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パイサーン師の説法:ティエン師の命日にちなんで(3)これを作った人は、死んじゃったのかい?


 タイの森の寺、スカトー寺の住職

 パイサーン・ウィサーロ師の説法。

 彼の説法をお届けしています。

 タイでは雨季の3か月間
 
 安居(パンサー)といって一つの寺に滞在して

 修行に専念する時期がありますが

 ちょうど今はそのパンサー中です。

 今年も毎日新しい説法がアップされています。
 
 説法のテーマは

「ティエン師の命日にちなんで」

 ティエン師とは、ティエン・チッタスポー師といって

 カムキエン師のお師匠さんです。

 9月13日はティエン師のご命日。

 その日にちなんで、ティエン師の教えについて

 語ってくださっています。


 
 第3回目の今日の部分のタイトルは

「これを作った人は、死んじゃったのかい?」

 としました。

 ティエン師と在家の方の絶妙なやりとり。

 昨日のびっくりやりとりに続き

 ティエン師の味のある法の伝え方が

 感じられるお話です。
 

。。。。。。。。。。。。

 (2018年9月13日

  朝食前の説法より、スカトー寺にて)


 ある在家の人が、ティエン師を訪れました。

 そして、彼が持っている

 プラクルアン(仏像やお坊さんを 

 形どった小さなペンダント)を師に見せました。


 「このプラクルアンは本当に

  無病息災の、霊験あらたかなる力があるのでしょうか?」

 と尋ねました。

 
 すると、ティエン師はこう尋ねました。


 「これを作った人は、死んじゃったのかい?」 

 と。在家の方は


 「はい、もう亡くなりました。なぜなら

  このプラクルアンは祖父の時代から

  受け継がれている家宝だからです」


 ティエン師は、さらにこう言いました。


 「作った人だって死んじゃってるんだから、

  それをただ持っているだけで、

  無病息災で長生きできるなんてことがあるかい?」


 師はこのように答えて

 その在家の方に、迷信から目覚めるきっかけを

 与えてくれていました。


 また、ティエン師が胃がんを患われてから

 あるお医者さんとのやりとりでも、こういうことがありました。


 そのお医者さんはとてもよくティエン師の治療を

 なさっていました。

 ただ、仏教に関しては一般の村の人のような

 素朴な感覚での信仰でした。


 そしてそのお医者さんもまた、あるプラクルアンを

 師の元に持ってきて自慢しました。


 「このプラクルアンはおよそ700年前

  スコータイ時代に作られた歴史ある古いものなんです」

 ティエン師は尋ねました。


 「そのプラクルアンは、何でできているんだい?」


 お医者さんは


 「土ですね。」


 すると、ティエン師は


 「土は、大地ができたはるか昔からあるよ。

  今、家の前にある私たちの足元にある土の方が、

  そのプラクルアンよりもはるかに古くて歴史があるねえ」


 と言いました。  

 それを聞いたお医者さんは、ハッとしました。


 ティエン師のやりとりはこのように

 大切なものを気づかせる、

 ハッとさせるような

 言葉を発することがよくありました。

                 (続く)

。。。。。。。。。。

浦崎感想

 プラクルアン。

 仏像やお坊さんを形どった

 小さなペンダントで、いわば日本でいう

 「お守り」のようなもの。

 このプラクルアンを首からジャラジャラ

 たくさんかけて、お守りだらけで道を歩く人も

 たまに見かけます(笑)↓こんな感じ。


 
 歴史のあるプラクルアンだと

 専門ショップで高値で取引されたり、

 プラクルアン専用の雑誌もあったりするなど、

 興味を持つ方も少なくありません。


 仏教に興味があるという場合

 仏教の教えや瞑想実践に興味がある

 という場合だけではなく

 プラクルアンやスピリチュアル・スポット的なものに

 興味があるという方もいますね。


 私自身はほどんと興味がないのですが

 タイの一般的な素朴な心境的には

 今日出てきた在家の方やお医者さんの振る舞いは

 今でも根強くあるように思います。


 ティエン師を始め、カムキエン師。

 そしてこのnoteでもたまに登場する

 プッタタート師などは、それらに全く興味がないと

 言えるでしょう。

 そうした霊験あらたかなるものに頼るのではなく

 タンマ(法、真理)にどう

 目覚めていくか、その方に重点が置かれています。


 明日でこの説法は訳し終えられそうです。

 ティエン師のズバッと本質を突くやりとり。

 感じて頂ければ嬉しいです。

 明日も、お楽しみに!


応援やサポートをいただくたびに、これからも翻訳や執筆を続けていこう!と励まされています。