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カンヌライオンズ2024 速報 - クリエーティブエフェクティブネス、クリエーティブコマース部門

2024年6月17日~21日にかけて受賞作品が発表されるカンヌライオンズ2024。昨年に引き続き、各部門のグランプリ受賞作品について、速報的にまとめていきます。

4日目は
・クリエーティブエフェクティブネス
・クリエーティブストラテジー
・ブランドエクスペリエンス&アクティベーション
・クリエーティブビジネストランスフォーメーション
・クリエーティブコマース
・イノベーション
・ラグジュアリー&ライフスタイル

の7部門のグランプリ受賞作品が発表されました。

この記事では
・クリエーティブエフェクティブネス
・クリエーティブコマース

のグランプリを簡単にまとめます。


クリエーティブエフェクティブネス部門グランプリ
HEINZ KETCHUP「IT HAS TO BE HEINZ」

クリエーティブエフェクティブネス部門はクリエーティブがもたらした測定可能な影響を評価する部門。受賞作は過去のカンヌライオンズでショートリストまで残った作品の中から選ばれる。

今年のグランプリを獲得したのはHEINZの過去5年に渡る一連のブランディング活動「IT HAS TO BE HEINZ」。何十年もNo.1ケチャップブランドのポジションを保ってきたHEINZだったが、機能的なメッセージングへのシフト、インフレ、サプライチェーンの問題、競争の激化により、そのポジションが脅かされていた。そういった中で人々のHEINZ愛を再燃させるために様々な施策を実施した。

1年目となる2019年に実施されたのは、「Pour Perfectly」。ケチャップを最後の1滴まで使い切るためのベストな注ぎの角度を31度と定義。瓶をその角度にしたときにシールが上下正しくなるように、わざとシールを傾けて貼った商品を出荷した。


2年目の施策は「Heinz Ketchup Puzzle」。コロナ禍の暇つぶしとして570のピースが全てHEINZのケチャップ色の激ムズパズルを販売した。


3年目の施策は「HEINZ DRAW KETCHUP」。世界中に人々に「ケチャップの絵を描いてください」と言うとほとんどの人がHEINZのケチャップを描く、という実験結果を伝えた。


4年目の施策は「HEINZ HOT DOG PACT」。カナダでは10本入りで販売されるウインナーが多いのに対し、ホットドッグ用のバンズは8本入りであることが多い。ホットドッグを作るのに欠かすことができないHEINZケチャップはその不均衡問題を解決すべく「HEINZホットドッグ協会」を設立し、ウインナーとバンズの会社に両者の数を揃えるように呼び掛けた。


そして、5年目の施策は「HEINZ KETCHUP FRAUD」。HEINZのボトルに他社の安いケチャップを入れる詰め替え行為をしている飲食店の情報をネットやSNSを通じて募集。それらの飲食店を非難するのではなく「HEINZの価値を認めてくれている人々」捉え、飲食店に本物のHEINZケチャップを送った。

一連の施策を通じて
・+125億グローバルアーンインプレッション
・+3.2 マーケットシェアポイント
・+12% グローバルセールス成長
を達成し、ブランドのポジションを取り戻すことに成功した。

クリエーティブコマース部門グランプリ
RENAULT「RENAULT - CARS TO WORK」

クリエーティブコマース部門のグランプリに輝いたのはフランスの自動車メーカーRENAULT(ルノー)による「 CARS TO WORK」。求職者のための新たな車の購入方法、ローンの支払方法をつくった施策。

フランスの人々の40%は公共交通機関が無い地域に住んでおり、多くの人にとって仕事をするうえで車は欠かせないもの。車を持っていないと仕事を手に入れることが難しい。
しかしフランスでは、新しい仕事は3ヶ月の試用期間から始まり、その間いつでも解雇される可能性があるため、車のローンを受ける資格がない。そのため、仕事を見つけるために車が必要なのに、仕事が無いとローンを組めず、車が買えないというジレンマがあり、フランスの求職者の54%が移動手段がないために職を断ったことがある。

そこでルノーは、試用期間中の人々に無料で車を提供し、採用が確定した後で手頃な条件でローンの支払いを始めることができる仕組み「Cars to Work」を導入した。「Cars to Work」は公共交通機関がない地域にある50のディーラーシップと、フランスの公共雇用サービスであるFranceTravail.frを通じて利用できる。

ケースムービーでは、公共交通機関がない地域で働いている人や、深夜勤務のため車で出勤するしかない人々が映し出され、雇用における車の重大性が語られている。


その他の部門

今回ご紹介した部門と同日に発表された残りの
・クリエーティブストラテジー
・ブランドエクスペリエンス&アクティベーション
・クリエーティブビジネストランスフォーメーション
・イノベーション
・ラグジュアリー&ライフスタイル

のグランプリについてはこちらをご覧ください。


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