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カンヌライオンズ2021 グランプリ速報④

2021年6月21日~25日に渡り開催されているカンヌライオンズ2021。1日毎に複数の部門の受賞者が発表されていきます。本記事シリーズでは、カンヌライオンズ2021のグランプリ受賞作品の一部を速報的にご紹介していきます。

6月22日、23日、24日、25日、28日の5日間のお昼12時~12時30分には、Clubhouseにてグランプリ受賞作品についてディスカッションを実施していますので是非聴きに来てみてください。

本記事では、
・Radio & Audio Lions
・Brand Experience & Activation Lions
・Creative eCommerce Lions
・Creative Effectiveness Lions
のグランプリ受賞作品をご紹介します。


Woojer「Sick Beats」 Radio & Audio Lions 2020 / 2021 グランプリ受賞

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Radio & Audio LionsはラジオCMやオーディオコンテンツなど「音」を活用したクリエーティブを対象とした部門です。グランプリを受賞したのは、気道に粘液が溜まりやすくなる「嚢胞性線維症」を患う子どものために開発されたベスト型のウェアラブルデバイス「Sick Beats」で、Pharma Lionsでもグランプリを獲得しています。

本作品については、私と共同でカンヌライオンズの結果速報をまとめているkinoさんが記事内で紹介していますので是非ご一読ください。本事例以外にも私が紹介しきれていない部門のグランプリ受賞作品は、kinoさんの記事シリーズ「カンヌライオンズ2020/2021 速報」に掲載されています。

BURGER KING「STEVENAGE CHALLENGE」 Brand Experience & Activation Lions 2020 グランプリ受賞 

イングランドの4部リーグの弱小サッカークラブSTEVENAGE FCとスポンサー契約を結んだバーガーキングは、サッカーゲーム「FIFA20」の中で、STEVENAGE FCを使ってゴールを決めたシーンをSNSに投稿した人に無料でワッパーなどを提供する施策を実施しました。ゲーマーたちはゴールを決めるべく、ゲーム内のSTEVENAGE FCにメッシやロナウドなどを加入させ、最強のチームを作り上げました。キャンペーン期間の2週間でSTEVENAGE FCは最も使用されたチームとなり、25000以上のゴールシーンがシェアされました。

本作品はDirect Lions 2020 / 2021およびSocial & Influencer Lions 2020でもグランプリを受賞しているなど、本アワードで非常に高い評価を受けています。

Mastercard「TRUE NAME」 Brand Experience & Activation Lions 2021 グランプリ受賞

トランスジェンダーの人々がクレジットカードを使用する際、カードに記されている名前と容姿の不一致によって、カードの使用を断られたり、嫌がらせを受けたりするという問題がありました。そこでマスターカードは、自社の展開する数種類のクレジットカードについて、法律上の名前を変えずとも、顧客自身が選んだファーストネームを登録できるようにしました。

本施策は、クリオアワード2020のInnovation部門でもグランプリを獲得するなど様々な海外広告賞で評価を受けています。

Anheuser-Busch InBev「TIENDA CERCA」Creative eCommerce Lions 2020 グランプリ受賞

世界的酒類メーカーのAnheuser-Busch InBevがコロンビアで開始したオンライン注文・配達サービス。コロナウイルスの影響で自社製品を卸しているコンビニエンスストアや個人商店が休業を余儀なくされている状況を打破するため、代理店のDraftlineBogotáと協力し、コロンビア中のすべてのコンビニエンスストアや個人商店が登録できるオンライン販売プラットフォームを開設しました。ユーザーはTIENDA CERCA内の地図から店舗を選びチャットを通じて商品を注文。注文された商品はUber Eatsのように配達員によって直接家に届けられる仕組みになっています。サービスローンチから1週間で6万以上の店舗がTIENDA CERCAに登録し、同サービスはコロンビア以外の南米各国でも展開されています。

The Big Issue / LinkedIn「RAISING PROFILES」Creative eCommerce Lions 2021 グランプリ受賞

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雑誌『Big Issue』はホームレスの人々が街頭販売するストリートペーパーであり、定価の半分が販売した人々の収益となるという仕組みです。しかしコロナのロックダウンの影響で街を歩くビジネスマンがいなくなり、販売員は収入減を失いました。そこでThe Big Issueはビジネス特化型SNSのLinkedInを通じて、販売員がデジタル版『Big Issue』の売り込みをできるようにLinkedInの使用方法などを教えるオンライン講座を開き、オンライン販売の環境を整えました。その結果、デジタル版の購読は325%増加し、雑誌全体の売上は400%増加しました。

 
NIKE「NIKE CRAZY DREAMS」Creative Effectiveness Lions 2020 / 2021 グランプリ受賞

Creative Effectiveness Lionsはクリエ―ティブに根差した戦略がビジネス目標の達成にどう貢献したかを評価する部門であり、2017年、2018年、2019年のいずれかのカンヌライオンズの入賞またはファイナリスト作品のみにエントリー資格が与えられます。

グランプリを受賞したのはカンヌライオンズ2019でOutddor LionsとEntertainment Lions for Sportの2部門でグランプリとなったNike「Dream Crazy」。頻発する黒人射殺事件や人種差別に抗議の意を示すため、試合前の国歌斉唱中の起立を拒否して批判を浴びたプロアメフト選手のコリン・キャパニックを起用した一連の広告キャンペーンです。国歌斉唱の拒否をきっかけに実質的にNFLを追放されていたキャパニック選手の起用には賛否両論あり、広告開始時はナイキ製品の不買運動や株価の下落につながりましたが、キャンペーンを続けるうちに世論はナイキを支持する方向に傾き始め、一時的に下落した株価も史上最高値を記録しました。

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