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2022年にクリアしたゲームの感想全部書く

タイトル通りです。

ゲームが好きでゲームをよくやり、ゲームの感想をTwitterに書いたりもするけれど、こうしてひとつの記事にまとめたことがなかったため、まとめました。Twitterで書いたことに多少手を加えればいいやろと思っていたのに、なんかめちゃくちゃ長くなりましたが……。

拙い文章ですが、「へえ、こんなのがあるんだ」とか「こいつは良さをぜんぜんわかってないなあ」とか、そういう感じで読んでいただけたら幸いです。もっとみんなに、軽率にゲームやってほしいから……。

尚、極力ネタバレを避けていますが、直截的な表現や、「あそこがああなら」みたいなのはありますので、ご了承ください。


Marvel's Guardians of the Galaxy(マーベル ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)

クリアした日 2022年1月10日 プレイ時間 21.5時間ほど

ジェームズ・ガン監督の映画でもおなじみ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以下GotG)の活躍を描くアクションアドベンチャーゲーム。

映画版とはまた違った視点・物語で、痛みを抱えた連中がチームや家族になっていく様を、大冒険をとおして描く作品で良かった。

一応アクションゲームだけれど、一番の魅力は道中の会話で、もうとにかく喋りまくるしジョークや皮肉を返したりする。
一旦会話がやんだと思ったらまた始まったりするし、脇道にそれて探索をしているといちいち会話が発生するから結構びっくりした。とにかく道中のお喋りのセリフ量やバリエーションが多くて飽きない(リブート版『ゴッド・オブ・ウォー』などに近いセリフ量)。
ローカライズも丁寧で、吹き替え声優陣もいい演技をしている。

映画版とはまた違った事情を抱えるロケットやガモーラの描写、超能力ソ連宇宙犬のコスモ(かわいい)、さまざまな平行世界と過去・現在・未来を常に観測しているうえにギャルみたいな軽~い喋りをしまくる面白いマンティスとか、魅力的なキャラクターが多くて良かった。
キャラの掘り下げも良かった。特に、妻子を殺されたドラックスと母親を殺されたスターロードが、宇宙の果てを見ながらお互いの死生観や死後の世界について話すくだりは特にエモーショナルで、こういうものをちゃんと見せてくれるんだなと強く印象に残った。

本作のなかでもかなり印象に残るくだり

衣装デザインに各惑星の環境もやたら凝っていて、大作ゲームってやっぱり凄いなと改めて思う。作中、スターロードお気に入りの80年代ポップスが流れたり(映画版とはスターロードが宇宙に行ったときの年齢が違うので、選曲がまた違くてユニーク)、少年期のスターロードの誕生日ケーキがパックマンだったり、チューバッカのフィギュアを大事にしていたりと、ライセンス関連も凄いなと思いました。

宇宙の巨大都市から…
氷に覆われた惑星まで、多種多様な惑星の景色が見られる

アクション部分は今どき珍しいくらいシンプルな三人称視点シューティング。割と敵の数が多くなりがち&乱戦になりがちだし、適宜仲間にスキルの指示を出さないといけなくて、思ったより忙しない感じ。QTEもあるし、あまりゲームをしない映画ファンにも楽しめるようにしているのかなあと思う。

GotGはどうしてもジェームズ・ガン監督による映画の印象が強いので、ゲーム版もそっちの印象に引っ張られちゃうかなと思っていたのだけれど、そんなのは杞憂だったなと思うくらいにはちゃんと面白い別物として──バットマンのアーカムシリーズやインソムニアックのスパイダーマンのゲームと同じように──作られていて、それが好印象でした。
マーベルとかMCUとかよく知らないな、という人にもおすすめです。

愉快な仲間たちとのゲームなので、フォトモードでつい仲間たちを撮ってしまうゲームでもあった

Inscryption(インスクリプション)

クリアした日 2022年1月14日 プレイ時間 18.7時間ほど

カードゲームは正直いってしまうと苦手(ルールが覚えられないしデッキ構築は面倒だし)なのだけど、評判の良さに思わず遊んでみた。
確かにこれは面白い。そして、上にあげた「GotG」を一旦放置するほど、かなりハマった……カードゲームとしての面白さという意味でも、カードゲームが苦手ゆえの前半での進捗の進まなさという意味でも。

Steamのストアページにあるように、ジャンルとしてはデッキ構築型ローグライトと脱出ゲームスタイルのパズル、さらにサイコロジカルホラーということになる。
あと、ある要素を含んだゲームで、その要素自体は先行するあれとかそれとかのほうが上手くいってるんじゃないかなあ、特に考察したいとはあまり思えないかなあとは思ってしまうのだけれど、ヴィジュアルといい雰囲気といい全体的にユニークな作りになっているので、そこが本当に強いよなあと思う。
なによりも、カードゲームの面白さの勝利だと思う。

ローグライトというゲームの特性上「これいつ終わるんだ……」みたいな気持ちにはなっちゃうので、そこらへんの匙加減の難しさも同時に感じるゲームだったかなと思う。
なにもかも手探り状態の前半、そして終盤が楽しくて良かった。


真・女神転生V

クリアした日 2022年2月23日 プレイ時間 67時間ほど

「真・女神転生」シリーズでちゃんとクリアしたことがあるのはⅣで、初めて触れたのもⅣ。それ以外のものは買ってはあるんだけれどちゃんとクリアしたことのないものが圧倒的に多く……という感じです(「ペルソナ」は3~5をクリア済み)。

本作で一番面白いのは何か? と訊かれたら、それは仲魔になる悪魔“仲魔”の育成・合体だと思う。
開始してすぐの頃は「『真Ⅳ』の邪教の館アプリっていつでもどこでも悪魔合体できてマジで便利だったな〜」という気持ちだったけれど、マッカ(ゲーム内通貨)が溜まって逆引き全書合体がある程度使えるようになるとそんな気持ちも吹き飛ぶ。
今までの作品で「この悪魔が作れたらこいつとこいつは別に作らなくても良いかな。メモってもそのうち忘れるし」と割とすんなり諦められたものが、「マッカさえあればこいつら全部作れるんだよな(ニチャッとした笑み)」になってしまったので、自分好みの最強の悪魔を作るための試行錯誤で1日のプレイ時間の7割を悪魔合体で消費する日も……。
そして終盤の台東区マップではレベル差のあるボスが点在しているので、しびれを切らしてマッカ稼ぎDLCを導入してしまい……。

