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未支給年金は相続財産になるでしょうか?

親の相続で年金の支給を止めてもらう手続きをするために年金事務所へ行きました。停止の手続きのために書類を書いていると、相談員の方から「未支給年金を請求できる」と言われたのですが、これって私がもらっていいのでしょうか。相続人は私一人だけなのですが、相続財産になるのでしょうか?


未支給年金ってそもそも何?税金はかかるの?こんなお悩みや疑問を感じる方もいるかもしれませんね。

年金事務所は、いつも混んでいるイメージがありますし、電話で問い合わせてもなかなかつながらないということもあるのではないでしょうか。

本来は請求できるのに手続きしていなかったということで受取っていない。損をしないように請求要件などを確認しておきましょう。

今回は相続で必要になる未支給年金請求手続きについて解説していきます。


そもそも未支給年金とは

まずは、そもそも未支給年金とは何かについてみていきましょう。

年金を受けている方が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。

日本年金機構HP

これは、年金の支給が「後払い」という性格の為発生してしまうものです。例えば、5月20日に亡くなった方の場合、4月分と5月分の2か月分が6月15日に支払われます。これが未支給年金となるわけです。

年金の停止の手続きと同時に未支給年金の請求手続きをしておくと手続きにかける時間を時短することができますので準備しておきましょう。

未支給年金は相続財産なのか!?

では、この未支給年金は、相続財産となるのでしょうか。

結論から言いますと、相続財産ではなく要件を満たしたものの固有の財産となります。未支給年金は、民法ではなく国民年金法19条に未支給年金の規定が定められています。この未支給年金について、相続においてはどういう性質ものでしょうか。

未支給年金
第19条 年金給付の受給権者が死亡した場合において、 その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、 その者の配偶者、 子、 父母、 孫、 祖父母又は兄弟姉妹であつて、 その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、 自己の名で、 その未支給の年金の支給を請求することができる。

国民年金法19条

国税庁のHPを確認すると、以下の通りとなっています。

未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給年金を自己の固有の権利として請求するものであり、当該死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはなりません。 なお、遺族が支給を受けた当該未支給年金は、当該遺族の一時所得に該当します。

国税庁HP未支給の国民年金に係る相続税の課税関係より

ここについては、最高裁判決(平成7年11月7日)にて、遺族の生活保障の意味合いが強いことを理由に未支給年金は相続財産には当たらないという結論がでています。

例えば、故人の年金で生活をしていた配偶者であれば、配偶者固有の財産ということになり、相続財産とは別に未支給年金を受け取れるということになりますね。

相続財産ではないということは、仮に相続放棄をしたとしても要件を満たしていれば受け取れるということになります。相続人がおひとりさまであっても、要件を満たしていなければ未支給年金を受け取ることはできませんので、しっかり要件を確認していきましょう。

請求しないともらえない!まずは請求要件を確認しよう

未支給年金を受け取れる要件については、日本年金機構のHPに詳細があります。ここでは、概略と注意点を2点確認しておきましょう。未支給年金を受け取れる遺族の範囲は以下の通りとなっています。

(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族となります。ただし、相続の際に相続人の順位というものがあるように、未支給年金を受け取れる遺族にも順位があります。

例えば、配偶者が要件を満たしているのであれば、後の順位となっている子や父母がいたとしても子や父母は未支給年金を受け取ることはできません。遺族がおひとりさまの場合は、あなたが請求できることになります。ただし、もう1点注意点があります。それは、生計同一要件の有無です。

未支給年金は、「生計を同じくしていた」遺族が受け取れるものになります。理由は、未支給年金が遺族の生活保障という意味合いがあるからでしたね。ただ、一緒に住んでいないからといって「生計を同じくしていた」という要件に該当しない訳ではありません。

別世帯であってもその理由や経済的援助の有無などの要件を満たせば可能ですからあきらめずに要件を確認しておきましょう。用意する書類の日付など細かい点も事前に確認しておけば慌てずに書類の準備をすることができるでしょう。

相続が発生したら請求期日をメモしておこう

相続が発生したら、請求期日をメモしておき年金の停止の手続きの際に要件をしっかり確認しておきましょう。死亡届は、10日(国民年金は14日)以内に届け出ます。

未支給年金を請求できる期間は、原則として5年で時効が成立します。5年の期間はありますが、請求できないと思い込んでしまうと請求しないまま経過してしまいます。

必要書類など準備できるものがあれば、事前に用意しておきできれば一度で済ませられるといいですね。

年金の停止と未支給年金の請求を一度で済ませるためには

では、ここからは、年金の停止と未支給年金を一度に請求するための必要書類についてみて聞きましょう。

年金事務所は基本的に混んでいる時間帯が多く。長時間待たされることもよくある事です。書類不足でまた年金事務所に来なくてはいけないなんてことがないようにしっかり準備しておきましょう。

死亡の届け出

  • 亡くなった方の年金証書

  • 死亡の事実を明らかにできる書類

亡くなった方の年金証書が見当たらない場合は、年金通知書等で基礎年金番号を把握します。

戸籍の編集には数日かかりますので、スピーディに手続きをしたいのであれば、死亡診断書の写しを複数枚用意しておくと便利です。

ただし、死亡の事実が記載してある戸籍があると続柄(つづきがら)が記載されているので、未支給年金の請求と同時に手続き可能です。

未支給年金請求の届出

  • 亡くなった方の年金証書

  • 亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類

  • 亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類

  • 受け取りを希望する金融機関の通帳

  • 亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書」

法定相続情報一覧図の写しは作成するまでに時間を要しますので、続柄のわかる戸籍があると便利です。

住所の証明は住民票になります。亡くなった方には「除住民票」が発行されますので、世帯の住民票と合わせて市役所で取得しておきます。

未支給年金の請求書に金融機関から証明を受けた場合は金融機関の通帳が添付不要になったり、公金受取口座を利用する場合は、金融機関の証明や受取先の金融機関の通帳写しが不要になる要件がありますが、あなたの状況に合わせて準備しましょう。

まとめ

・未支給年金は相続財産ではありません。
・年金の停止の手続きは、10日以内(国民年金は14日以内)と決まっていますので速やかに手続きをしましょう。
・未支給年金の請求期限は5年です。

相続は、自分の終活を考えるきっかけにもなるので終活ノートに気づいたことをメモしておくといいでしょう。

相続手続きは非常に膨大な事務量です。何から手を付けたらいいかわからないという声をよく聞きますし、相続が起きた直後はショックもあり、精神的にも不安定な状況になります。

周囲や残されたものに負担をかけないように終活ノートを活用しましょう。

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