見出し画像

頑張ることやめたい

ずっと何かに頑張ってきた人生でした
努力と言えれば良いけれど、とにかく頑張ること、と言うのを自分に課してきた
複合的マイノリティだからにはじまり、人より劣っているにはじまり、誰からも認められないにはじまり…
気付いたら、何においても頑張らなければ自分は存在しないことになっていた
頑張らない自分に存在意義などなかった

少しばかり多大にお世話になった恩師に「何でもある程度はできるんだから、何かしら極めたらいいのに」とぼやかれ、なんとなく火が着いた直後「頑張り過ぎなのよ」と言われて、頭がこんがらがった
頑張らずに極める…とは!?矛盾してないか!?と、ポッポの鳩もびっくりな豆鉄砲くらわされるなんて
つまり「あなたは十分頑張ってるよ」の解釈だと気付くのに20年近くかかった
遅すぎる

いつも「頑張らなくていいよ」と人に言われる人生だったけれど、その恩師には最終的に「頑張っちゃうのがあなただもんね」と言われて、なんとなく認められた気がして嬉しかった
それ以来、20年近くたった今でも「頑張らなくていいよ」と言われる人間になっている
挙句の果てには、「頑張らないことを頑張れ」通告を受ける始末
もうなにがなんだかと思う

転機は急に訪れるもので、勉強していた資格試験に合格した
70%の合格率という生ぬるい資格に、本気で半年間取り組んだポンコツ頑張り屋さん
自分は勉強なんてできないし…なんてコンプレックスから逃げるように勉強し続けた半年が、無事に終わったその直後「もう何も頑張りたくない」
その言葉が生まれて30数年で初めて出た
やりきった、その気持ちだけが身体を満たしている

だからもう、頑張りたくない
頑張らないで生きられるならそっちの方が良い
ゆるくだらだらと生きたい

合格発表の次の日から、また資格試験を受けようとして頑張っている自分がいた
馬車馬のように、または回遊魚のように、息をするために頑張っている
徹頭徹尾、頭が足りていない
頭っていうか、何かが圧倒的に欠けている
やっぱり頑張るぞ症候群になってしまったのか

治療しなくてはならないのではないか?
それくらい重症の頑張ることしかできない人間ができあがっている
頑張らなかったらもっとラクに人生生きられるだろうなと思いながら、手を動かしているのだから救えない

もう何も頑張りたくない
だけどその先にある充足感を知ってしまった
達成感を知ってしまった
その甘い蜜をまた吸いたい

誰かこの連鎖を止めてくれ
でも止めないで



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?