰かに勧めたり一緒に語ったりしやすいですよね。
 更に長文タイトルの全てを覚えられなくとも、略称を覚えるのは楽勝! しっかり読者に印象付けできます。
 略称のことも視野に入れてタイトルを考えてみてくださいね。



 いかがでしたか? 今回はこうして話しているうろこ自身ですら悩んでいるタイトルについてでした。
 個人的には、短く、後になって意味に気付かされるようなタイトルが好きです。
 長文でも他とは一味違う、程よい略称ができるようなタイトルが付けられるといいですね。

 次回はいよいよ、『完結させることの重要性』についてお話したいと思います。

 ではではー、またお会いしましょう。洞施うろこでした。


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