……という感じで、仲魔の育成・合体については非常に楽しかったものの、では他の部分はどうだったかというと、首を傾げてしまう箇所が多かった。

今回、「ゼルダの伝説」シリーズや『ダークソウル』等のソウルライクを意識したのか、やたら高低差の激しいフィールドが出てきてそこを探索することになるのですが、たしかに探索しがいはあるけれど徐々に複雑且つ広大になっていくわ、そもそもジャンプの挙動が微妙だわで、この要素も面白くはあったけれど手放しで褒めるには……という感じ。
特に魔王城。ある箇所からダンジョンギミックがかなりストレスを感じるつくりになっていてキツかった。やたら当たり判定の大きい吹き飛ばしギミックでマリオみたいなことさせられるのは流石に……。

中盤以降、シナリオが「これ開発中に間違いなく何かあったのでは……?」となるぐらいには描写不足で、更に一気に説明台詞で説明したりが目立ち、そこはかなり微妙だった。
終盤の台東区マップが広すぎ&いろいろと詰め込みすぎ(世界の神様、台東区に集まりすぎ問題)で、しかもレベル差のあるボスが点在していてそいつらを倒すだけ(そしてちゃんとレベル上げをしないといけない)なので、ストーリー的にも攻略的にもモチベーションが若干微妙になってしまい、結構フラストレーションが溜まってしまうつくりになっていた。

しかし、フィールドの探索とナホビノと仲魔の育成だけでどんどん時間が吸われていくゲームなので、これでシナリオが『ペルソナ5』並のハイカロリーさだったら、クリアまで100時間必要な、それはそれはかなり疲れる作品になってたんじゃないか? とも思う。

今回おそらく「空虚な東京」を描こうとしたっぽいんだけれど、おそらく諸事情で描写できる範囲・行動できる範囲が限定的になってしまったせいか、意図していない別の空虚さが生まれてしまっていたような気がする。東京を救わなきゃいけないのに、特に思い入れが発生しにくいというか……。

いま(新型コロナウイルス禍)の空気感だなあとプレイ当時思ったセリフ

ロウ・カオス・ニュートラルの3つをそれぞれ現代的な世相や事柄にガッツリ絡められそうだったのに、結局そこまでは描けていなかった。
そのどっちつかず感やすわりの悪さは、逆に2010年代後半から2021年にかけての混乱した世界の空気感をむしろ体現しているんじゃないか?(制作者の意図とは別に)ということをちょっと思ったりもした。

あとかなり細かい不満点をあげると、気合が入ってるリッチな作りなのに、昨今の大作ゲームだったらだいたい実装されている操作方法やチュートリアルメッセージや用語をまとめたtipsや、コントローラーの振動がオミットされているのがなかなか不思議ではあった。
全体的に、かなり不思議な仕上がり方をしているゲームだなと思った。

悪魔合体もボス戦も楽しいのだけどな……という印象
終末的景観も良かった

ELDEN RING(エルデンリング)

クリアした日 2022年4月8日 プレイ時間 123.5時間ほど

エルデンリング おお エルデンリング……
フロムソフトウェアによる所謂ソウルライクの集大成的作品。
……ということはだいたいみんな知ってると思うので説明は省きます。

予想以上に広大な(広大すぎる!)世界に、探しても探してもぽこぽこと出てくるダンジョン。さんざん探索したはずなのに、クリアしたあともまだ自分の見ていないボスやダンジョンがあってビビりました。
よくこんなボリュームのあるゲームを作り上げることができたなとただただ驚いてしまう。

舞台となる世界自体は荒廃しているのに、愛馬トレントを駆り、野を、森を、びっしょびしょの薄暗くて気味の悪い湖を、なんかキモくてデカい犬があちこちうろつく悪夢みたいな赤茶けた荒野を駆け回っているだけでも楽しく、更に怪しげなオブジェクトを調べると中ボス戦が始まったり、洞窟を調べると小~中規模の地下ダンジョンが広がっているので、やめどきが一切わからなくってしまう。

とはいえ、プレイヤーが自由に旅をすることが可能なオープンワールドタイプを導入したからなのか、後半のプレイヤー個々人のビルドやスキルに対してあまり考慮ができていない感じというか、ボスの調整のファジーさが後半ちょいちょい目立っているような気がした。霊体召喚前提かってぐらいやたら複数体出てきたりとか。そういうところは首を傾げてしまった。
いやまあ、自分はソウルシリーズでも何度か挑戦して勝てないなと思ったら他プレイヤーを召喚する人間だし、今回は遺灰(召喚獣的なもの)もあるしで、全然抵抗はないのだけれど、それにしても複数体ボスが……という印象。
雪原あたりからは「みんなもう霊体を強化したり戦技も使いこなせてるだろうから、こんな感じでどうや」というノリになっていた気はする。

また、広すぎるなと感じてしまう場面もあった(王都が広すぎて人間の脳の理解力・空間把握力の限界をやや感じた)。あともう15〜20%ぐらい絞っても良かったんじゃないか? みたいなことはちょっと思う。
広すぎ&探索が楽しすぎて、今までのソウルシリーズ作品より各キャラや設定が微妙に把握しづらい印象もあった。あと相変わらずNPCイベントはわかりにくい。
一部ダンジョンも構造がかなりイラっとするものもあったりする。

……のだけれど、広大な世界をひたすら探索することの楽しさで全部チャラになってしまう。そこが本当に凄い。
オープンワールドタイプのゲームでストーリーをどう語るか、ユーザーをどう飽きさせないか、という課題があると思うのですが、「ゼルダBotW」と『エルデンリング』はそこらへんの足し算・引き算、バランスの取り方がかなり上手いなあと思う。

発売から1ヶ月でプレイ時間が100時間弱に達していたのだけれど、1ヶ月で100時間ゲームをするということが今まであまりなかったので、そういう意味でも稀有な体験だった。
こんなにぶっ続けでひとつのゲームに100時間以上費やすのは、大学1年生のときにやった『フォールアウト3』ぶりかもしれない(近年だと『ウィッチャー3』や『サイバーパンク2077』もボリュームがあったけれど、両方とも100時間はいってない)。

萌えキャラ、ラニ様。ちなみにラニ様ENDにしました。
萌えキャラ2
萌えキャラ3

今までのソウルシリーズでは中途半端にあれこれ試したのちに最終的に脳筋ビルドになることが多かったため、はじめて技魔ビルドを試してみたのですが、割と魔力に弱い敵が多くて、こんなに楽だったのか……と驚きました。
ありがとう岩石弾ぶつけまくり祭り。知力ってすごいぜ。

とてつもないゲームでした。私的GOTYです。

景勝地ではしゃぐ筆者

星のカービィ ディスカバリー

クリアした日 2022年4月15日 プレイ時間 8時間ほど

お手軽さのなかにちょっとしたやりごたえが上手い塩梅で混ざってて良かった。なによりかわいいし。思わず幼子のような笑顔に……。

大人になってからのほうが任天堂のゲームのシンプルさと、そのシンプルさでどうユーザーを楽しませて、またやりごたえを出すのかということに気付かされることが多いのですが、まさにそういうゲームでした。あとかわいい。

