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イワシの魚群とSNSの集団

はじめに

年齢を増すと、あのときは良かった、あのときは楽しかったと良い思い出が蘇る。けれどよくよく考えると、そんなにも良い事だけではなかったかもしれない。

過去は良かったと感じる心理的メカニズムは複数あります。主に、以下の3つの理由が挙げられます

1.ロージー・リトロスペクション(Rose-colored retrospection):これは、人々が過去の出来事をより肯定的に思い出す傾向を指します。

2.選択的記憶(Selective memory):人々は、特定の記憶を選択的に思い出す傾向があります。これは、特に自分にとって有利な、または自己のアイデンティティを強化する記憶を思い出すことが多いです。

3.変化に対する恐怖(Fear of change):人々はしばしば未知のものや変化に対して恐怖を感じます。したがって、過去(特に自分がよく理解している過去)は安心感を提供します。

ChatGPTより

人間から情報への恐怖

3の回答にあるように、変化に対する恐怖が心理的要因にあるならば、多様な現代社会では、未来を不安視する人が増加していると考える。

旧時代は、変化に対する恐怖の対象は、人間であった。人間と人間の問題であるため、自分を強くしたり、強くみせる方法で対処してきた。例えば、戦国時代、対峙する武士との戦いだけを考えれば良かった。けれど現代では、スマホの登場により、恐怖の対象が人間ではなく、膨大な情報が自分を襲ってくるのである。

膨大な情報への防衛手段

イワシなどの魚は、大きな天敵から身を防ぐように集団を形成して、大きな魚影を作る術を身につけた。人間も迫りくる大きな情報やテクノロジーに対して、SNSという繋がりで集団を形成して対抗しているのではないのか。

イワシの魚群とSNSの類似点

現代人間がSNSなどで微弱な情報を繋げることにより、大きな情報集団を作る行為は、イワシの魚群と類似している。

イワシの魚群は、誰からの指令や命令で機能しているわけではなく。集団が何かのプロセスにより自己組織化している。イワシの魚群の行動の他に、蜂やアリのような社会性昆虫の行動パターンは、ソーシャルメディアでの人間の行動といった多くの現代社会の現象と類似点が多い。これらの生物の行動は、中心的な指令やコントロールなしに、群れ全体としての複雑な行動を生み出すことができる。

またSNSのユーザーも、中央の指令を受けることなく、個々の行動と意見を共有することで、全体としてのトレンドや意見を形成している。これは、意見や情報が一つの中央的なソースからではなく、個々のユーザーから広がるという点で、魚群の自己組織化と似た動きを示している。

自己組織化での意思決定

ジェームズ・スロウィッキーの「集団の智慧」では、個々の人々が自身の知識や視点を持ち寄ることで、集団全体としての意思決定や問題解決の能力が向上するという考え方がある。
この考え方は、SNSのような集団の意思決定に作用していると思われる。

まとめ

集団全体が一体となって動くイワシの魚群や、SNSのような人間の集団と同じように、個々の要素が全体の行動に影響を与えている。一方でその結果が全体の行動が個々の要素に影響を与えるという相互作用が見られている。

このままテクノロジーが進化していくと、個人の思想と集団の思想との相互作用が強くなる。そして個人が思い浮かんだ発想は集団の中にも存在している。反対に集団の思想が個人によって代弁されるかもしれない。
そう考えると、個人の思想は、集団に影響を与えるのだろう。


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