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すずめの戸締り。新海誠はえらい。

お疲れ様です。
こちらは新海誠作品「すずめの戸締り」についてのネタバレ込み感想です。

まず、私のオススメとしては、


①全ての情報シャットアウトで映画館に行く
※ただし、警報音および地震描写が厳しい方は検討してください。

②無料公開された冒頭12分を観て検討する

③警報音および地震描写が不安な方は小説から入ってみる

④本noteのネタバレ込み感想を読んでから検討する

です。

ネタバレ無しでの私の感想は

とまぁ、とりあえず高評価です。

もう少し話してしまうなら、
伏線や対比、他作品へのリスペクト&オマージュがかなり盛り込まれていて、その上で、新海誠が伝えたい想い、訴えたい気持ちがちゃんと形になって溢れ出ている作品でした。

このすずめの戸締りという1つの作品から、新海誠のアニメ好きがアニメオタク具合が滲み出ています。

展開もかなりのハイテンポで2時間アニメ作品ながらもダレることなく観ていられるし、どこまでも深く掘り下げることの出来る深みのある作品でした。

まだまだ書きたいことが沢山あるのですが、これ以上はネタバレ込みになってしまうので、以下はネタバレ込みゾーンとしてつらつらと書き垂らしていきます。

※以下ネタバレ注意
※以下アホ副音声注意

00:10〜
めっちゃエモい。絵のタッチがハウルの動く城のシーンみたい。あの流れ星が流れててハウルがカルシュファーを食べるシーン。

https://www.ghibli.jp/works/howl/#frame

1:38〜
ブーツチラ見せからのゲド戦記コス。
めっちゃジブリリスペクトスペシャルやん。
オンパレードやん。

https://www.ghibli.jp/works/ged/

2:00〜
ここでの寝起きセリフ「お母さん」によって、さっきのゲド戦記コス人間がお母さんかと思ってたけど、途中から草太かも?ってなりつつ最終的にはすずめやったの最高の展開やった。
正直、ミスリードなんてあるあるやから、「お母さんに見せかけた草太やろ」なんて思いながら観てたから、真相知った時は驚いたなぁ。
ちなみに、本編で、すずめが草太のブーツを借りるシーン。あそこのシーンでここの伏線が少し回収されてたりもするんよね。

2:13
新海誠、女子アナ好きすぎ。
天気の子でも君の名は。でもこんなシーン差し込んでたやん。新海誠の奥さん絶対怒ってるわ。奥さん女優やのに。

2:19
「すずめ今日はお弁当忘れんでね」
環(たまき)さんのこのセリフめっちゃ重要。
すずめの戸締りのテーマの1つ。
「忘れる」(私が勝手に言ってるテーマ)
この「忘れる」って描写が2時間の中でたくさん出てくる。
すずめも草太も環もみんなが何かを忘れる。
そんな描写が出てくる。
そんな中で、草太の友達。芹澤は忘れない。
そんな描写がある。
すずめは弁当を忘れ。
草太は芹澤に貸した金を忘れ。
環はすずめにかけた言葉を忘れる。
そんな中で、芹澤は、草太から借りた金を忘れないし、環さんがタバコを気にした事を忘れない。
忘れてない描写として、それ以降は車から降りてすずめと2人で会話をしている時に吸ったり、環さんの横にいる時は吸うかっこだけで火をつけていなかったりする。
芹澤は、この「忘れる」のテーマに対してアンチ的な存在。
めちゃくちゃ良い。

2:30
弁当閉め→家鍵閉め→チャリ鍵開け
この3段階の切り替え描写。
閉め閉め開け。
本来、「戸締り」などの単語の意味としては、「蓋をする」になるのに対して、この作品では逆の「前に進む為の行為」として描かれていました。
その表現として冒頭にこの3段活用的なシーンを差し込んでるのかなぁと思ったり。

2:37
めっちゃポニョ!崖の上のポニョや!新海誠ジブリリスペクトてんこ盛りすぎ!

