あやなつ

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最近の記事

クリエイト、きみ

モビールが揺れるその奥できみは微笑んでいた。ぱちぱちと刺激的なピンク。揺れる。そして、きみの上下する睫毛もまた、おそろいの色をしている。どうしてきみはそこにいるの?きみにそう尋ねたらきみは、ここがここであるからだよ、と言うことだろう。きみは妖精。モビールの妖精。味気ない天井にたった一つ与えられた彩りがどうか、ぬくもりを伴う存在であってほしいとぼくが願ったが故に、きみはここにいる。きみの手はあたたかい。だってぼくがそう思っているから。

    • あの子への感情の供養、他3件

      最近の私の脳内だよ~。 あの子への感情の供養  今でもあの子のことを思い出す。いや、あの子は当時未成年だったが私よりもずっと年上だったから、あの人と呼ぶべきなのか?まあ、とりあえずここではあの子のことをあの子と呼ばせてもらう。  私はあの子への感情を供養したかった。だけど、他人からすれば些細なことだから、誰かに打ち明けるほどでもなかった。私にとっては些細ではなく、私の頭にあの子は居座っているのだが。そんな状態だったから、私はあの子への感情を創作に利用した。登場人物のバック

      • 「私ばっかり悪役をすることになるんだよ、あなたが善人であればあるほど」。

         私は、他者の針や棘ごと抱き締めることの出来る人間になりたいと思ってきた。しかし、そのような行動が必ずしもその他者に有難がられるかというとそうでもない、というかむしろ迷惑がられるように感じる。  針や棘――そのように例えることが出来そうな嫉妬や劣等感といった感情を、もちろん私も他者に抱いたことがある。そして、それらの感情を攻撃的な態度で表に出したこともある。そんなとき、私は相手にどのような態度や返答を期待していたか。少なくとも「針や棘ごと抱き締める」という対応は期待していなか

        • unnmei?

           これは今日の夕方の夢の話。  私たちは滑り台とブランコを白と黄色と赤のペンキを使って塗り直していた。なぜか公園の砂は全く汚れなかった。その作業がひと段落ついて、後ろから声を掛けられた。その人物をAとしよう。Aは私にやたら話しかけてくるし、私への対応は他の人へのそれよりも甘い。このときも何か……好意的なことを言われた。そして、Aはよく「これも巡りあわせだよね」「これも縁ってことか」といった類の言葉を私に投げかける。確かに、私とAはなぜか2人きりになることが多い……気がする。こ

        クリエイト、きみ

          やわらかい≠よわい、やわらかい=つよい

           やわらかい人間たちの、その穏やかで滑らかな心の表出は、よわい人間の心の表出の仕方と似ていることがある。しかし、よわさは意図的にコントロールすることが難しい。やわらかさは意図的に(やわらかさの発揮が習慣づけられている場合には意図せずに行われることもあるが)他者の言動や性質に沿うように、紙粘土のように変形し、両者共に痛みを感じないようにすることができる。  他者とのかかわりを通じて痛みを獲得することがコミュニケーションには必要不可欠である。私は、コミュニケーションの本質を「傷つ

          やわらかい≠よわい、やわらかい=つよい

          傷つけ合いのないコミュニケーション

          誰にも傷つけられず、誰を傷つけることもなく生きていけたら。  私はこのように願ったことがある。貴方と私の間に痛みが生じてほしくない。この考えは、今の私の考えとは全く異なるものである。今の私は傷つけること、傷つけられることなしに生きてはいけないと確信している。そりゃそうだよね。  他者との関係で人は誰しも、角(かど)を多く持っている。舐めても溶けない金平糖みたいなものだ。そして、他者と関わると、その角と角がぶつかり合う。痛い。しかし、その痛みを避けるためには、ぶつからない距

          傷つけ合いのないコミュニケーション

          バイロマアセク、そのうちの1個体の話

          はじめに  私は、恋はしたいが性愛はいらないと考えている。この話はもう自分の中で収まったと思っていた。しかし、ここ一か月くらいだろうか?自分のこの性質について考えることがまた増えてきている。この話は「解決する/しない」ではなく「悩みである/ない」という軸で考えるべきだと思っている。というのも、今の私が思いつく解決法はせいぜい「性愛を『克服』する」か「性愛抜きで恋ができる」かくらいだ(ここでは克服という言葉を使っているが、克服していない状態を悪いものと捉えているわけではない)

          バイロマアセク、そのうちの1個体の話

          犯罪者はパンを食べる

           これからどうしたらいいんだろう。私は小さな石橋のたもとでしゃがみ込んだ。柳の揺れる音がしていた。  私は人を殺した。  目に優しい、木造の路面店。何を売っている店なのかは知らないが、「OPEN」と書かれた看板があるにもかかわらず、店の中には誰一人いなかった。店の前の歩道に、似たような色の木の椅子がある。そこに一人のお姉さんがいた。20代半ばくらいだろうか。細く堅そうな背もたれにもたれかかることなく、その人は真顔で、ただ真っ直ぐ前を見据えて座っていた。  私は、その人の前に

