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生きがいの仕事と、料理が重なった2つの出会い|形から入る料理の楽しさ

2017年7月にクックパッドに来る前、
私はデジタル領域のマーケティング会社の役員をしていました。
更にその前、2005年に自身で創業したWEB制作会社を7期経営し、
その会社を2012年3月にマザーズ上場前の前職会社と合併し、
そのまま前職会社の役員に就任したのです。

2005年に創業した会社は女性ばかりの社員10名弱の小さい会社でしたが、私も社長として日々奮闘、痺れる事も、取引先からの叱咤激励や社員のありがたみに涙したりする事も、たくさんたくさんありました。

とにかく刺激に満ちていて、生きている実感をひしひしと感じる、そんな日々でしたから、この時期に結婚した旦那さんには「私は結婚しますが、我が家は1日3食外食です」と宣言するほど、仕事大優先。

料理はできるかできないか、で言ったらできるけど
生活の中で料理をする優先度が最下位だからしない。
料理をしないから調味料も道具も無い。
たまに料理をしたくなっても、調味料から買うためコストが高い。
食器もどうでもよいものばかり。
たいして美味しくもできないし、気分もあがらない。
だったら、外食したほうがコスパ良し。
という、完全なる料理をしないバッドスパイラルに陥っていました。

<photo:今年の三が日につくった煮込みハンバーグ。ガーリックトーストは旦那さん特製。今では夫婦で料理を楽しむまでに>

そんな生きがいでもあった自身の会社ですが、
2011年に公私共にいろいろな事が重なり
自身の生き方を考えるきっかけもあり
ご縁があって前職の会社と合併することに決めます。

レシピを書かないのに、ファンが増える
新しい「料理系インフルエンサー」との出会い

合併した会社では、制作現場をみたり営業部をみたり、管掌領域は時々で変わりましたが、最後の2年ほどはインフルエンサーマーケティングの領域も見ていました。

ある日、当時一緒にインフルエンサーマーケティング領域を見ていたメンバーと、インスタグラムで活動するインフルエンサーが面白そう、という話になりました。2015年春のことです。

当時、インスタグラムではタレントのローラさんなど有名人が使い始めて話題にはなっていたものの、一般的に浸透しているかといえば「まだまだこれから」という状況でした。

当初は、
美容やファッション領域の投稿をしている美容系インスタグラマー、
子育てやライフスタイル領域の投稿をしているママ系インスタグラマー、
料理や食卓領域の投稿をしている料理系インスタグラマー…
ざっくりこの3つの領域に分けて、事業化を考えていました。

この3つの領域を見ていくうちに私が一番興味を持ったのが、料理系インスタグラマーです。

当時、料理系でブログ等で情報発信をするインフルエンサーは、料理が得意で、レシピが書けて、イベントでは料理を教えることもできて…という方がほとんどでした。

それに比べ、インスタグラムで家の料理を投稿している人たちの投稿は、レシピが書いてあるわけではない(当時)。盛り付けやテーブルコーディネートが中心の投稿なのにフォロワーがたくさんいて、熱量の高いコメントがたくさんついている。

この頃、インスタグラムで「わんぱくサンド」という、彩り豊かな具材を目一杯挟むサンドイッチが話題になりました。「わんぱくサンド」は食べやすいのか?と言われれば、正直、食べにくいです(苦笑)
しかし、最後にサンドイッチをカットした時に、どんなカラフルな断面が現れるかのドキドキ感と、想像通りに断面が現れた時の達成感が、なんともいえない楽しさがあり「#萌え断」というハッシュタグとともに人気になっていました。

(photo:私もインスタグラムに影響されて、よくつくりました。萌え断、わんぱくサンド)

「#萌え断」の所謂「映え」から興味を持ち、
「わんぱくサンド」を試行錯誤しながらつくり、
結果、
朝ごはんを食べるようになった
野菜をたくさん取るようになった
子供が喜んで食べてくれる
休日の朝が楽しくなった
…のような投稿やコメントを見ながら、単純に「みんな楽しそうだな」と感じました。

その後も、他のインスタグラムの中で流行っていそうな料理の傾向を見ていくうちに感じた「形から入っていく料理の楽しみのようなもの」が、私にとっては新鮮で、何より、私自身がワクワクするアプローチだったのです。

(photo:インスタグラムで話題になったドーナツタワーで祝ってもらった誕生日。プレゼントは、インスタ映え満点のジャグ。嬉しかったし、楽しかった!)

「料理、得意じゃないんですよ」という新鮮な出会い

この楽しみが大きなうねりになりそうな気がして、急遽、料理系インスタグラマーをフィーチャーした本の出版を企画、ありえない特急進行で出版社さんに無理をお願いし、プロジェクトメンバーの頑張りもあり、インスタグラムの中で生まれている料理の楽しみを紹介する本を出版しました。

この本の出版パーティーで、たくさんの料理インスタグラマーさんと直接お会いすることができたのですが、その際に聞いた「私、料理、得意じゃないんですよ。」という言葉。

料理は得意じゃないからレシピも書けないけど、毎日料理はする。
食器が好きだったから、盛り付け頑張ってインスタグラムに投稿したら、みんなが褒めてくれた。嬉しかった。
それが楽しくて、料理を続けているんだ。

この言葉が、当時の私にとって、共感しかない言葉で。
「形から入る料理の楽しみ方もありだよね」という事が、私の中で確信に変わった言葉でした。

(photo:今では料理系インスタグラマーさんも、続々とレシピ本を出版されています)

料理にモチベーションが必要な人に、
理屈不要の料理の楽しさを。

私は根っからの料理好きではありません。
いつまでたっても料理は面倒なものだし、
美味しいと食べてくれる旦那さんがいても、面倒な時は面倒。

家族のため、健康のため、環境のため…
それだけでは料理をしたいと思えなかった。
私には、それ以外の、理屈抜きで料理が楽しく思える、
そして、料理をしたい!と思えるモチベーションが必要でした。

お気に入りの道具が揃っていて立つこと自体が楽しい、キッチン
使うだけで格段に料理を美味しくしてくれる、食材や調味料
私の料理でも素晴らしい料理に引き立ててくれる、うつわ

しかしどこかで「モチベーションが無いと料理ができないこと」を私自身がコンプレックスに感じていたり、「形から入る料理の楽しみ」が軽薄なアプローチと捉えられたらどうしようという不安を感じていたりしたのですが、料理系インスタグラマーさんたちの自由でしなやかな料理の楽しみ方を知り、勇気づけられたのです。

料理は自分自身の人生を豊かに、そして、自身の周辺の人も幸せにできるものだと思っているからこそ。

私のようなそもそもは料理が得意でない人も、料理が楽しいと思えて、それが幸せな世の中をつくる事につながる仕事をしていきたい。

これが私の生きがいである仕事と料理が、つながったきっかけです。

(当時、私にインスタグラムの楽しみを気づかせてくれ、怒涛のスケジュールを一緒に走り切ってくれたプロジェクトメンバーには心から感謝しています…!ありがとう!)

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