https://www.ghibli.jp/works/ponyo/

2:52
この地面の工事を重ねましたみたいなリアルな映像に少しの段差に跳ねるチャリすずめ。めっちゃリアルやん。新海誠はこういうことがやりたかったんや。って思ったり。

3:20
新海誠。傾斜すれ違い好き過ぎ。全部これやん。昔からやりたい事変わってなくて一貫してるのは素敵やけど、正直リアルで見てる時は「またや!」って少し思ったなぁ。
後、すれ違いでズームになるところ。1秒も映らないけど、草太の鎖骨エロいんよなぁ。
このエロ持って来れるって新海誠は女の可能性があるんよなぁ。

3:36
んで、草太めっちゃハウルなんよ。
リスペクトを超えた何かなんよ。
うちのおばちゃんにやったら、草太とハウル交互に見せても気づかんと思うでこれわ。
冒頭からリスペクト&オマージュ暴走し過ぎ。
これからも続くけど。
別にええんやけど。

4:10
新海誠。電車もすっきょなぁ。
言の葉の庭かなんかでも電車テーマやったし、
君の名は。とかもクライマックス電車やもんねぇ。
今回も好きがてんこ盛りで人間味感じるわ。

4:38
ここからの感じはめっちゃ千と千尋の神隠し。
親子3人で迷い込むあの感じがここら辺一帯がそうやなぁって思ったり。
後、「立ち入り禁止のガード」
これ飛び越えていくわけやけど、この後、すずめが2回目に訪れる時はずらされとって、草太が入った痕跡なんやけど、すずめはこういうの飛び越えるタイプなのに対して草太は退けてクールにいく感じが、いい対比で好き。

4:44
ここ君の名は。でも観た。他作品リスペクトもそうやけど、過去自己作品リスペクトも多いのよね新海誠。
昔からやりたい事は変わってないし、やり続けるんやって感じが良い。
後、4:44で映ってる亀ってなんやろね。

4:55
ここで映ってる「旅館福の屋」
これって温泉の廃墟って感じやと思うやけど、
ここがまさに千と千尋の神隠し。
アレは温泉廃墟の話やし、きっとドンピシャ。

5:00
ここから新海誠の水大好きゾーン。
とりあえず水に関する事は全力投球。
チャリ乗ってるシーンでもキラキラ光る海のシーンあったけど、新海誠の真骨頂は、近距離水。

5:15
ここまででも温泉と水の描写てんこ盛り。良い。

5:25
「あなたとどこかで会った事があるような気が」
ここの伏線も綺麗に回収されて気持ちよかった。
ここでのこのセリフは、大オチへの伏線と、冒頭伏線のミスリードとかかっているので、中々のテクニック。新海誠は伏線界のしみけんかもしれない。

5:40
ここの7秒ほどかけて扉へスライドするシーン。
あれだけハイテンポな作りにしたすずめの戸締りで、ここにかなりの時間を使っている辺り、ここへの想いは相当強い。個人的にはドラえもんのどこでもドアやん。みたいな冷やかししか出てこんけど、それ以外でこの感じの構図見た覚えがあるんよなぁ。
この広い空間のど真ん中にドアがある感じ。
もしわかったら教えて。

5:55
ここって、すずめの性格が強く表現されているよね。
水溜まりになっている事に驚く描写を差し込みつつも、戸惑う事なく進むメンタル。
今後もすずめは強い女の子としてストーリーを進むけれど、ここのシーンはそれに向けての一発目の描写。
後、足を水につける時の音。映画館で聞くとめっちゃいいよ。

6:30
ここのすずめの不安そうな顔と入りたがってる描写。
俯瞰してみると、どこか怖がっている感じがするのに、入りたがっているっていうおかしな行動なんだけど、ここって、すずめが昔に一度入ったことある世界だから、無意識下でこんな行動を取っていたのかなぁなんて思うと、色々と面白く見えてくる。
それと合わせて、ここら辺から、すずめの声のトーンがごろごろと切り替わる。
無意識に集中してる時とそうで無い時で変わってるのかも?なんて思うとより面白い。

