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晴れが続くと また晴れかと思う たまに少しでいいから 雨が降ってくれと思う 人間なんて勝手なものだ 雨が降ると 僕はよく眠れて いつもの時間より長く眠ってしまう この話をほかの人にすると 同じように雨の日はよく眠れるという どんな動物でもそうなのだろうか? まだ動物園まで行って 確認したことはない 雨が降らない日に 雨音のアプリで雨音を聞きながら寝て 明け方に雨音が聞こえるようにしても 脳は騙されずに 晴れの日の目覚め方をする 雨の日の土のにおいや 葉っぱに当たる雨音

    • 崖っぷちの家

      オウルは、その「オウル」というあだ名のとおり、顔つきもギョロ目で昼間は居眠りばかりした。オウルは俺の居眠りは病気だといつも言っていた。 昼型の僕とは逆に夜型だ。それも徹底した夜型だ。深夜には必ず外出して3時間は帰ってこなかった。 本人は眠れないから、ナイトウォーキングしていると言っていた。 僕とオウルが知り合ったのは本当に偶然だった。僕が、街の鳥専門ペットショップでセキセイインコを見ている時のことだ。オウルが店員さんに、 「ここには、フクロウは置いてないですか?」

      • 毛利さん

        ひょんなことから行きつけのショットバーで、友だちができた。 彼の名前を毛利さんとしておこう。 毛利さんは、僕の行きつけのショットバーMUONに、真っ黒いサングラスをかけて、白い杖をついてやってきた。 このMUONの店名の由来は、いわゆるBGMは全くない。客の小さい会話の声が聞こえるだけだ。 あちこちを飲み歩いてうるさい会話や 音楽に疲れた客や 静かに一人で飲みたい客や 少し眠たい客や 時には人嫌いの客や 人生に疲れ果てた客がこのMUONに、砂漠の中のオアシスのように集ま

        • ぼくの中のシェリフ

          ある日、僕の中に正義の味方のシェリフがいるのを自覚した。 あのカウボーイハットをかぶり、胸に星のシェリフバッジを付け、腰には拳銃を2挺、に拍車が付いたウエスタンブーツのあのシェリフ(保安官)だ。 僕の中にシェリフがいると思っただけで、勇気がでて、強くなった。 どこにそんなシェリフがいるの? と言われても、君には見えないし、わからないよね。 しかし僕の中には確かにいる。 僕がいると思うから、いるんだ。 今まで知らない人と喋れなかった僕が、平気で喋れるんだ。すごいだろう。

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          8本

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          ぼくの旅

          ある雨の日、僕は水の無いプールに飛び込んで頭に怪我をした。ガッんと音がして頭の中に血が溜まって手術した。 当然のことだが、プールに飛び込んだ瞬間から意識はない。だから空白だ。 どのくらい時間が経過したかはわからない。 小さいロボットが沢山出てきて、ワイワイガヤガヤと喋っていた。 「おい、ここの穴はおまえの担当だ、こっちの出っ張りはおまえだ。」 「なに、手順書がないだって?」 「俺は、手が足りないとさっき呼ばれたから、この現場は何かさえわかってないからな!」 「この

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          トンネル

          ある日、突然僕は自分の首と目が左に捻じ曲げられて戻らなくなって、サトミになんとか電話して救いを求めた。 「ぼ、僕だよ、首が左の捻じ曲げられてもう2回も回ってしまって元に戻らないんだよ! このままだどロクロ首みたいなって大学に行けなくなる」 「私、今トイレ中だから無理、やっと5日ぶりに出そうだから、このことの方が大切だからそのまま明日まで我慢してて、電話切るわよ」 僕は2回も捻れた首のまま、我が家の居候猫のクルミが帰ってくるのを待った。 帰ってきたクルミも、同じように首

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          図書館デート

          ある日、クミコから突然 「明日図書館に行かない?」 と誘われた。明日は日曜日だった。何も予定はなかったので簡単に僕は、 「いいよ」 と答えた。 木々が鬱蒼と生い茂る丘の頂上にあり、森の中の最高に気分の良い図書館だった。 僕は先に行って自習室の席を確保した。 15分くらい遅れてクミコはやってきて、そっと僕の横に座った。 僕はスマホの原稿用紙アプリに、ショートショートを入力していた。 クミコはノートとフリクションペンを出して、なにやらしばらく書いていたが、その作業に飽き

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          ノストラダムスの大予言

          僕は雨の降るある日、何の変哲もない"ロマン"という喫茶店で、ガールフレンドのチナツを待っていた。大きな窓ガラスから、舗道を歩く人を、タバコを吸いながらポカンと見ていた。 舗道の敷石の間にハイヒールを挟んで、雨の中、必死でヒールを外そうとして、とうとうカカトだけがとれてしまい、ハイヒールに悪態をついている、多分30才前の女性をみていた。 後ろから肩をチョンチョンと叩かれて驚いて振り向くと、チナツが 「さっきからずっと後ろから君を見ていたけど、全く私に気がつかないで、雨の中の大

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