          犯罪者はパンを食べる

          人生は苦痛のサブスクリプション

          私は今メンタルが安定しているため、「今この瞬間の衝動的な感情に任せてこのような主張をしているわけではない」と胸を張って言える。だからこそ言わせてほしい。 なぜ自殺をしてはならない? 家族や友人が悲しむのは確かにそうかもしれない。しかし、他者の悲しみ痛み苦しみがどうして当然に、私の悲しみ痛み苦しみよりも防止されるべきもののような顔をして存在しているのかが分からない。本来なら、どちらか一方が他方に優先するという関係ではないはず。他者に悲しみ痛み苦しみが生じるのを防ぐために、な

          人生は苦痛のサブスクリプション

          苺ミルクの海から平仮名

          持ち札パーティはどうしても、編成が真っ直ぐすぎてだめなんだ。だから1メートルぽっちの天井でつぶして捩ろう。やっぱりわたしには、真っ直ぐな言葉以外使いこなせない。 私が必要としているのはきっと、誰かが居る場所で叫ぶことであって誰かが振り向く場所で叫ぶことではないんだな。 私も、私の好きな人々のようにいつかは誰かを幸せな気持ちにさせることができたらなんて思っている。できたらいいよね、というかします。じゃあ今は?今の私は、誰かを幸せな気持ちにさせることができているのだろうか?

          苺ミルクの海から平仮名

          棄てて、夢の色しか見たくない

          知らない他人の知らない吐息、だけど貴方は来ないまま。 見てない映画の見てないカット、貴方はきっと見たのだろう。 糸がない、糸がない。どれほど探せど、どれほど手繰れど。あかいいろも、しろいいろも、間違い含んだきいろいろも。接吻はゆめでも無くてそれで良くって。 倒れたトワレは割れて欲しい。開いた花は踏まれて欲しい。 甘い色、あまいいろ。どんな色?つめたい?ぬくい?何れでもない?夢の色なら知ってるが、うつつの色など知りとうない。 知らない他人の知らない吐息。そんなリアルは棄て

          棄てて、夢の色しか見たくない

          反出生主義、やめたよ~~!

          こんにちは、あやなつです。今回は、タイトルにもある通り、反出生主義をやめた話をします! 反出生主義とは まず、「反出生主義」の自分なりの定義を示してから本題に入りたいと思います。私は「反出生主義」を「人間は人間を生むべきではない、生まれる側の人間のために」という思想だと理解しています。 ・人間、今すぐ死ね~~~! ・死にて~~~! ・子供いない人生を送りた~~~い! 箇条書きで挙げたような考えは、反出生主義ではないと思っています。もちろん、反出生主義と上記の考えを併せ

          反出生主義、やめたよ~~!

          個性についてのたわごと

          他者との差異があること自体を誇るよりも、他者との差異の、その具体的な内容自体を磨いて誇る方がいいと思う。 それから、他者のことを没個性だのなんだのと言う人もいるけれど、それは他者が他者であり、その人の中で他者の解像度が低いからこそそう感じているというだけだと思う。もちろん、カテゴライズして物事を理解すること自体は悪いことではないと思う。だけど、自分の見ている面だけで「あの人は個性がない」と言うのはなんだかな、と感じる。 媚びないだとか、自分軸で生きるだとか、そのような生き方は

          個性についてのたわごと

          翻訳がいっぱい

          くしゃみが出そうで出ないときのあの感覚を、定規の折り方で表す。 光を見た後に黒い点が残る視界を、鼻歌で表す。 熱いやかんに触れそうになったときの反射的に引っ込める手を、話し言葉で表す。 友達に絶交されたときの誰かの気持ちを、机の上の物の配置で表す。 トラウマに関連のある場所で動悸が止まらない感覚を、絵で表す。 翻訳はいっぱいある。何も言葉だけじゃない。感覚を何かに落とし込んだり、何かを感覚に落とし込んだり。面白いと思う。100%じゃないのに―ときに30%に満たないこともある

          翻訳がいっぱい

          あめと無知

          「ふるさと…」  「ふるさと」が五時を知らせる。やかましく反響する。会社のあるオフィス街には響かない、かつての私が飽きるほど聴いたメロディ。そしてそれは、本日のサボり業務の完遂をも意味していた。  最寄り駅でふと、反対方向の電車に乗ってみた。自殺寸前の、精神を病んだ人間がすることだとどこかで聞いたことがある。今日の私は、二番ホームへ行く気力を持ち合わせていなかった。 スマホは機内モード。だけど私は、危ないトリップなんてできやしない。自分の思う自分から逸れることへの、恐怖に似た

          あめと無知

          あの人間に届かないこの文章は意味がない

           あなたを忘れたくはないし、忘れるつもりはない。あなたを失う前は、あなたのことを極端に大切にはしなかった。というかそのころは、そんな愚かな極端さを身に着けてはいなかったのだ。それほど幼かった私の経験が、今の私に、記憶としてつながりを持っている。  あなたをあのときのあなたと認識して巡り会うことなんて、今後の人生で起こりえない。それは分かっている。だけど、それを願ってしまうし、それを叶えたいがために、この感情を全世界に晒している。一人で抱えてどうにかなるものではないのだ。助けて

          あの人間に届かないこの文章は意味がない