6:55
ここの恐怖しながらも要石を触っちゃうところとかもそう。

7:18
こことか声のトーン変わるなぁって。
そこまで指示してるか知らんけど、そう思うと面白い。

7:45
この弁当も新海誠の小ネタが詰まってそうやなぁって思ってて、
真ん中のペンギンちゃん2人がすずめと草太。
その横にタコさん3人。
これがこれからすずめと出会って成長する
愛媛で出会う旅館の子、海部千果
スナックのママ、二ノ宮ルミ
草太の友達、芹澤朋也
かなぁって思ったり。

https://suzume-tojimari-movie.jp


残りの卵みたいなのは、
環さんとすずめの母つばめかなぁ。
ダイジン、サダイジンの可能性もあるけど。

8:28
ここの警告音、映画館で聴くと心臓ギュってなるよね。これ系のトラウマ無い私でも結構アレだったからほんとやばい人はやばいと思う。

8:54
警告音が鳴ってからのここまでの描写と、ここでの友達の「大袈裟過ぎる」ってセリフ。
今の私たち日本人まんまの情景でスルーしがちだけど、この「慣れ」や「忘れてる」っていう風化が…うーん…っていう言葉にならない訴えを感じた。
新海誠も、この警告音や地震描写が一部の人間へのストレスになることは作る前からわかってたはず。
それでも敢えてこの描写で、この情景で、って思うと、この作品はやっぱり、自分の子供に繋げて残したい作品だなと思ったし、今後、学校の授業なんかでも取り上げられるような作品になるんだろうなぁと思った。きっとトトロのような火垂るの墓のような作品になるよ。

9:06
デイダラボッチやん!もののけ姫やん!

9:17
すずめの目に入る光が赤く変わるの良いよね。
恐怖と見えざる世界とが一瞬で理解できる。
この描写があるおかげで、ハイテンポにもついていけた。

9:23
そういえば鍵開けのシーンって自転車の鍵だけだね。後は閉めるばっかり。
これはすずめの持ち物にフォーカスを当ててそう描いたのかな。
すずめが戸締りで未来を開けていくんだ的な。

9:37
ここがさっき言ってた、立ち入り禁止ガードの話。
横にずらされてるのがチラッと分かるけど、この時点で草太がすでに駆けつけていることと、草太のそういう性格とが描写されてる。

10:15
ここら辺から、草太の性格やらが正確に分かってくる。他人を気遣う姿勢や優しさ、自己犠牲の持ち主って事とか。
本編では、芹澤も草太のことを「あいつは自分を大切にしなさすぎる」的な事言ってたし、金取り立てないし。

10:16
で、まぁ、ここらで話とこうと思うけど、
私はすずめの戸締りめっちゃ良いって言ってるけど、ツッコミどころ的なのはもちろんめちゃくちゃある。
今だって、ドアが壊れないのとか意味わかんないし、そもそもあの大オチだと、タイムパラドックス的な問題はどうなるんだとかもあるし。
でも私はそこら辺あんま気にしない。
正直、新海誠も作品の矛盾なんかには気付いているし、そんな事は重々承知の上だろう。
その上で、この形で作品を完成とさせたし、こういう矛盾や謎の残る感じも込み込みで、作品創作というのは良いんだと思っている。

10:22
ここら辺の「とりあえず入れたアクション」って感じのシーンがちょこちょこあるけど、私的にはここら辺が1番感情移入から抜け離れた。
なんか変に我に帰らされた。

後、ここら辺の音楽も千と千尋の神隠しっぽいよね。

10:46
さっきからもそうだけど、ここら辺から特に、エヴァを感じる映像美になってきてるよね。

11:05
ここのピカピカとかめっちゃエヴァ。
私エヴァちょっとしかみてないけど。

11:17
ここでの草太の腕の怪我。
左腕。
そしてこれから椅子になる草太。
その椅子の足が欠けてる位置。
左前。
これに気づいた時、新海誠は粋な演出家だねぇと思ったね。