ちなみに今回、ポストアポカリプス的な世界観をカービィが旅するわけですが、『ニーア オートマタ』みたいなことやってるな〜やりたかったんだろうな〜というロケーションがいくつか出てきたと思ったら、『けものフレンズ』から影響されたんだろうなと思しき箇所もあって、2017年上半期のポストアポカリプス作品群を上手く昇華している感じでそこも面白かった。

ちなみに裏面はまだクリアしていませんが、裏面の難易度上昇具合も「上手いっすね……」と笑顔になってしまう。

いいこと言うなあと思った箇所

TUNIC(チュニック)

クリアした日 2022年6月7日 プレイ時間 12.5時間ほど

2Dゼルダ風のビジュアルと探索要素+ソウルシリーズ風復活システムと盛りだくさんな感じで、よくできていた。音楽もいい。

本作独特の要素として、フィールドに散らばった一部解読可能な説明書(比喩とかじゃなくゲーム内にゲームの説明書が落ちてる)を集める要素があるのですが、これがだいぶいい。
説明書を集めれば集めるほどシステム理解と攻略の役に立つし、異言語なので手探り感も同時にある。
昔のゲームの説明書ってゲーム世界を表現したイラストがあったり攻略のヒントがあったり、それを読んでるだけでも楽しかったよね、というのをノスタルジーなだけじゃなく、かなり上手くやっていて好印象だった。

こういう感じで、一部が異言語になっている
所持品や装備品が見られるメニューも異言語だったり

ただ、ゼルダやメトロイドが好きなインディーゲー開発者が、それらに敬意を表するあまり難易度の高い謎解きやパズルを入れてしまう現象が本作でも発生していて、「キミの気持ちはよくわかった! ……わかったので、妖精探索だけ流石に攻略見てもいいですか……?」という気持ちに……(これは自分が面倒くさがりだからですが……)。

そして真エンドの謎解きには、上にあげた説明書要素が絡んでいるのですが、だいぶ難しすぎてそこは流石に攻略を見てしまった。いや、まさか、そこまで説明書ガチLOVE勢で、そこまでやるとは……。


OMORI(オモリ)

クリアした日 2022年7月7日 プレイ時間 24時間ほど

ポップでかわいらしい世界と、現実世界を行き来するRPG。ポップさの節々から不穏さやホラーな要素がはみ出まくるのが特徴的なゲーム。
所謂「MOTHER」シリーズと「ポケモン」から強い影響を受けたインディーゲーですね(恥ずかしながら「MOTHER」シリーズを未だに触っていないので、影響関係を具体的に書くことはできないですが)。

システム自体は良くも悪くもクラシックなターンベースのコマンド選択式。「しょんぼり」「にこにこ」「いらいら」の3つの感情を敵や味方にバフ・デバフとしてかけるシステムが特徴的で、スキルの効果に大きく作用したり、キャラの表情がころころ変わるのが面白かった。

みんな表情が豊かでかわいい
個性がありまくるキャラクターたち

筆者が本作を知ったのは2014年のこと。以下のトレイラームービーを見て衝撃を受け、Kickstarterで支援をした。

その後、進捗があったり延期したりで、リリースされたのが2020年の末。さらにそこから日本語が実装されるまでに1年がかかり、気がついたら自分が遊ぶ頃には8年が経っていた。

開発期間が長かっただけあってだいぶ個性の出たゲームだったし(特にアートまわり)、ちゃんと納得できる、そして強く記憶に残る作品になっていた。

しかし、どうにも冗長な部分があり、戦闘のテンポももう少し良くしてほしかったな、とも思う。

前述したように、ポップな世界と現実世界を行き来して謎を探っていくゲームでなのですが、主人公たちの友達であるバジルくん捜索がかなり長い(もちろん長いのには理由がある)。
真相が明かされるのが終盤とやや遅く、しかもそこでかかる精神負荷がなかなかのもので、なおかつプレイヤー側の感情の整理が追いつかないままエンディングになだれこんでいくので、個人の好みとして微妙に合わなかったかなとは。
あと真相部分とラストに関しても、それはそのまま押し切ってプレイヤーの手に委ねても大丈夫なんだろうか? と思ってしまうものだったというのもある。

現実世界だとめちゃくちゃグレているオーブリー(理由はシリアスだけどそれはそうとかわいい)
全編通して重要なバジルくん
どこでもピクニックをしていてセーブと回復をさせてくれるマリお姉ちゃん(かわいい)

個人的にかなり楽しみにしていたと同時に、合うところと合わないところがきっぱりわかれているため、やや複雑な気持ちが多少はある。
とはいえ──繰り返しになるけれど──記憶に残るゲームだし、やってよかったなと思う。

ちなみに本作、結構ど直球に『スタンド・バイ・ミー』に対するオマージュをしている。
最初は単純に「ポケモン」リスペクトなんだと思っていたんだけど(“男の子が4人線路の上を歩いている”というやつですね)、そうじゃなくて、実は最初から最後まで『スタンド・バイ・ミー』をちゃんとやっていた。
『スタンド・バイ・ミー』→「MOTHER」シリーズ→「ポケモン」シリーズというオマージュの流れをちゃんと引き受け、そして自分たちになりに昇華させていることに気がついたときはとても感心した。


シャドウ オブ ザ トゥームレイダー

クリアした日 2022年7月21日 プレイ時間 15時間ほど(サブミッションはあまりやらず)

アイドス・モントリオールが手がけている「トゥームレイダー」シリーズのリブート3部作の完結編。

先に「アンチャーテッド」シリーズに触れていたせいか、どうしてもこのリブートシリーズに対して全体的な手触りで「アンチャーテッド」と比較してしまう自分がいて、いろいろと物足りなく思ってしまったり、肌に合わないと思ったりもしていた。
ただ本作は、移動関連の手触りがいい意味で「アンチャーテッド」っぽくなっていたのと、体に泥を塗りたくってステルスするといったサバイバル要素の強化がなかなか良くて、今作でようやく好きになれたなと思った。

「アンチャーテッド」シリーズでもよくツッコまれていた「アクションゲームの主人公、大量殺人しすぎ問題」に対して深く掘り下げはしないものの、いざとなったら矢をつぎつぎと放ち、ピッケルをさくさくと叩き込んで敵を殺していってしまうかなり異様な存在になってしまっているララが、自分自身のその行動に苦しんだり戸惑ったりする描写を入れてくれたのはだいぶ良かった。そりゃ自分でも嫌になりますよね……本当に異様だもん……プレイヤーがいうのもなんだけど……。

