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界の軌跡発売前考察~《黎明》から《境界》へ~

 本稿執筆現在、2024年7月1日。界の軌跡発売まで100日を過ぎています。
 それに伴い公式HPが、WebCMが順々に公開され、そして最新CM第2弾を観て、歴代ファンの皆さんは私と一緒で興奮しまくりでしょう……!
 とすれば、創の軌跡のプレイ後から気ままに執筆してきた考察記事を挙げないわけにはいきません!
 本稿では、WebCM第2弾が、HP登場人物はヴァンからルネまでの15人が公開された時点での《発売前考察》として諸々妄想していきたいと思います。
 ※また今までの軌跡シリーズのネタバレを前提としているので、ご注意ください。


1.エルメス(仮)の『父親』とは

「行ってくるわね、パパ──みんなも!」

 まずCM第2弾で序盤に登場した黒髪の女性について。
 明言はされていませんが、見せ方とか声とか諸々から考えて、もう白ジャケットを着てる女性はエルメス(仮)として考えようかと思います。
 エルメスは首都で活動する運び屋でありながら、実は共和国軍の特務少佐だった。描写からして宇宙軍にも関わり、そしてエルメス(仮)はCM第1弾で宇宙圏らしき場所にもいます。
 それ以上の素性は謎ですが。彼女が『パパ』と呼ぶ人物がいることは明らかになっています。
 『パパ』がそこら辺のモブ男性であるとも思いにくいので、仮に共和国で既出の男性キャラが『パパ』がいるとすれば誰だ? と思いました。
 エルメス(仮)──成人済みの20~30歳の女性──がいても年齢的に違和感のない既出男性を挙げてみると、

・グラムハート大統領
 →黎で46歳。アニエス……。
・ファン・ルウ
 →黎で何歳だっけ? でもアシェン……。
・ベルガルド・ゼーマン
 →黎で69歳。むしろ爺ちゃんか。
・ソーンダイクGM/クロガネ/ジェラール
 →黎で34~38歳。……ねえな。
・エルロイ・ハーウッド
 →黎で47歳。年齢だけ考えたら一番ありそう。

 の辺りが浮かんで、最後に《ロックスミス元大統領》が浮かびました。

「そして政治に本来、全も悪もない──是非を問えるのは歴史だけだろう」

・サミュエル・ロックスミス
 →碧で64歳。これも爺ちゃんかな……? でもちょび髭は黒髪だし。
 とはいえ、現旧を含めた各国王族貴族、オズボーン宰相、マクダエル議長、グラムハート大統領ですとか、各国の政治に連なる人物って大体息子娘が仲間になっていますし。ロックスミス閣下の娘というのもありかな、と。
 あと、共和国編で地味に気になっていたのが『純粋な軍属の人間がいない』というものでした。
 各国ではやはり軍人や警備隊の関係者が現れていたのに、共和国編ではそれがいないのです。ルネやキリカなどCID・ハーキュリーズは出ていますが、個人的には情報局というイメージが強い。
 
 裏の事情が強い共和国編であっても、軍の力が弱いわけはない。しかも界の軌跡からは宇宙軍の存在が明らかになっています。軌跡シリーズは各勢力を代表するような人物が仲間になる。それゆえに帝国編はあり得ないほど大所帯になったわけですし。
 エルメス(仮)のこれからに期待したいところですね!

2.分かたれたる双子~イクス&ヨルダ~

《影喰みのヨルダ》

 CM第1弾、そして第2弾。どちらにも《影喰みのヨルダ》がいて、そして《洸弾のイクス》は影も形もない。
 軌跡シリーズは国の成り立ちが主人公の旅と悪役の陰謀に関わることが多いのですが、黎Ⅰではそれがジェラールの血筋に関わる程度で、黎Ⅱでも思想家オーギュストが悪役とはなりましたが、アラミス、シーナ・ディルクなど、革命時の出来事や国の成り立ち、そもそも革命=東からの移民と関わるイスカ神聖皇国の真実など、ぶっちゃけた話共和国の成り立ちはまだまだ想像の域を出ないのです。

 そんな中現れた、イクスとヨルダ。二人はジェラールの子供であり、異能を持ち、庭園の落とし子であり、反応兵器を起爆させる可能性を持ち、執行者であり──とにかく属性がモリモリです。今後クローズアップされないとは考えにくい。
 姉弟同然に育ったエステルとヨシュアは分かたれ、アルフィンとセドリックは対立し、すーなーは一次袂を分かった。
 ならば、イクスとヨルダもそうなるのでしょうか?
 そもそも、私は黎Ⅱの後の考察で双子をして《蟲毒》を思い浮かべたのですが、よくよく考えれば『まだ蟲毒は終わっていない』のかもしれない。だって、メルキオルの命令は「最後になるまで殺しあえ」だったのだから。※最後の《1人》か否かはうろ覚えですが。

