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便箋タイムカプセル

何事も続かないのが私の短所の一つであると自他共に認めていただいている。

noteだってまた期間が空いてしまった。
ようやく好きなことをできるゴールデンウィークだというのに、私はダラダラと過ごしてしまっている。

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「便箋ある?」

リビングにいるとダイニングからそう私に問いかける言葉が聞こえた。

「う」

と返事ともつかない謎の言葉を発して私は重い腰を上げあらゆる引き出しを開けた。何度も引き出しを開けては閉めてを繰り返した末に無くて横に置いてある箱に縦書きの退職届とかを書く柄も何もない白の普通の便箋が出てきた。

ようやく見つけた切り離すノートタイプの便箋をダイニングに置き「はい」と言って再びリビングに座り込む。

するとダイニングから妙な笑い声が聞こえてきた。

「なにこれー」

そう言いながら笑っている。
あれは一応私の便箋だ。私が何か変なものを書き記しているのだろうか。日記か、下手くそな絵か。

重い腰も驚くほど軽くなったような勢いで急いで夫の元に駆けつける。

「ほら」

そう言われ便箋を見ると

便箋の1番右側に【(わたしの名前)へ】
そう書かれた手紙があった。
最後の1番左側の少し下くらいに夫の名前が書いてある。しかも律儀に筆ペンで書かれている。

見覚えがない。
めくってみると私から夫に宛てた手紙もあった。

内容を読んでみてようやく思い出した。
結婚する前の一緒に住んでいた頃。夫が夜勤になる時期があって完全に顔も合わせないほどのすれ違いになる事になり、私からこの便箋に手紙を書き部屋の机に置いていたのだ。

その手紙を夫は帰ってから読み、手紙の返事を書いてくれていた。このどこでもすぐに連絡が取れる時代に、LINEで済むことをわざわざ手紙で書いていたのだ。

内容は本当にくだらない。

ご飯残ってるから食べてね。
寒いから風邪ひかないように気をつけて。
ファミチキ買ってあるから。
眠いね。
令和になったね。
会いたいね。

言うなれば単なる書き置きである。LINEで良いだろうと今改めて見ても思う。

けれど、久しぶりにその便箋のノートを開き、こんな事あったねぇなんてほっこりする時間となった。
漢字が間違っていたり、意味不明なことを書いていたり。過去の自分たちの手紙のやりとりにつっこんだりした。

そんな風に思いがけず2人の手紙のやりとりが、埋めた覚えのないタイムカプセルのように突然出てきた。
会えない時間をこうやって乗り越えようとしていたのだと、しみじみと懐かしく思った。

また、何かに今の気持ちを書き残してしばらく埋めてみたいとさえ思った。

改めて手紙を見てみた。手紙はたった6回のやりとりで終わってしまっていた。
最後に書いたのは夫。

そっか、私が書くのをやめたんだな...。

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