それにしても明度をある程度上げても暗い洞窟が全然見にくかったり、ララがライトをあまり点けてくれなかったりしたのはかなり困った。明度調整やガンマ値の調整って、この手のゲームだとマークが見えなくなるまで云々とやるものだけど、そういう感じではなかったし。


大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-

クリアした日 2022年8月9日 プレイ時間 32.5時間ほど

1話ごとのボリュームとカロリーが凄くて、途中で中断をはさみつつ1年ぐらいかけてようやくクリアした。
諸々あって中途半端になっていた前作から、ちゃんといろんなことに決着をつけていて良かった。終盤ちょっと駆け足だったかなという気もしたけれど。

セールでお安いときに買って積んでいたら3DSから他機種への1&2ダブルパック移植版が出てしまっていたので、積むのはやめようねと思った(ぜんぜん積んでしまうが)。

このシリーズの変なホームズはだいぶ好き。

3を作れる余地は残してるけれど、どうなるんだろう……。

(ほかの作品に比べると感想がかなり薄いですが、これは単純に間をおいてプレイしてしまったからなのと、あと「逆転裁判」シリーズの面白さっていまさらおれが説明しなくてもみんなもうわかってるよね? みたいな気持ちがあるから、というのもある)


デビル メイ クライ 5

クリアした日 2022年8月17日 プレイ時間 13.6時間ほど

スタイリッシュアクションシリーズ、久しぶりのナンバリング新作(といっても出たのは2019年)。
自分がちゃんとクリアした「DMC」シリーズは4と、それとニンジャセオリーが制作した外伝的作品の『DmC』だけなのだけど、まあ楽しそうだしと手を出してみた。

終盤ちょっと話が駆け足だったけれど、じゅうぶんに面白いスラッシュアクションが楽しめたので良かった。

しかしまあ、話もアクションもいろいろと極まってしまってる感じはある(特にダンテのアクション)。
それに今作は結構“身内”の話なので、次回作でまた新プレイアブルキャラなり新主人公なり出るんじゃないかという気がする。むしろそうするために、身内の話に決着をつけたのかなという気もする。

多彩な義手をとっかえひっかえするネロ、4つの戦闘スタイルに2~3つの武器を操るダンテ、召喚獣を使うVと、多様なアクションが楽しめた。
特にダンテはかなり凄く、上に書いたように4つの戦闘スタイルに複数武器が加わって、やることが多すぎてだいぶ楽しいけれど頭が爆発しそうにりながらプレイしていた。頭使うし難しいけれど武器とスタイルの変更さえしてればスタイリッシュランクはある程度維持できるので、純粋にコンボを繋げなきゃスタイリッシュランクが維持できないネロの方が逆に難しく思えるという変な状況に……。

シルクハット型の武器を手に入れて踊る愉快なイケオジことダンテ

所謂ソウルシリーズ的な読み合いと一対一の剣戟アクションに慣れたあとだと、「DMC5」のようなスラッシュアクションは懐かしいと同時に一周まわって新鮮に感じられるなと思った。

ロックオンシステムまわりはちょっと微妙に感じられた。カメラがもう少し追従してくれれば……。

1ステージがそこまで長くなくて最後にボス戦があり、ややボスラッシュめいた構成になってるので、ちょっと『ベヨネッタ2』っぽいかもなとも思った。

しかし最近の「バイオハザード」シリーズといい今作といい、カプコンはなんかいろいろといい感じなので、この調子でREエンジンを活用して『鬼武者』の新作とか作ってくれないかしら?


Twelve Minutes(トゥエルブミニッツ)

クリアした日 2022年8月18日 プレイ時間 4時間ほど

繰り返される時間のなかで、家に押し入ってきた警官は何者なのか? 愛する妻は何を隠しているのか? を探っていくアドベンチャーゲーム。3~4時間ほどでじゅうぶん楽しめる良い小品。

一回のタイムループが約10分でやめ時がわからないし、試行錯誤の謎解きが面白い。
……のだけれど、ただ、限られた主要人物に全て集約させるようなプロットなので、別にそういう真相にしなくてもいいんじゃないかな……とは思ったりした。

リアルタイムで進行するタイムループものなので、繰り返していくうちにだんだんと擬似RTA感が出てきてその感じも良かった。
ゲーム内の状況はとんでもなくシリアスなので、プレイヤーがそういう行動をテキパキと取ってしまうこと事態はよくよく考えるとグロテスクではあるのだけど。このループもうダメだなとなって自殺したりとか、解法を見つけるために帰宅して早々に妻を無視してクローゼットに引きこもったりとか……。

声優はジェームズ・マカヴォイとデイジー・リドリー、それにウィレム・デフォーがつとめていて、特にデフォーの、さんざんいろんな映画で聞いたあの残忍な声と演技は思わず恵比須顔に……。


Disco Elysium The Final Cut(ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット)

クリアした日 2022年9月26日 プレイ時間 31時間ほど

このゲームに関しては正直いっておれ以外のだれかの方がもっと上手くいろんなことを書いてくれるでしょう

絶えず行われるスキルチェックによって変化する語り口、選択肢。突如閃く思考の数々。あまりにも多い情報量。各キャラが抱える政治背景。謎の怪現象。インスリンデナナフシ。
……といった諸々がある、ひとつの“街”の話で、それがとても良かった。
事件の真犯人に関しても“街”の物語にふさわしいもので、その仰々しくないところが良かった。

事件捜査などに役立つ「視覚計算」スキル
「悪寒」のレベルが高いと突然街やその外の情景描写をしはじめ、
「知覚」によって地の文が豊かに変化する。
もちろんこれ以外のスキルも絶えずガンガン流れてくるため、どの基礎パラメータやスキルのレベルを上げるかによって、プレイヤーそれぞれの違う体験がある

サブキャラだと(キム以外では)ダイス職人さんとクーノとクラーシェが好きだった。タイタス然り、みんな決して一枚岩な人間ではなく、複雑な個人というのを描いてくれていてそれが良い。

みんな大好き、相棒のキム(いい人)
ダイス職人さん。頓挫してしまったとある大型ゲームプロジェクトや“ロールプレイングゲーム”について語るさまは、まるで制作者たちのありえたかもしれない姿のようでもあるし、代弁者のようでもあり、そこが興味深い(絶えずダイスロールが行われているゲームでダイス職人が出てくるという、その意味)

システムの一つである思考キャビネット(かんたんにいうとパッシブスキルのようなもの)も、いったいなにがメリットでデメリットなのかわからない感じがとても面白かった。

突然、共産主義に目覚めよと言われる主人公。
筆者が「うわ、このゲームマジで変!」と笑顔になった瞬間のひとつ
炭素生命体から進化せよ、マグネシウムを補給せよ、という閃きから生まれた謎の思考「マグネシウム生命体」。結局「悪寒」のレベルを下げたくなくて取らなかった。
そもそもマグネシウム生命体って何???

