見出し画像

絶対枯らせてはいけないクリスマスローズ爆誕

あれは昨年のこと。
2022年12月22日冬至の日に、約280粒の種の中からトップバッターで発芽した1芽のクリスマスローズがありました。
その瞬間、このクリスマスローズは過去イチ特別なクリスマスローズとなったのです。

そうなった経緯を今回は書こうと思います。

昨年のその時期はちょうどクリスマス寒波が来るとかで、数日前から全国的に冷え込んでいました。
私の住んでいる地域も雪が積もり強烈に寒かったのを覚えています。
外で土いじりしようにも寒すぎてすぐに断念しました。

ガチガチの世界

両親と一緒にお昼を食べて、午後はのんびり室内でごろごろ。
そんな至福のこたつタイムに、父が突然ポックリとあの世へ逝きました。

急に死ぬとかおいマジか。そんなことってある??
午前中一緒に交換したタイヤを片付けたよね?さっき一緒に焼き鳥食べたよね??
ちゅーか死んだ本人も死んだことに気づいとらんのでは??

まだ60代だった父の突然の死に、到底理解が追いつきませんでした。
半ばパニックに近いものがありましたが、うろたえる母を前に私がしっかりせねばいかんのです。

「泣くのは後で」
そう決めたら自分でも恐ろしいくらいに冷静だった。

「オトン任せとけ。超かっこよく送ってやる。」

父の好きな曲をBGMに、父の趣味と生前の思い出でデコレーションした葬儀場はさながらお誕生日会のようでした。

遺影の飾りには70’sのレイバンのサングラスを。
棺には、父自身が焙煎したコーヒーと愛してやまない煙草とワンカップ。
胸にはゴールデンカムイの1巻を添えて。全巻はさすがに重いからね。
あとはたくさんの写真ね。

そして出棺までになんとか咲いてくれた蝋梅の花も。

父と一緒に昇って行った蝋梅の花

父は、私が植えた蝋梅の花が大好きでした。
真冬に透明感ある黄色い花を咲かせ、その素晴らしい香りが庭中を包み込みます。
咲くのを楽しみにしていたから間に合ってよかった。一緒に持って行ってね。

最後のBGMなんて父本人の弾き語り音源。
自分の歌声で送り出されるなんてどんな気分か教えてよ。

我が家の蝋梅

出棺から火葬、父の人間としての姿が最後の日。
その日は冬至でした。

【陰極まりて陽となす】なんちゅうグッとくる日に昇っていくんかね。
そうね、これから少しづつまた日が長くなって、暖かいと寒いを繰り返して春がくるんよね。

そうして、父と入れ替わるように冬至の日に芽を出したのが、このクリスマスローズだったのです。

冬至の日。発芽のトップバッターは君だ。

このクリスマスローズの親株は、まるで蝋梅のように黄色い多弁咲きのクリスマスローズ。
譲っていただいた種なので親株の写真を貼ることはできませんが、とても綺麗な花です。

発芽するも双葉が1つ欠損していました。それでもなんとか本葉の姿が見えた時は嬉しかった。

あれから約11ヶ月。
成長スピードは遅めで、オーレアなだけあって葉も黄色いです。

このクリスマスローズには父の名をつけました。

クリスマスローズの開花は早くて3年。
父の3回忌の年に咲いてくれないかな。

運命みたいに思えて仕方がないこの小さな苗に、父の名をつけて生まれ変わりのように育てています。
散々親不孝してきたから、思いっきり大切に育ててやるんだ。

絶対枯らせては行けないクリスマスローズ爆誕


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?