タイ:仏教国のバレンタイン〜愛する人には○○の花をあげよう〜

タイでも祝う人が増えているバレンタインデー


タイは仏教徒(上座部仏教)が95%で
マジョリティの宗教。

ですから、多くの休日や行事も
仏教にまつわるものが多くあります。

セント・バレンタインデー。

これはもともと
キリスト教のカトリックに由来しているお祝いなので
仏教とは関係がないのですが

20年くらい前からでしょうか、
タイでも
バレンタインデーを祝うようになってきています。

ただ
日本のように


女性から男性への愛の告白をする日

とか

チョコレート(義理チョコも含む)を愛する人にお
プレゼントする日

などではなく

男性から女性、女性から男性へもプレゼントをします。


タイで贈るのは、チョコレートではなく「花」

プレゼントも渡しますが、
多くが花。


バラの花です!

ただ
このバレンタインデーの習慣は

都会で生活をする人たち
オフィスで働く人たち
流行に敏感な学生たち

がやっているという感じです。

私がいるタイの田舎では
話題にすらのぼりません(笑)


同時期にある仏教のお祭り:万仏節(マーカブチャー)

タイでは2月に
仏教の大きなお祭り、マーカーブチャーというのがあります。

このお祭りは
日本で知っている方はあまりいないと思いますが

悟りを開いたブッダの弟子たち1250人が
各地から約束もせずに集い
ブッダの教えを請うことができた奇跡を祝うお祭りです。

あの時代
ケータイなんてなかったですから
約束もせずに同じ場所に集まるなんて
すごいですよね。

彼らの時代から見たら
こうして世界各地から同じマガジンに発信している
私たちは「奇跡」と映るかもしれませんね。


お寺参り、参拝グッズ4点セット


こうした仏教のお祭りの時には
お寺にお参りするのが
タイの人々の一般的ライフ。

お寺を参拝すると、たいてい

「参拝グッズ4点セット」があります。

ハスの花、お線香、ろうそく、金箔

仏像の前には
そうろくたてがあって、そうろくを立て
火をつけて、お線香をたく。
そして仏像に
金箔を貼りまくり

徳を積んで
幸せを祈ります。

そんなお参りスタイルは
日常ですから
タイの人たちはお寺に行くと
深々と参拝して
老若男女、心静かにお祈りをしています。


ちょっとトンチンカンな大臣の提案


さて、バレンタインデー。


モダンでおしゃれなイメージですから
若者たちには人気です。

何より若者たちの中には、内心

「仏教なんて、もう古いぜ!!」

と、思っている人もいるでしょうから

仏教の行事よりもこちらの
バレンタインデーに力を注ぐ人たちも
いますね。


こうした現状に
15年くらい前
テレビであるインタビュアーが
当時の大臣に対して
こうしたやり取りがあったのだそうです。

   (主人からの聞き書きですので、
    誇張されている可能性あり)

イ「大臣、若者たちは
  マーカブチャーのお祝いよりも
  バレンタインのお祭りの方に
  興味があるようです。

  これでいいのでしょうか?
  伝統的な価値観が廃れていきそうです。

  愛する、ということも
  仏教的な慈愛の大切さを感じるよりも
  単なる男女の愛、表面的な愛だけを
  重んじる風潮にはならないでしょうか。
 
  大臣、
  何か若者たちが仏教に
  関心を持たせる秘策はないでしょうか?」

大「バレンタインデー。
  いいんじゃないですか?

  仏教の教えは、そんなに簡単には廃れないでしょう。
  生きる指針ですから。心配することはありません。

  そして
  若者たちがバラの花を贈り合うのは
  悪いことではないですしね。

  じゃあ、バレンタインデーは
  こういうキャンペーンにしたらどうでしょう。
  


  「バラ」の花じゃなくて
  「ハス」の花を贈りあう。

  どうです、この案。
 
  ナイスアイデアだと思うなあ」


イ 「、、、、、、、、、」


 
 あまりに単純すぎる
 ピントが外れた案だったので


 誰一人、ハスの花を贈り合うことは
 なかったそうです(笑)。


大切なものを、大切にできるお祝い

 バレンタインデーとマーカブチャー。

 由来は、キリスト教と仏教

 それぞれ宗教は違いますが

 お祝いというのは、人々の気持ちや生き方を
 振り返ったり、確認したりという時間でもありますよね。


 これから先も
 タイのバレンタインデーで
 ハスの花が贈られることは、ないと思いますが
 
 お互いに、何かを捧げ合う。
 大切なものを確認し合う。

 そういう時間は
 これからもきっと
 続いていくだろうなあ、と思っています。

応援やサポートをいただくたびに、これからも翻訳や執筆を続けていこう!と励まされています。