難点……というわけでもないけれど、これだけ読ませることに力を入れていたり、独自用語・独自設定が多いゲームなのに、作中に用語集等がないのは微妙に不便だなとは思った。記憶喪失の主人公が手探りで世界を探っていく話なので、そこらへんはプレイヤーがちゃんと把握していてくださいねという割り切った作りなんだなとは思う。
そういうところも突然分厚い海外翻訳小説をいきなり読まされているようで、楽しかった。

一見地味なポイントクリックゲームにも関わらず、文章とアートスタイル、それに(英語だからわからないものの)ボイスアクトの声音と演技が良くてずっとやれてしまう魅力があった。頻繁に行われるスキルチェックとスキル≒人格の介入もテンポが良くて退屈させないので、よく考えられてるなあと。

「わかった」けれど「読めた」とは思わないし、もちろんわかったはわかったけれど、理解できたわけじゃあない。
なので、これからも定期的に触れる作品になるだろうと思う。終盤にある存在が突然現れたときの不思議なエモーショナルさも、何度も味わいたい。
なにせ、基礎パラメータやスキルによって語り口が変わるだけじゃなく、いろいろとサブクエストや政治クエストもあるので……。

筆者の初期値。知性2・精神4・肉体2・運動4の「感受性は高いし神経質だし運動能力はあるけれどそれを支える知性とフィジカルがどうにも足りないおじさん刑事」というロールプレイをしようとしていた。

ちなみに、物語のラストでキムからの評価を聞かされるくだりがあるのですが、「まあ言うてそんなにここまでチェックしてないだろうし響かないでしょ」と、会話パターンをすべて見たくてNPCの差別的な言動に同調したりする選択肢も選んでいたら、最終的に「彼は女性差別的、また人種差別的な側面がありつつも非常に善良で、おまけに共産主義者です。なぜそんな複雑なものが両立しているのか、不思議でなりません」というようなことを言われ、「そ、そう思われていたのか……」と少し凹んだりした。

ずっと気になっていた作品だけれど、文章量的に絶対に翻訳はされないだろうと思っていたので、こうして触れることができて本当に嬉しかった。

これから触れる人には、システムだけでなく、作品の制作背景や影響を与えた作品などについても非常に力を入れて解説をした、doope!の下記記事(全10回!)が参考になると思います。


ラチェット&クランク THE GAME

クリアした日 2022年10月7日 プレイ時間 9時間ほど

プレイステーションの看板タイトル、「ラチェット&クランク」のシリーズ1作目をPS4でリメイクしたもの。PS5で出ている最新作『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』に触れるまえにやってみるか、今までシリーズに触ったことないし、という理由で触ってみた。

流石PSの看板タイトルで、そしてインソムニアックゲームズが作っているだけあって、カジュアルなのに良く出来ている。『星のカービィ ディスカバリー』同様、思わず頬が緩んでしまう楽しさ。アメリカ的なちょっとブラックな笑いも散りばめられていて、そういうところも楽しい。
箱を壊したり敵を倒すと通貨であるボルトが大量にばら撒かれたり、ステージも多種多様でビジュアル面も良い。
何気に武器の弾数制限がシビアで、ちゃんといろんな武器を使い分けなきゃいけなかったり、武器強化も細かかったりと、よく考えられてるなあと思った。

相手を強制的に踊らせるミラーボールとかレトロゲー風ピクセルにしてしまうショットガンとかいろいろあるけれど、後半で手に入る、敵を羊にしてしまうビーム(羊になった相手にもう一度ビームを当てると矛盾を起こして爆発する)のポップなエグさがめちゃくちゃ良かった。(動画ファイルを貼れないので以下のツイートを参照)

むずかしい『ディスコ エリジウム』を触ったあとだったので、シンプルさが五臓六腑に沁みた。


Scorn(スコーン)

クリアした日 2022年10月15日 プレイ時間 5.5時間ほど

これも『OMORI』同様、いつ出るんだとずっと気になっていたゲームですね。
ギーガーやベクシンスキーに影響された、陰鬱で重苦しくグロテスクな謎の世界を舞台にするホラーFPSアドベンチャー。
いきなりこの世界に放り込まれ、そして言語が一切ない世界なので探索も謎解きもすべてが手探り状態。この世界観を歩き回れるだけで大満足。

……というのはニ時間ほどプレイした時点での感想で、全体の感想としては、「ギーガーやベクシンスキー風の悪夢的世界を歩き回れるウォーキングシミュレーターとしては大満足なんだけれど、いかんせん謎解き要素も戦闘要素もどっちつかず且つそんなに面白くないのがなかなか厳しい」という感じになってしまいます。

ヴィジュアルは本当に素晴らしいんです

おそらく非言語にこだわったせいなのか、どうも単調になってしまっているなという印象。謎解き部分がそんなに面白くなく(単純な目押しとかたいして面白くない迷路パズルとかが出てくる)、通路が広ければダッシュでなんとかなるから結果的に弾が余って敵を余裕で倒せてしまい、後半かなりどうでもよくなる戦闘バランスや、正直かなり変でストレスのたまるチェックポイントなど、悪い意味でインディーっぽい粗削り感が出てしまっているなと思う。

ただ、制作期間が長かったぶん、美術面は徹底的にこだわっているため、その点では本当に目を見張るし、唯一無二のゲームになっている。そんなに背景やギミック作り込んでるのに他のステージで使い回さないの!? というのもあるし。いろいろと凄すぎますし、圧倒されます。

ACT4に出てくる謎の巨大存在。
コミュニケーションが取れそうで絶対に無理なんだろうなという感じが素晴らしい

唯一無二のゲームではあるので評価されてほしいし報われてほしい。でも、いやこれはちょっと人に勧めるには厳しいなという看過できない部分があって、それがもどかしい。自分は結局ゲームパスでやってしまっているから、こういう感想で落ち着いているというのもあると思う。

あと、一見ホラーっぽいけれどギーガー等の世界観を再現した作品なのであって、別にホラーゲーじゃない(気味が悪くてグロくはあるけれどそんなにホラーではない)っていうのは、ちょっともったいないかもなと思う。敵クリーチャーも最初は怖いのだけど、ダッシュでなんとかなってしまうし……。ジャンプスケアを一切やらないのはいいと思う。

それはそうと、ACT5のギーガーリスペクトを全開にしまくって性的モチーフの像やレリーフをドカドカ出してくる感じは「お、やっとるね」という感じで笑顔に。ただ、あまりにもそのまんまなので、これは流石に寛容そうなギーガーサイドからも怒られるのでは……と心配する気持ちにも。

