見出し画像

夜ですね。それではおやすみなさい。【コミカンソウ、ナガエコミカンソウ】

こんにちは、うりぼうです。

暑い夏が徐々に終わろうとしていますね。
朝晩の空気が変わって、秋の虫たちが気持ちよさそうに演奏会を開き始めました。

今年は6月頃から35℃を越えたりと暑い時期が長かったですが、ようやく痛いような暑さが和らいできてホッとしています。

植物も夏の植物から初秋の植物への移り変わり時。

今回はこれから真っ赤な色の実になっていく「コミカンソウ」をご紹介します。

どんな野草?

「コミカンソウ」はコミカンソウ科コミカンソウ属の植物で、道ばたや庭先などでよく見かけます。

見た目が涼しそうだと思うのは私だけかしら?!

以前紹介した「ニシキソウ」「コニシキソウ」にも似ているように見えますが、「コミカンソウ」は彼らに比べると葉が多いです。

こちらは「ニシキソウ」

枝分かれの仕方にも特徴があり、「コミカンソウ型分岐」とも呼ばれているそうです。

この特徴的な枝分かれは「コミカンソウ」と、後からちょっとだけ紹介する「ナガエコミカンソウ」しかないらしく、相当特殊な分岐方法なのだとわかります。

分岐の詳細は図鑑からの引用を↓

コミカンソウ型分岐
一本の直立した主枝から多くの横枝を出し、そこに規則正しく楕円形の葉を互生させます。このような姿はコミカンソウ特有で「コミカンソウ型分岐」と呼びます。

「街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本」より引用

引用文の中で、「葉が互生(互い違いに生える)」と書かれていましたが、同じところから生えているようにも見えますよね。

実際どうなっているのか、葉の部分をよく見てみましょう。同じところから生えている例として、「オオニシキソウ」の写真も載せておきますね。

確かに「コミカンソウ」は少しずれたところから葉っぱが生えているようです。

なんで「みかん」なの?

ところで「コミカンソウ」はなぜ「みかん」と名前がついているのでしょうか?みかんの木とは全く違う様子。葉も違います。

こたえは「実」です!

ヘッダーの写真にちょうど実が写っているのですが、どの辺がみかんっぽいのか拡大して見ましょう。
(ぶつぶつが苦手な人は、ちょっと苦手な画像かもしれません^^;)

このぶつぶつ具合が小さな🍊を思い起こさせるのですね。

写真の実はまだ少し緑色をしています。

今の時期の「コミカンソウ」の実はまだそんなに赤くないのですが、秋が深まると、この実の色も赤みが増しオレンジっぽく染まります。

ますます「みかん」に近くなるのではないでしょうか?

【2022/09/18 追記】
段々と実が赤くなってきました^^
「コミカンソウ」も秋が深まってきたようです。

9/17に撮った写真です。
赤みが増しています。

「コミカンソウ」は漢字で書くと「小蜜柑草」。和名は小さな蜜柑に見立ててつけられたのですね。

ちなみにこの実の大きさは約2mm。とっても小さいです。
ということはお花はもっと小さそう!次はお花に注目していきましょう。

花の位置取りが面白い

「コミカンソウ」には葉の裏側、枝の方に花を付けますが、花には雌花と雄花があります。

雄花は白、雌花は赤っぽい色で、同じ枝の上部と下部で咲く場所を分けています。

枝の上の方は雄花(白)、枝の根元の方は雌花(赤)が咲くのです。面白いですね!

実際の枝の様子を見てみましょう。

本当にきっちり分かれています。

横から見たらこんな感じです。

紅白でめでたい!

ここで、私の中にむくむくと疑問が沸き起こりました。

「コミカンソウ」の枝は伸びていくはず。

どうやってずっと雄花が先端の方で、雌花は根元にっていうフォーメーションを維持できるの?

悩むうりぼう代理

ヘッダの写真を見て頂いたらわかるように、受粉した雌花は果実をつけます。

根元から枝が伸びていくと仮定すると、果実は上部にどんどん移動してしまうはず。でもコミカンソウの実は動かないし、雌花は果実よりもさらに上部に新たに花を付けます。

下の方の実はしっかり大きく、上の方の雌花も実をつけようとしています。

ということは、「コミカンソウ」は先の方から伸びているということ?つまり、雄花が咲いた後にその場所、もしくは近いところに雌花が咲くのでは??

ということで、雄花の辺りをよく観察してみました!

あれ?雄花の横に蕾が!

撮った花の写真を拡大してみると、雄花の横に蕾を発見!気持ち赤い色の見える蕾もあるような気がします。
やはり雄花の後に雌花が咲く可能性が!

合ってるかどうかはわかりませんが、ちょっとすっきりしました^^

ちなみにこの雄花と雌花、とても小さく1mm程度しかありません。
今回は実際に図ってみたので、写真を置いておきますね。

ぶれぶれですが^^;

夜になると寝ます

「コミカンソウ」は夜(夕方ごろ)になると葉を閉じる動きをします。
これを就眠運動といいます。

ただ単に光の加減によるものではなく、生物の持つ時計遺伝子が制御していることが、近年わかったそうです。

では、「コミカンソウ」の夜の姿をどうぞ^^

実も花も包み込んで、
ぱたんと葉を閉じてしまいます。
閉じた葉を下からのぞくとこんな感じ。
さやえんどうに見えてきます^^;

ナガエコミカンソウ

ここまでは「コミカンソウ」を見てきましたが、最後に仲間の「ナガエコミカンソウ」を紹介して終わりたいと思います。

「ナガエコミカンソウ」はアフリカ原産とされている帰化植物です。別名「ブラジルコミコンソウ」とも言います。

インド洋辺りが原産らしいのになぜ「ブラジル」??謎です。🤔

「ナガエコミカンソウ」を漢字で書くと「長柄小蜜柑草」です。つまり「コミカンソウ」に比べて果実の柄が長い、というのが特徴の植物です。

たしかに柄が長い…

「コミカンソウ」は果実が枝とくっつくような形だったのに対し、ぴょんぴょんした先に実ができているのがわかりますね。

まさに「長柄」です。

「ナガエコミカンソウ」も雌花と雄花がありますが、これもまた「コミカンソウ」とは全く違う様相です。

(左)雌花    (右)雄花

風が強い日の、しかもあまり時間がない時に撮ったので、良い写真でなくてすみません^^;

「コミカンソウ」とは違って色が異なるとかの特徴はないな、やっぱりぴょんぴょんしてる、などの違いがなんとなく分かっていただけたら嬉しいです^^

おわりに

今回は「コミカンソウ」と「ナガエコミカンソウ」を紹介しました。

整列して並んでる姿がかわいいです。

数年前は庭にたくさん生えていたのですが、ここ数年さっぱり見かけなくなっていた「コミカンソウ」。
今年のお盆休みにたまたま隅っこに生えているのを見つけて、ずっと観察していました。
こんなに長い時間をかけて観察したのも久しぶりで、とても楽しかったです。

「コミカンソウ」見かけたら、小さなお花や果実をぜひぜひ見てみてくださいね!

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?