12:12
ここめっちゃ天空の城ラピュタやん。シータやん。飛行石やん。とか思ってみてた。

https://www.ghibli.jp/works/laputa/

12:38
よかったね。12分。ほぼ13分。映画が120分だから1割だよ1割。映画が1900円だから190円だね。すごいね新海誠。

最後の「すずめの戸締り」というタイトル。
本編最後では色が反転してたね。
これも粋な演出だね。
でもこの反転演出はエヴァらしいね。
エヴァすごいね。

後、本編最後の本当にラストの言葉。
「おかえり」
これも良かったね。

無料公開の動画見直したら分かるけど、
すずめが家を出て「行ってきます」
と言ってからの草太との出会いからの…
でのラストで「おかえり」回収だからね。

粋な男だよ新海誠。

んで、全体を通しての話になるけど、


声優がドンピシャだね。めっちゃハマり役だった。
俳優とか女優を起用しちゃうとどうしてもイマイチになりがちなのに、よくやり切ったのね。

個人的には、草太の声を聞くまでは、脳内では宮野真守だったけど、それでもハマり役と思える配役だったね。

ちなみに草太の声はジャニーズのSixTONESの松村北斗。ハウルの声がキムタクだったからそこに重ねてるのかもね。

こうして冒頭12分を振り返ってみても、やっぱりすずめの戸締りは良い作品だったね。

君の名は。天気の子と比べても、過去一でメッセージ性が強くて、私の中での新海誠ランキングでは完全に1位だね。

後、本編では、笑える小ネタも挟んであってよかったね。
めちゃくちゃ重いテーマなだけあって、気持ちも落ちやすい作品だったけど、小ネタ具合が絶妙で完璧な緩和だった。

環さんとすずめの口論のシーンでも、胸が苦しくなる辛い描写だけど、数秒で観客のテンションをフラット近くまで戻したあの演出は本当に高評価だね。

それと、君の名は。や天気の子と比べて、曲の力でゴリ押しで感動させる。
みたいなRADWIMPSポルノは今回はやめたんだね新海誠。
客により考えさせるって意味でも、私の好みって意味でも、アレを今回使わなかったのはグッドだよ。

後は、東日本大震災の件ストレート過ぎ問題ね。
ここの描写は心苦しい人も居たと思うけど、リアルと創造を混ぜたこのすずめの戸締りというアニメーション映画でこそ残せる何かがあると私は思ったね。

結論としてはあの表現も良かったって事なんだけど、これを受け止められなかった人に対しての何かって訳じゃないから、無理だった人は無理だったで良いと思うよ。作品なんてあくまで好みだし、食事みたいなもんだからね。

後、ダイジンね。
これ喋ると長くなるから少しにするけど、
ダイジンってあれ完全にキュウベェだね。まどマギの。
なんというかキュウベェの逆だね。
キュウベェは善から悪
ダイジンは悪から善
(観客イメージの話ね)

そう思うと、このタイムトラベルチックな設定もまどマギを彷彿とさせるよね。

後、これも言っときたくて、
草太のセリフで
「大事な仕事は人から見えない方がいい」
ってこの言葉。

めちゃくちゃ心にくるね。

震災もそうだし、コロナ禍もそうだし、
災害の無い日常でもそう。

人の心に突き刺さるいいセリフだった。

作中では閉じ師の事を指していて、裏のメッセージでは要石の事を・・・って感じなんでしょうけど、
私は観客各々でいろんな受け取り方が出来ただろうなぁと思いました。

とまぁ、12分でこんな感じなので、これを本編分も行っちゃうと10倍になっちゃうので、ここらで辞めます。

すずめの出会いと成長の話とか
旅館やスナック繁盛の話とか
遊園地が光った時の話とか
歌の歌詞の意味の話とか
私が思う「忘れる」のテーマとは別にもう一つ「許し」のテーマすずめの戸締りにはあるよなぁって話とか

話したい事が山ほどあるけど。ここで終わり。

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