宮殿への道にある、でっかいでっかい性的モチーフにまたがる像
ACT5に入った途端こういうのだらけになる

ACT5の宮殿を見る限り、どうやら生殖システムが崩壊していて雌にあたる性が消え去ってしまった世界らしく、それを再現しようと延々と何かを繰り返しているらしいということがわかるので、性的なモチーフを多用していたギーガーの世界観を上手いこと昇華しようとしているなと感心した。

ちなみに、ACT5の宮殿が表示されず、進行不可になるバグが発生しました。章の頭から何度ロードし直しても、再インストールしてもダメだったので、爆速でACT4をやり直し、謎解きと電車に乗るときだけグラフィック設定を「低」にしたら無事表示されました。アプデで直ってるのかどうかはわからないけれど、たぶんこの方法で回避できると思います。

本当に凄いのだけれど、本当に凄いのだけれどゲームとしてはたいして面白くない、でも素晴らしい部分は本当に素晴らしい、という、そういうゲーム。


ラチェット&クランク パラレル・トラブル

クリアした日 2022年10月24日 プレイ時間 10時間ほど

せっかくPS5が手元にあるのに専用タイトルをぜんぜんやっていないことに気がついたので、遊んでみた。そしたらこれがめちゃくちゃ面白い。PS5のマシンスペックと振動機能をフルに活かした本当に面白い3Dアクションで良かった。

今回のラチェットとクランクの舞台は銀河系だけじゃなく、次元を越えて並行世界にも及ぶ。ロンバックス族最後の生き残りであるラチェットが、並行世界にいるもうひとりの主人公・リベットと出会う『スパイダーバース』的な次元を越えた邂逅を描くストーリーもあり。かと思えば、急に「きみの新しい友達が、むかしきみを傷つけたやつだったらどうする?許せる?」という話もやってきたりと、びっくりしてしまった。

もうひとりの主人公、ロンバックス族の女の子リベット。
ラチェットとリベットを交互に操作して物語が進む
相変わらずステージが多彩。サイバー都市に鉱山、サンドボックス風の砂漠の惑星が出てきたり、ややホラーゲーっぽい海底施設も出てきたりする

冒頭にあるこの多次元移動描写を見たときは、凄いは凄いけどあまりにも平然とやってるから凄さが実感できていなかったのですが、後半になるとロードなしで次元移動をしつつボス戦を続行するとか普通に出してくるので、こういうものが作れる時代になったんだなと驚きました。

専用タイトルでPS4との縦マルチなし、尚且つ初期に出たソフトということもあって、PS5コントローラの機能をフルに活用してやろうという意欲が強く、ちょっと動かすだけで小気味よく振動したり、武器射出時にトリガーが重たくなったりと、そういうところも楽しい。

アクション面に関しては上にあげた『ラチェット&クランク THE GAME』とそこまで変わらないけれど、全体的にブラッシュアップされていて驚いた。
インソムニアックゲームズが『Sunset Overdrive』や「スパイダーマン」シリーズを経たからなのか、ウォールランが導入されたりとか。

ダブル主人公ものだし、来年出る『スパイダーマン2』の習作としての意味合いもあるんだろうなとちょっと思った。次元を股にかけた大冒険を描いてるし、これ活かせばスパイダーバースのゲーム作れんじゃん! とも思う。

「Switch買ったらとりあえず『ゼルダBotW』も買っとけ」と同じくらいにはおすすめできるゲームです。おすすめ!


ベヨネッタ3

クリアした日 2022年11月8日 プレイ時間 14時間ほど

魔女ベヨネッタが大暴れするノンストップ クライマックス・アクション第3弾。正直に言ってしまうとかなり合わない部分が多かったです。

今回から加わった魔獣を召喚するデーモンスレイブは、ダイナミックで巨大な魔獣たちを暴れさせることができるし、確かに楽しい。このシステムにはだいぶ力が入ってるんだけど、ベヨネッタの軽やかで複雑なコンボアクション中に魔獣を召喚してリソース管理をしつつ……というのは、微妙に食い合わせが悪い気がした。同じプラチナ制作の『アストラルチェイン』では、似たようなシステムでも結構ばっちりハマっていた記憶があるのだけれど……。

シナリオはマルチバースを導入し、並行世界のベヨネッタ達が次々出てきたりと派手なものの、ベヨネッタが追い詰められたりする展開が多く、さらに、並行世界のベヨネッタと会う→結局目の前で死なれて力を受け継ぐの繰り返しで、どうも先が読めるし、いやもう少し面白くできたでしょという気持ちにはなってしまう。そのぶんクライマックスは盛り上がったれども……。
序盤の大量に人が死んでいることが明白な大災害描写と、それでコメディリリーフであるエンツォの妻子が亡くなったという描写をやる割には、いつものノリでなんとか押し切ろうとするので、それは不誠実じゃない? とずっとシコリのように気になってしまった。
ルカもジャーナリストという職業と、彼の身に起こる異変、それと「真実」というワードをやたら連呼させたりと、どうやら現代的なテーマをやろうとしたように思える。しかし全体的に説明不足で、特に何かが上手くいっている気はしなかった。

だだっ広いフィールドにトレジャーアイテムが散らばっていたり(しかもブロック集めの制限時間が変にシビア)、ミニゲームがやたら多かったり、そもそもカットシーンがよく挟まったりと、ノンストップ・クライマックス・アクションのはずなのにテンポを阻害する要因が多かった印象はある。
1作目の『ベヨネッタ』はたしかに変にミニゲームが挟まったりもしたけれど、あれはどうしても入れたくて入れてしまったものという感じだったのに対して、今回は「ベヨネッタといえばミニゲームでしょ」という思想で入れているような、そんな印象を受けた。

突然始まる大怪獣バトル。思わず笑ってしまうものの、アクションはややもっさり気味

新プレイアブルキャラのヴィオラは面白くてじゅうぶんに好感が持てるいいキャラクターなのだけれど、アクション面ではパリィが難しいうえに、パリィしてウィッチタイムを発動しても短すぎてうま味がないから、もう少し使いやすくしてくれてもいいのになと思った。

新キャラのヴィオラ。刀を使い、パリィで攻撃を弾くそのさまは思わず同じプラチナ制作の「MGR」の雷電を思い出してしまい、ちょっと感慨深い気持ちに(もうひとりの主人公というところもそうだし)

魔獣だけじゃなく、武器も多種多様なのは良かった。特にヨーヨーはお気に入りでずっと使っていた。
しかし、ひとつのゲームに入れるには多すぎる気も……。

単純に自分が歳をとってベヨネッタシリーズのノリに合わなくなっただけなのか、それとも今作だけ合わなかったのか。どちらかというと後者だとは思う。
アクが強いのがプラチナゲームズ作品の特徴といえば特徴なのだけれど、今回はあまり合わなかったかなと思う。
シリーズを作る気満々のエンディングだし、4が出たらやるつもりです。


ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク

クリアした日 2022年11月29日 プレイ時間 35時間ほど

北欧神話に舞台を移し、リブートを果たした前作『ゴッド・オブ・ウォー』の続編にして北欧神話編最終作。

相変わらず壮大な風景にデカい敵、豪快なアクションをやりつつ、血に塗れた過去を持つクレイトスと、予言に翻弄されるアトレウスの父と子の成長物語と新たな旅立ちをこれでもかと丁寧に描ききっていて本当に良かった。

終盤のアース神族サイドの話は描写不足かつ駆け足気味だった気もするし、定められた予言と役割をどうするかという話もちょっとやりきれていない気もするものの、とにもかくにも凄まじい完成度でした。

探索や収集系以外のサブクエストも込みで約36時間なので、アクションアドベンチャーとしてはかなりボリュームがある方。
そのくらいボリュームがあるため、キャラクターの描写もかなりやってくれる。クレイトスやアトレウスだけじゃなく、修復不可能と思えたあるキャラクターとの和解や、サブクエストでサブキャラたちのドラマも丁寧に掘り下げていく。前作以上に、フィールド移動中のお喋りの量が膨大で、よくこんなに詰め込んだなと驚いてしまう。

クレイトスは相変わらず不器用で寡黙だけれど、人間臭い一面をどんどん見せたり、一部サブクエではこんなん萌えキャラじゃん! となる展開も……。終盤に見せるある表情ではこちらも思わず涙ぐんでしまった。
アトレウスはロキとして予言されているため、その予言の意味を知るためにあちこちを行ったり来たりするものの、その不安定さがはからずもトリックスターの役割を果たす感じになっていて面白かった。本筋とは別に少年少女の出会いと成長の物語をやり始めたりするし。ちなみにアトレウスは成長したことによって声優が小林由美子さんから村中知さんに代わったのだけど、小林由美子声の少年が成長したら確かにこういう声音と演技になるよなという絶妙さで、それもとても良かった。

アトレウスとアングルボザ。ボーイ・ミーツ・ガールと“筋書き”についての話をやるので思わず笑顔に

アース神族側はオーディンに汚れ仕事を任されまくったせいか心が荒んでアル中気味のトールや、狡猾さを見せるオーディンも勿論良かった。木村良平のねっとりとしたイヤミ演技で煽りまくるヘイムダルがかなり印象に残った。

本作のトール(右)。巨漢のイケメン。どこか虚無感を纏っている
あとデカくて善良な生き物やデカい狼やデカすぎる狼が結構出てくるのも良かった

これは前作のときも思ったけど、「ゴッドオブウォーシリーズといえば! ハゲマッチョが神を殺したり復讐したりたまにセックスするアクションゲーム!」という感じだったのに、「不器用で無骨な父が、血にまみれた過去と向き合い、子の成長を見届けようとする様をかなり丁寧に描くアクションゲーム」になったの、本当にびっくりする。

しかしこの作風に舵を切り、クレイトスさんを成長させたことによって、だいぶ神さまを殺しづらくなってしまったなとは思う。
ダイナミックな神話世界を舞台にしつつ、ある程度リアリティを持たせるようになったので、今までの「GOW」シリーズのようなやたらキャラの立った神さまも登場しづらくなってしまった気はするし。
とはいえ、アクション面に関しては相変わらず「モータルコンバット」じみたフィニッシュ演出は健在なので、そこらへんでバランスはとれていることはとれている。

首を切ったり胴体を引き裂いたりと、豪快でブルータルなフィニッシュ演出は健在

今までのシリーズの積み重ねがあったり、そもそも2部作の2作目ではあるけれど、今作からいきなり始めても大丈夫だとは思う(一応公式で前作のあらすじ動画が公開されている)。とても面白い父と子の物語です。

私的GOTYです(2回目)。


SIGNALIS(シグナーリス)

クリアした日 2022年12月12日 プレイ時間 8時間強

全体主義政権下のディストピア未来で、レプリカ(アンドロイド)のエルスターが失われたパートナーと約束を探すSFサバイバルホラーゲーム。ホラーは基本的に苦手ですが、そんな自分でもできました。

今年は私的GOTYである『エルデンリング』に『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』や、それ以外にも何作も面白く印象に残るゲームを遊びましたが、心に一番“食らった”といえるゲームは間違いなく本作です。もうメニュー画面から引き込まれ、さらにタイトルバックが抜群にかっこいい。

エヴァやバイオハザード、サイレントヒルにエイリアン1作目といった先行作品からの影響を強く感じさせるものの、ただの模倣にはなっておらず、自分たちのものにしきっているのが非常に良かった。

未来の全体主義国家を舞台にしているから「私有財産は特権である」としてアイテムに所持数制限がある、という設定づくりがまず上手い。武器も弾も回復アイテムも持ちすぎると今度はキーアイテムが持ち帰れなくなったりする。敵を倒しても発煙筒で焼かない限り復活するのも緊張感があっていい。

6の鉄則(プレイヤーを苦しめる)

所持品の判断ミスをするとひたすら右往左往するはめになるし、そうしていると敵が復活する、かといって敵も動きが遅いので全部無理して倒さなくてもいい、というところのバランスがなかなか上手い。作家性がかなり色濃く出ているけれど、そういうところのちょうどいい上手さも好印象だった。

ヴィジュアル面に関しては、サイレントヒルっぽさに弐瓶勉っぽさに庵野秀明っぽさ、そして若干の尾石達也(物語シリーズ)っぽさとややツインピークス感もあったりと、好きなものを全部詰め込みまくってオラッ! と力いっぱいに出してくるのが良かった。ローポリゴンの質感も、色使いやライトの感じもいい。

臓物的な謎肉がよく出てくる

突然TV版エヴァ後半やEOEみたいなムービーも始まったりするし……

なんか見おぼえがあるやつ!
なんか見おぼえがあるやつ!!
なんか見おぼえがあるやつ!!!

