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コトバアソビ集

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タイトルが同音異義または響きが似た言葉の繰り返しになっている短編集。随時追加。
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記事一覧

コトバアソビ集「当たり屋の心当たり」

「オイッ、にーちゃん!!痛ェじゃねーか!!」  通りすがりの男とドンっと肩が当たった瞬間…

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コトバアソビ集「たなばたのたなぼた」

 折角の日曜日、わずかなバイト代欲しさに話に乗った俺がバカだった。 「すっげー蚊に刺され…

裏木戸 夕暮
2か月前
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コトバアソビ集「とうふとふとうこう」

 僕の近所には駄菓子屋さんがあって、駄菓子屋さんといっても洗剤とか日用品も売っていて、店…

裏木戸 夕暮
3か月前
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コトバアソビ集「斑猫と斑猫」

 斑猫が道標と知ったのは手塚治虫の漫画だった。手塚先生は昆虫が好きで、それでペンネームに…

裏木戸 夕暮
3か月前

コトバアソビ集「アハハの日」(副題:母の日に贈るなギフトセレクション)(掌編小説…

「ありがとうね」  笑顔が頬にひりつく。息子からのプレゼントは北欧ブランドのエプロン。 (…

裏木戸 夕暮
4か月前
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コトバアソビ集「せんせいの繊細な先妻」

「前の妻は繊細な人でね」  私の好きな人はほろ苦く笑う。  私の好き、には一切気づかない。…

裏木戸 夕暮
5か月前
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コトバアソビ集「おかしなおとなのおかしのはなし」

「では皆さん。スポンジの熱が冷めるまでの間、お茶にいたしましょう」  講師の言葉に雰囲気が和んだ。大人向けを売りにした製菓教室はリキュールを多用するお菓子作りと合間のティータイムが人気だ。  講師は元々SNSでお菓子作りを紹介していた女性で、三十代にも四十代にも見えるが実はアラフィフだとの噂もある。ハンドルネームで活動しているので本名も不詳だが、丁寧で分かりやすい教え方で人気がある。  教室へ通う生徒は30代後半から50代と様々な女性たち。  講師おすすめの紅茶をお供に、世

コトバアソビ集「もぐもぐもぐもぐ」

「お腹いっぱい食べなさい」が口癖の母。 「そうだぞ、成長期なんだから」が口癖の父。  そん…

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コトバアソビ集「はこにわにはにわのことり」

 さる屋敷の園丁に剛造という男が居た。勤めて50年。もう年寄りだ。  若い頃は大きな松の木…

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コトバアソビ集「しずくくずし」

 眠れない夜に何をなさいます?  読書ですか。よろしいですね。  羊の数を数えますか。はて…

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コトバアソビ集「凩と凧」

 久しぶりに地元に帰った裕一は、昔遊んだ河原へ来ていた。  草が繁る斜面を段ボールで滑っ…

コトバアソビ集「ご大層な誤配送」(原作:作者不詳『とりかへばや物語』)

 山田真琴は自分のことが好きではない。  地味な外見と地味な性格と、並程度の頭と不器用さ…

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コトバアソビ集「似非エッセイ」

「エッセイ?」 「これ位のスペースなんですけど」  訪ねてきた女性がテーブルに記事を広げる…

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コトバアソビ集「このこはこのこ」

 息子から届いた段ボールを見て、老母はため息をついた。 「・・有難いんだけどね・・」  ポツリと一言。宅配業者は次の届け先へと足早に立ち去る。  5月の第二日曜日。母の日。 「落ち着いたら顔を出すって。いつ落ち着くんだろうねぇあの子は」  都会で暮らす一人息子は40代後半。若い頃からコツコツと知見と預金を蓄え40歳で起業し、ITだか何だかの会社は成功しているらしい。喜ばしいことだが、もう10年は顔を見ていない。  メッセージのやり取りはある。 『電話もしなくてごめん。寝る間