 執行者Noもお誂え向きに連盟でのNo.XX。どちらがいなくなっても不思議じゃないし、いなくなれば執行者の《闇》はさらに深まる。


 洸と影の双子。より執行者に相応しいのは──

3.天使と道化師~カトル&カンパネルラ~

《道化師》カンパネルラ

 カトルについては、黎Ⅰと黎Ⅱの感想考察で語ることは語りつくしました。そしてカンパネルラについては、軌跡シリーズ既プレイ組であれば今更振り返る必要もないかもしれません。

 CM第2弾で二人の絡みっぽいシーンが明かされたとき、『ああ、そういえば二人とも性別についていろいろ言われてるな?』と思い至りました。
 カトルはD∴G教団による人工的な天使。カンパネルラは正体不明ですが、昔から容姿が変わっていないという明らかに普通の人間ではない要素があります。ラピスのような人工擬体でも一応可能でしょうし、マクバーン(異界の魔王)はゼムリア側のマクバーンとぶつかってから50年、明らかに容姿が変わっていません。
 黎Ⅱの罪の世界でカトルは一度天使として覚醒してしまった。罪でない世界線でもそうなる素養はあるわけで。天使周りのストーリーは一度収束した、それでもカトルの育ての親のハミルトン博士のムーブもあるわけで、まだまだ物語の第一線で活躍してくれるでしょう。
 
 おい道化師……軌跡20周年だぞ。そろそろ正体明かせや……!

4.《終わりの聖女》が示すもの

「この世界が愛おしくてたまらない。あなたが愛し、護ろうとしたこの世界が」

 双子にカトル同様、ニナと《終わりの聖女》も黎Ⅱで感想考察を挙げました。
 要点としては、

  • ニナは七耀教会の隠密僧兵を率いる者。

  • 《終わりの聖女》でもある。

  • 軌跡シリーズはちょいちょい《終わり》に関わる現象がある。

  • エプスタイン博士の「世界が終わる」

  • 東の大地の不毛化によって「大陸そのものが崩壊している」

  • 巨いなる黄昏によって見えかけた「世界の終わり」

 まずCM第2弾を観てですが、界の軌跡のロゴの女性《候補》として『盟主』『空の女神』が代表例だと思いますが、そこに『ニナ・フェンリィ』も加わったと思います。
 妄想考察なので確証も何もないですが、こんな予想を挙げてみます。

 ニナの正体って、マクバーンと同じ、ゼムリア側における空の女神の同位体なのでは?

魔神《メア=ク=バルウド=ルアウング》≒マクバーン

 空の女神=盟主説とか、盟主=女神の影説とか、いろいろ説はあるわけですが、可能性は無限に広がっていますね。
 けれど女神を奉する一方で裏にも異能にも関わる、そんな七耀教会が掲げるレベルの聖女である以上、単なる祀られるだけの存在であるわけがない。実際ニナは異能らしき何かを使っている描写もあります。
 加えてループ説も囁かれるゼムリア世界。円環を意味しそうな界の副題《O》。『世界が終わる』とエプスタイン博士によって預言される1209年。そこに、マクバーンと同じような経緯でニナに外の世界の空の女神がぶつかり、異能持ちの聖女となって──

 そうして(盟主か主人公か聖獣か何かに対して)語る『この世界が愛おしくてたまらない。あなたが愛し、護ろうとしたこの世界が』

 終わりの聖女、いやニナ・フェンリィは、どんな軌跡を見せてくれるのでしょうか。

5.時代が求める英雄たち~東の精神性を持つ者~

 創の軌跡の終わりに、筆者は《時代は今、新たな英雄を求めている》というルネの台詞について考えました。

  • 大まかに、それまでのエステル、ロイド、リィンはまっすぐ先頭に立って、《激動の時代》に立ち向かう英雄だった。

  • 創の軌跡のロイド、リィン、ルーファスは、一端完成された精神性が崩壊し、そこから新たな価値観を立て直す──世界だけでなく己をも救う包括的な英雄だった。

  • 創以降、変化したゼムリア世界に立つ新しい英雄は、《混迷の時代》に立ち向かうことになる。変化した時代で幸せになるには、変化した幸せの価値や、心の在り様を身につけなければならないのではないか。

