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うろこ流! 小説の書き方講座 #11[比喩表現とオノマトペ]


 どもどもー! 講座も十一回目なので、そろそろ苗字を覚えてもらえたと思います。洞施(うろせ)うろこです。まだの方は覚えていってね!
 いつもはボーイやメンがドッキドキでラヴ! なWEB小説を書いたり、そのキャラクターイラストを描いたりして、Twitter・投稿サイト界隈を放浪しています。

 小説書き歴の長い素人が初心者に向けて送る、小説の書き方講座。十一回目は小説を書いているみなさまが気になるであろう話題、『比喩表現とオノマトペ』についてです! しんきんなう!




第十一回『比喩表現とオノマトペ』

 比喩表現……それは小説を書く人間にとって、もっとも個性を表現できる箇所といっても過言ではありません。
 小説を読んでいて感性に訴えかけてくる、まさしく目の前に風景が広がるかのような比喩表現に出会った時の感動は筆舌に尽くしがたいですからね。

 しかし、使いようによっては何故か陳腐に見えてきてしまう。今回はそんな比喩表現と、擬音表現(オノマトペ)について考察していきましょう。



・比喩表現のあれこれ。

 一口に比喩表現といっても、実はいくつかの種類に分けられています。八種~四種くらい……と、解釈によって何種に分けるか曖昧なんですけどね(今回調べて軽く混乱してます)
 まずは、それらの中から小説に利用できそうな六種+オノマトペ(擬音語・擬態語)について解説します。


・直喩(ちょくゆ)

 読んで字のごとく、直接的にそのまま「~のような」「~みたいな」と他の物で例える表現です。

例:
『絹糸のような光沢を持つ美しい髪』
『雲みたいに掴みどころがない話』

 一目でどういうものなのか理解しやすい表現ですが、例える言葉があまりにも見当違いだったり、一般的ではない物で例えたりすると、一気に陳腐な分かりにくい表現になります。『雨のように軽い』とか『ぬっぺふほふのような疾走』なんて言われたら、何が何やらですよね。まあ、そんな間違い方もそうそうないとは思いますが。

 基本的に直喩は誰にでも分かりやすく、使いやすい比喩表現です。



・暗喩(あんゆ)

 英語でメタファー(metaphor)といいます。案外英語の方が聞く機会が多いかも。
 他の物で対象を例えるのは直喩と同じですが、こちらは「~のような」といった例えていることを示す言葉を使わず、断言するような形で表現します。

例:
『冷たく鋭い眼差しは、猛禽類のそれだ』
『ぐるぐると巡る思考は、止まることのない渦』

 断言するような形式ながら、暗に『これは比喩表現なんですよー』と伝えている表現です。「~のような」という言葉を使わない分、スッキリして見えますね。直喩よりも一歩進んだ表現に感じられます。



・提喩(ていゆ)

 対象を表現する際に、その対象と深い関係(包摂関係)を持つ物事で置き換える表現法です。一部の特徴で全体を。全体で一部を表現します。ウサギなら長い耳だったり、雫であったら雨だったり。
 何度も同じ単語が続きそうな時に使ったりします。

例:
『金色のたてがみ(ライオン)』
『白い翼と頭上に浮かぶ光の輪(天使)』

 こちらは特徴をしっかりと掴んでピンポイントで押さえないと、いまいちボケてしまいかねないですね。文章の中にあり、その前後の文脈があれば更に理解しやすそうです。



・換喩(かんゆ)

 対象と関連している物事を示すことで例える表現法。提喩と違うのは対象とは直接的な関係(包摂関係)ではないところ。ウサギを示す場合にニンジン好きと表現したり、雨が降り出したことを示す時に傘が開いたと表現したりします。

例:
『彼は鉄格子の向こうだ(逮捕されている)』
『お足元の悪い中(雨や雪が降っている)』

 こちらは読者との共通認識が必要になる表現ですが、相当世間とかけ離れた表現じゃなければ問題はないと思います。地域差には注意!