ストーリーに関しては、説明をしすぎない(所謂考察欲を掻き立てるようなものではある)感じだけど、これをどうしてもやりたかったんだなと感じさせるもので、そしてちゃんとクリエイターの個人的なものが投影されている感じになっていて、そのどこか素朴な感じが良かった。
ちなみに「記憶」エンドだった。

上に挙げたように本作は様々な作品の影響下にあるけれど、作中用語に“レプリカ”と“ゲシュタルト”があり、そしてチャプター2終了後のプレイヤーを引っ掛けるような演出といい、『ニーア レプリカント(ゲシュタルト)』『ニーア オートマタ』の影響も強いように思える。
ストーリーや設定はちゃんと把握できていないけれど、テーマ的にも「ニーア」シリーズの影響を受けている気はする。

ちなみに本作、作中に具体的に『黄衣の王』が登場し、コズミックホラーを匂わせてはいるけれど、そこは微妙に上手くいっていないというか、正直『黄衣の王』じゃなくて何かオリジナルでも良かったんじゃないかとは思う(ミスリード目的な可能性もあるし、自分には狙いがよくわかっていない)。

それと、一部謎解きはやや面倒かなとは。

『Hotline Miami』『VA-11 Hall-A』『ドキドキ文芸部!』といったインディーゲーに近い作家性が出ていて、こういうインディーゲーに触れると本当に嬉しくなっちゃうなと改めて思った。本当に良かったです。

(『TUNIC』とはまた違った意味で隠しENDを見るのがかなり大変そうだけれど、そのうち見てみようと思う)

本作を象徴する言葉だと思う。「ここは地獄」と言い切らず、「たぶん、ここは地獄」。客観的に見れば地獄としか思えないけれど、これを発した誰か(おそらく主人公のエルスターだけれど、もしかしたらほかの誰かかもしれない)にとっては、そう言い切れるものじゃない──というところにこの作品らしさや、作家性が強く出ているように思う。

Milk inside a bag of milk inside a bag of milk

クリアした日 2022年12月13日 プレイ時間 20分ほど

牛乳を買いに行く少女(通称Milk-chan)のイマジナリーフレンドに“させられている”感が味わえるビジュアルノベル。

一周20分程度と短いけれど、粗く鮮烈なドット表現に、メンタルが不安定な少女の言動(翻訳のテイストがかなりいい)や、メタ要素、いったいどこに連れて行かれるかわからない不穏さが良かった。

なかなかあまりない感じだし、サクッとやれる割に強烈なインパクトを持つ作品なのでやってみてほしい。

セリフ回しがいい

Milk outside a bag of milk outside a bag of milk

クリアした日 2022年12月13日 プレイ時間 35分ほど

前作『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』の続編。ヴィジュアル面が強化され、アニメーションパートがあったりする。少女のその後と、彼女のメンタルヘルスがもう少し知ることができたりする。

ほんのり「lain」風味なアニメーションパート

正直にいってしまうと、前作の異様な鮮烈さとくらべると普通のADVゲームに寄ってしまった感じはある。しかし、少女の置かれているつらい環境やメンタル状態をより窺えさせる内容になっていて、それを表現するためにこの手法を採ったのだろうと思うし、その真面目さが良かった。

ラストの夢の話と、夢から醒めたあとの少女の反応が強く印象に残る。

夢に出てくる謎の少年

こちらはマルチエンディングらしいのでいろいろと見てみたいなとは思うけれど、前作とはまた別ベクトルでじわじわと心にくるんですよね……。


その他

クリアした(といえる)ゲームは以上だけれど、実際にはほかにもいろいろやった年だった。

一時期は『龍が如く7』と『大逆転裁判2』、それにリメイク版『月姫』を同時にプレイしようとしていたものの、流石にどれもカロリーが高すぎるので断念した。
リメイク版『月姫』は年内にアルク編だけでも……と思っていたけれど、個人的にビジュアルノベルという手法が不慣れ且つ得意じゃないのと、ある程度のアクション性を求めてしまうがゆえに結局できていない。

『ディスコ エリジウム』をやったことでADV欲やRPG欲が高まったので、遂に日本語翻訳MODが登場した『ケンタッキー ルート ゼロ』をやるか? 『グリム ファンダンゴ』もいいな、いやいや、これも近年日本語MODが完成したという『プレーンスケープ トーメント』をやるか? ……という気分になっていましたが、結局どれもまだ手を出せていない。

STGはあまり得意ではないけれど、『ラジルギ スワッグ』と『イルベロ スウォンプ』、また『ラジルギ』等の初代作品らを収録した『マイルストーン シューティングコレクション2』も触ったりしていた。来夏に出る予定の『ラジルギ2』が楽しみ。

3DSとWii Uのストアが終了してしまうので、去年に引き続きいろいろとセールで買ったり、中古を探して買ったりしていた。ゼルダの新作(ティアーズ オブ ザ キングダム)が出るまでに3D系のゼルダを全てやるぞの気持ちになっていますが、果たしてできるのでしょうか。

そういえば3DSのソフトのなかにはゲームをある程度進行しないとDLCが導入できない・クリアしないとDLCが導入できないというものがある。『レイトン教授VS逆転裁判』『逆転裁判5』『逆転裁判6』はクリアしないと外伝ストーリーDLCが導入できないらしく、できればストア終了までになんとかしたいけれど、これも果たしてできるのでしょうか。「逆裁」に関しては1~3のように、4~6がひとまとめになって多機種向けに移植される可能性も高いが……。

『スプラトゥーン2』のストーリー(ヒーローモード)がクリアできていないことが理由で(というか理由にして)『スプラトゥーン3』は結局手を出していない。皆がどんどんおしゃれになっていくのを見るとマジでやりたくなってきますが……。

「いや(スプラ3をやる)時間がね」などいろいろ理由をつけていたけれど『オーバーウォッチ2』は基本無料だしカジュアルだしで手を出していた。『オーバーウォッチ2』、キャラクターは多彩で面白いし、何よりも操作感・手触りが全体的にカチッとしていて気持ちがいいしで、たしかにこれは流行るよなあと。

他にはXboxのゲームパスだけじゃなく、遂に最近PS Plusエクストラに加入してしまいました。
Xboxゲームパスが発表されたときに、「ゲーマーってある程度所有欲のある人多いだろうし、サブスクってどうなんだろう」と思っていましたが、実際使ってみるといろいろお手軽に試せて便利だし金銭面的にも利点があるしで、結局使ってしまっている。今年クリアしたゲームの1/5はサブスクサービス等のものだし。
中長期的に見て業界や開発者にどういう影響を与えるのか、みたいなことは考えなくもないけど(別にこれはゲームだけじゃなく、いろんなサブスク全般にいえることだけど)、利便性の高さには抗えず……。


積んでいるゲームは相変わらず多いし、そしてこれから出るゲームも多い。
なんでこんなに可処分時間を費やしてゲームをしているのか、時たまわからなくなるし、本当にわからない。読みたい本も見てない映画やアニメもあるのに、何故……?
たいしてゲームが上手いわけでもないし、やり込むタイプでもないのに、何故……?
となりますが、たぶん2023年もゲームをやっていると思いますし、こうして感想を書いていると思います。懲りずに。

そんな感じでした。

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