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ぼくの中のシェリフ

ある日、僕の中に正義の味方のシェリフがいるのを自覚した。

あのカウボーイハットをかぶり、胸に星のシェリフバッジを付け、腰には拳銃を2挺、に拍車が付いたウエスタンブーツのあのシェリフ(保安官)だ。

僕の中にシェリフがいると思っただけで、勇気がでて、強くなった。
どこにそんなシェリフがいるの? と言われても、君には見えないし、わからないよね。
しかし僕の中には確かにいる。
僕がいると思うから、いるんだ。

今まで知らない人と喋れなかった僕が、平気で喋れるんだ。すごいだろう。

今まで高い所が苦手だった僕が、誰よりも高い所に登れるんだ。すごいだろう。

今まで逆上がりが出来なかった僕が、何回でも出来るんだ。 すごいだろう。

今までカラオケで歌うのが恥ずかしかった僕が、歌えるんだ。それもとてもうまく。すごいだろう。

そして15年が経ち、

今まで彼女のいなかった僕に、彼女ができた。すごいだろう、

今まで鳶職なんてとんでもないと思ってた僕が、120メートルの高さの工事現場で働いてる。 すごいだろう。

今まで逆上がりが出来なかった僕が、この前はグルグル回りすぎて止まらなくなったんだ。 すごいだろう。

今まで趣味で歌を歌うなんてあり得ないと思っていた僕が、ゴスペルのメインボーカルになって歌っている。 すごいだろう。


そして僕は結婚して、パパになった。すごいだろう。

そして僕は、4LDKの家を建てた。すごいだろう。

そして僕は、ベンツのスポーツカーを運転している。 すごいだろう。

そして僕は、可愛いミニチュアシュナウザーと暮らしている。 すごいだろう。


僕の中のシェリフは、あれからずーっと活躍している。

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