・転喩(てんゆ)

 対象を示すためにその前にあった事柄、もしくは後に起こる事柄を書く表現法。対象そのものを書かずに表現します。

例:
『重い腰を上げて机に向かった(これから勉強する)』
『強かに打ち付けた尻をさすっている(直前に転んだ)』

 小説を書く上ではかなりコスパのいい表現だと思います。対象を書かなくても前後の描写だけでいいなんて!
 ただ、この表現ばかり多用すると、何が言いたいのか分からない文章になってしまうので注意です。



・諷喩(ふうゆ)

 遠回しに匂わせるように対象の本義・本質を表現する方法。『これはイメージです』といった感じでしょうか?
 検索して調べると、例として三国演義で曹操が口にする台詞「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや(小者に大人物の心は分からない)」が出てきますね(ググった)

例:
『雨だって、いつまでも続きはしないだろう(悲しみはいつまでも続かない)』
『さなぎって、中がどろどろで不定形なんだって。でも、成長すればあれだけ綺麗な蝶になるんだよね(現状がどれだけ不透明でも、きっと素晴らしい未来を手に入れられるだろう)』

 ……例文を出すのが難しいです……!(力が欲しい)
 とても詩的な表現もできるので、使いようによっては強烈な印象を残せますね。ただ、乱用すると恐ろしく陳腐に見えてきてしまう諸刃の剣だと思います。



・オノマトペ(音喩:擬態語・擬音語)

 物事や状態・音などを示すための独特な言葉。水が床に溢れる様子を『びしゃびしゃ』といったり、ドアをノックする音を『コンコン』といったり、晴れやかな笑顔を『にっこり』といったりします。
 日常会話でもよく使う表現方法なので、オノマトペだけでも様子が分かるくらいに馴染んでいますね。
 小説内で使う時には、オノマトペの表現力に頼りすぎないように気を付けましょう。

例:
 今日は太陽がギラギラしてる。僕は暑くて汗がダラダラなのに、彼女は涼しげにサラサラ髪をなびかせていた。
 綺麗だな。うっとりしていると、彼女は僕の方に振り返ってニッコリした。

 ……意味は通じますが、小説と呼ぶには少々……その……アホっぽいですよね。

 オノマトペの多用は文章を稚拙に見せてしまいます。これを避けるにはまず使いすぎないようにすること。そして、オノマトペの前後に補足する描写を書くことです。

修正例:
 今日は太陽がギラギラと輝いている。僕は暑くて汗が止まらないのに、彼女は涼しげに髪をなびかせていた。
 綺麗だな。見惚れていると、彼女は僕の方に振り返ってニッコリと笑った。

 オノマトペを二個まで減らし、代わりになる描写と、オノマトペの補足(『輝いている』『笑った』)を付け加えました。これで小説らしい文章になったのではないでしょうか。



・比喩表現の難しい点。

 作者の味というか、個性が発揮される比喩表現ですが、使い方は本当に苦労します。
 読者側の好みが大きく分かれる部分で、私の場合は比喩表現が多いとあまり読む気になれないんですよ。
 もちろん、比喩表現が好きで、むしろそれを読みたいと感じる読者もいます。そう考えると比率がどう、という議論はあまり当てにならない。

 比率の問題ではないとなると、比喩表現の幅を広げて適切な使い方を見極めることが重要になりますね。
 読者との共通認識を大切に。不快な表現(放屁のよう、なんて例えは流石に嫌)をしないようにして、素敵な比喩表現を目指しましょう!



・どう表現を磨いたらいい?

 比喩表現の幅を広げるためには、詩を読んだり小説を読んだり……なんて一般的な方法はそれこそ聞き飽きているでしょうし、そもそも、時間が取れない場合だってあります。

 そこで、一つの提案として『目の前の事柄を比喩で表してみる』のはどうでしょう。

 この記事を読む媒体(スマホ・タブレット・PCなど)や、手元にある飲み物などを比喩でどう表すか考えてみるんです。
 わざわざ書き留める必要はないので、ひとまず脳内でイメージを膨らませてみましょう。

例:
 今、私はキーボードを叩いています。そう、あたかもピアノを奏でるかのようなリズミカルさで。
 飲みかけのコーヒーはすでに冷え切っていて、時間の経過を物語っています。

 これだけでも、換喩(キーボードを叩く=記事を書く)・直喩(ピアノを奏でるかのような)・転喩(集中していたので『コーヒーはすでに冷え切って』いる)が使われています(何気なく『飲みかけのコーヒー』が『物語っています』という擬人法もあったり……)
 文字入力に集中していたという事実だけでも、これだけの比喩表現の練習になるんですよ。
 ご飯を食べる時、テレビや動画を眺めている時、くつろぎのバスタイム……いつでもどこでもできる練習法なので、気付いたらやってみましょう。


 いかがでしたか? 作家の個性を彩る比喩表現。種類も豊富なだけに、使い方に悩みますね。
 しかし、これが作品・作家の『色』になる部分なので、ぜひとも表現を磨いて上手に比喩を使いましょう!
 次回は『タイトルって長い方がいい? どう決めるの?』というお話をしたいと思います。

 ではではー、またお会いしましょう。洞施うろこでした。


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