みさわゆうと

傘を置いておくところ。

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最近の記事

からっぽでいたい

 先日、イケダサトルさんの個展 『天国のことは誰も知らない』へ行ってきた。  キービジュアルとステートメントを見て、なぜだかどうしても行かなくてはいけない気持ちになり、2月の勤務表もまだ出ていないのに行くと決めていたのを覚えている。  照明の落とされた室内と、寄り添うようにしずかに流れる音楽、たくさんの手焼きのプリント。平日の午前中にお伺いして、ゆっくりと展示をみて、気づけばお昼をとっくに過ぎていた。面識もなかったけれど合間にそっと声をかけてくださり、少しお話しもできて嬉

    • 3分あったらシャッターを切りたい。

       写真を撮る意味を探している。  探している、とは言ったものの、写真を撮るのに意味なんてなくていいんだとは思っている。これを突き詰めると人生は〜という問いになってくるし、結局人生だって意味があるもないも自分次第だ。それならなぜ"意味を探している"なんて言うのかと言うと、自分の写真にはこんな意味があります、自分が写真を撮る意義はこれです、と大きな声で言える人が少し羨ましいなと思ったからだ。  写真がこの世界に存在するには、いくつか条件がある。撮影者の感性が動くこと、シャッタ

      • 襟を正す

         今年の小さな目標を決めた。  毎年、元旦にその年の目標を決めるのがうちの慣わしで、わたしは小学生の辺りからずっと「楽して楽しく生きる」を掲げ続けてきた。両親はいつも笑いながら(半ば呆れながら)それがわたしだと肯定してくれていた。変な子どもだと思われていることはわかっていたし、そう思われることは好きだった。  今になって改めて思い返すと、わたしは両親に自分の目標や本当の気持ちを言いたくなかったのだと思う。やると言ってできなかった時に咎められたり慰められたりするのは嫌だったし

        • はじめてのカメラ

          はじめて「もっと写真を撮りたい、カメラはすごい」と感じたのは中学2年生の引っ越しのとき、荷造りにくたびれて屋根に寝転がって夕陽空を見ていたときだ。 暖かみのある水色に きいろとピンクのわたがしみたいな雲がきれいで、慌てて当時使っていたガラケーを取りに部屋へ戻った。地球に(厳密に言うと屋根に)寝転がって撮ったのに まるで宇宙から見下ろしているかのような写真が撮れて、肉眼とは違うカメラの魅力に気付かされたのを強烈に覚えている。 それから、自分が撮っているのにもかかわらずたまに

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