 そんな感じのことを語ったわけですが、筆者がその主人公像(東の英雄像)として挙げたのが、ケビン、ルーファス、そして当時はまだヴァンともわからなかった共和国編の新主人公でした。
 もちろん、今後の続報でエステルやロイドが登場する可能性は否定できませんし、シリーズの最後には主人公勢が全員集合することを願ってはいます。
 ですが、CM第2弾までの状況で、ヴァン、ケビン、ルーファス、リィン(リィンも性質的には東の英雄像でいいかと)が軒を連ねているというのは、後述する今後の軌跡シリーズの展開を象徴しているように思えるのです。
 「私なら躊躇なくやれる」というルーファス、影の国を経たとはいえ「今までの仕事もやりますよ」と外法狩り自体は忘れていないケビン、東の大地へ足を踏み入れる資質を有するリィン、そしてヴァン。

 改めて、「時代は、新たな英雄を求めている。それは確か」なのかもしれません。

6.未知なる領域へ踏み込む歴史と《軌跡》

 前節の東の英雄像と合わせて、軌跡シリーズの流れを語ります。これも以前の復習ですが、 

  • ・空:軍事クーデターと国際テロ

  • ・零:宗教テロ

  • ・碧:国家独立紛争

  • ・閃ⅠⅡ:帝国内戦

  • ・閃ⅢⅣ:世界大戦

 と、一部の例外を除けば技術革新によって増長していく列強が世界大戦に向かうまでの物語でした。
 そこから、

  • 創:世界情勢の転換、AIという技術革新の芽生え

  • 黎Ⅰ:大戦後の大国内で暴走するマフィアによるテロへの対処

  • 黎Ⅱ:ゲネシスという古き《遺物》への対処

 という、ゲネシスは別にしても第二次大戦後のテロの勃発、核兵器(反応兵器)の恐怖、惑星の限界(東の大地への不毛化)という環境問題、情報技術革新に翻弄される人々──という現実とも似通った流れを感じていました。


核兵器といえば、映画《オッペンハイマー》が記憶に新しい。人間はいつでも簡単に、一瞬で地球を滅ぼせるようになった。

 現在の現実社会は語れるほど詳しくはないですが、

  • 惑星の限界を前に、持続可能なエネルギー体制を整えられるか。

  • 広がる貧困を前に、やはり持続可能な社会を整えることはできるか。

 といった問題が国を超えて世界で囁かれています。それらに対し、地球の外への避難というのは案としてあるのかもしれませんが、現実的にはSDGs……地球での生活を如何にして持続させるかが要点です。

 ゼムリアにおいては、

  • 東の大地が不毛化している。

  • 霊脈が枯渇している。

  • 《世界の終わり》が預言されている。

 というものがあり、それへの対処なのかはわからないけれど、結社は《永劫回帰計画》を、共和国大統領は《スターテイカー計画》を進めています。
 現実世界では、ロケット開発は冷戦期に熱を上げた。実際はロケットを技術転用してできるミサイル開発の方が重要だったはずです。冷戦期の当初は惑星の限界という概念も希薄だったでしょうし、現実では《世界の終わり》を前にロケット開発をする、なんていうことはなかった。

 シリーズのクライマックスとしての《スターテイカー計画》の興奮だけじゃない。
 《スターテイカー計画》は外の世界を知るための計画。現実とは比較できない未知なる領域へいよいよ進むことになるのかもしれません。

7.《黎明》から《境界》へ

 最後はタイトルについてです。とはいっても、これまでの考察特に第5節6節とかぶる話ではありますが。
 黎Ⅰの感想考察記事で、ヴァンについて《黎明という空の色》というタイトルで色々語りました。

 ※黒でも白でも灰色でもないというのは、自分がいる立場が単なる二領域の中間ではなく、黎明の時、夜明け前から朝焼けに変わる本当に一瞬の《境界線》を指し示しているように感じるのです。
 境界線、もはやそこをさらに分ける境はない。どちらもに属さず、分類さえされない、一瞬で儚く消える不確定な存在です。
 ただ、それが『不安定な存在として安定』しているならば、言ったように《境界線》という表し方でよかった。
 (自分の考察記事から引用)

 《黎明》と《境界》。質は違えど、どちらも二者を分かつもの。その意味では黎の軌跡Ⅲ(仮)が界の軌跡というタイトルに変わる、というのも納得できます。
 《黎》は白黒や夜朝の境で、ヴァンを表す意味でもあって、個人的には境界線と似て非なる意味を感じていました。
 《界》。黎明からさらに明確な境界線の意味も感じますし、あらすじから考えても《世界》の意味も大いに含まれているように感じます。
 境界線、もはやそこをさらに分ける境はない。どちらもに属さず、分類さえされない、一瞬で儚く消える不確定な存在。
 境界線をまたぐことになる、今までいた場所、今までのゼムリア世界にはもう戻れないのかもしれない。

 気になる情報が出たら、また発売前考察②として投稿しようかと思います!


記事を最後までお読みいただきありがとうございます。 創作分析や経験談を問わず、何か誰かの糧とできるような「生きた物語」を話せればと思います。これからも、読んでいただけると嬉しいです。