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焙煎ROVOからZEN研究所へ(制作記)

皆様お久しぶりです、身体的特徴は男性で自称性別は男性のURACATA原口でございます。そろそろ自称年齢を10万3ちゃいくらいにして可愛いキャラに変身しようかと目論んでおります。

とりあえず動画など作ってみましたのですがコチラです。

 さて、随分前に出した動画でも今回の動画でも言ってるんですけど、全自動制御はやめました。焙煎機によって制御すべき要素のバランスが大きく違うからです。
 焙煎に詳しくなるのはコーヒーブラックホールの醍醐味ではありますが、コーヒーの焙煎に当たって機械の方ではなく豆に集中すべきです。なので専門用語でしか処理できない独自の指数などは排除するべきと思ったわけです。

そもそも焙煎をルーティーン化するのに手間を省きたいと言うのがスタート地点なので、「焙煎モニターZEN」設計時のコンセプトを引き継いで、焙煎に関する以外の予備知識は使わないを目標に再スタート。

そんなわけで開発を切り替えてゴールデンウイークあたりから、まずは焼いてみてそれを再現する+多少のゆらぎを吸収する「Rec&Play」を基本思想にコードネームを変更して「ZenRP」としてやってました。まあ内部呼称で誰にも言ってはいないのですが。

先程の動画でなんとなく説明しましたが、開発に当たっての気分的なものや使い方をテキスト化しておきます。一応ここから大きく変更はないと思いますが、一応リリース前のものをどういう感じで組んでいるか興味がある方以外は別に読む必要はないかもしれませんね。ではまた。

開発の全体像

数種類の火力制御原理を紆余曲折したおかげで基本構造は意外とすぐできたんですけど、直感で理解しやすい画面、そして何より焙煎そのものの把握をパソコン無しで行いたい欲望が抑えきれず、焙煎履歴を比較したり焙煎計画を本体内で構築したりと機能が増えまくってしまいました。

まあまあの回数を起動テストしたので、操作の手順や表示の不自然なところを修正して、理解できないものが残らないようにはできていると思います。機能的に問題ない多少の粗さはスルーしている部分もあります。
 多機能多パーツが故に、単機能の焙煎モニターZENのようにセンサーと電源を繋いでボタンを押すだけですべてが始まるわけではありませんが、アナログ操作を置き換えデジタル化した割にはシームレスで理解しやすくなっているとは思います。もちろん最終的には周辺機材を接続してボタンを押すだけで焙煎完了まで持っていける設計はしてあります。
 できればより美しい視覚表現をと思い、モノートーンやツートーンでの表現もしてみましたが、道具としてのフィードバックを優先したので色が少し散らばっているとは思います。
 文字の大きさに関しては重要なものほど大きく、小さいものは最終的に使わなくても支障が無いかもしくは補助的に別位置で大きく表示するなどしてあります。2000回以上起動して慣れてしまったので逆に違和感を感じなくなっているところもあるかと思います。
 基本的にはZENと同様に焙煎に集中するために必要なものの視認性を上げて重要度の低い情報はリアルタイムでの状況把握の邪魔をしないということにしています。
 そしてたどり着いた焙煎完了までの操作手順は
初期設定
記録焙煎
(焙煎の検討
(改良点があればガイド作成
(改良点があれば記録焙煎の繰り返し
自動焙煎
この様になっています。それぞれの詳細は以下の通り。

初期設定

まず初回起動すると初期設定画面が立ち上がる。
 一度設定したものは本体内に保存され、動作に反映される。
 具体的な操作手順については後日動画でまとめるつもり。
 キットとして付属するサーボはガスの開閉用のみで、焙煎環境によってダンパーやホッパー・ドア用は適宜用意してほしい。規格は製品化の際に案内する。普通のラジコン用のフタバ・JRタイプになる予定。

温度計の設定

メインとサブのK型熱電対の温度補正を行う。
 排気側にセンサーを装備することでドラム内の温度変化を予測しやすくなった。ダンパーの操作と合わせて気流の影響を読みやすくなった。本来K型熱電対は規格で許容量が決まっているのだが、入手しやすいChina製品はばらつきが大きいのでまず初めに補正設定。

点火位置設定

サーボにより火力調整を行うので、点火角度を決めておく必要がある。
 イワタニのBo+に対する操作を基本としているので、0で消火、90で全開、115~120あたりで点火となる。コンロの個体差や使用による経年変化に対応する。

最小火力設定

コンロのつまみは全開位置から少しづつ下げていくと30度程度で消火する。消火する前にポポポと音がして不安定になるが、不意の消火を避けるため、そこまで下げるなら消火として扱いたいので、テスト機では33が最低火力となっている。

つまみの遊び

火力調整ツマミは多少のグラつきがあるものだ。
 例えば最小火力を33にしていたとして、上げていった時に54くらいまでは反応しない。サーボで動作させながら反応のある角度を設定する。英語ではPlayやSlackとなるが”Play”だと他の意味が強いので”Slack"で表記する。

初期設定のやり直し

初回起動時以外にも設定を修正できる。
起動時に白いボタンを押しておくと初期設定画面が立ち上がるので再設定が可能。
 以上初期設定は実際に実践した動画があるので後日まとめて公開する。

記録焙煎

赤いボタンを押しながら起動すると記録モードで立ち上がる。
 まずは自分のベスト焙煎をやってみる。
 緑のボタンで着火と予熱が開始される。狙いの温度で再び緑のボタンを押して本焙煎への切り替え。ホッパーに繋いだサーボは20秒(仮)開放される。ホッパーサーボは焙煎環境によって工作してほしい。コチラでは用意しないが、後日解説はすると思う。必要がなければ手動でも良い。
 火力とダンパーの操作は手動ではなく、本体の黄色ボタンでガスの上下、青ボタンでダンパーを操作する。今まで感覚的アナログでやっていたものをデジタル化すると想像していたのと違うかもしれないが、感覚をフル活用して焼いてほしい。数字はあとから付いてくる。
 途中でDTRを計測したければ緑のボタン。動きはZENの場合と同じになっている。
 焙煎の終了は左の黒いボタンを2つ同時押し。
 黒いボタンの終了処理までですでに履歴は保存されている。保存用の”LOG"フォルダに毎秒更新で保存されているCSVファイルが、Fixすることで終了タグを添付して”FIX"フォルダにコピーされる。この作業をすることで次の焙煎の際の下敷きにもなり、また自動焙煎用のログにもなる。コピー時間は焙煎10分につき1分程度かかるので、合図があるまで豆の冷却でもしていてほしい。
 コピーが終われば表示が時間加算が終わった状態で正常に戻るので電源を抜いて良い。(本体に電源スイッチはつけていない)

焙煎の検討

黄色いボタンを押しながら起動すると前回の記録が表示される。
 上からダンパー、中央に温度、下にガス。温度とガスは上下1目盛りが1単位だが(1℃と1度)、ダンパーは10度刻みなので1/10になっている。
 赤いボタンを上下に押すことでFIXしたフォルダに入っている履歴ファイルを順に表示できる。焙煎の長さにもよるが20分未満の焙煎で5件程度までCPU内メモリーが残る限り表示できる(表示がおかしくなったらメモリを使い切ったのでリセット)。

焙煎計画の練り直し

前回の焙煎プロフを見ながらコーヒーを味わい、ここはこうした方が良さそうだと検討が進むだろう。緑のボタンを押しながら起動すると、ガイドドットの修正ができる。プレヒート時のガスとダンパー以外は表示されるだけであくまでマニュアル焙煎向けのガイドであり、目安でしかないが、うまく作れば相当計画的な予定表になる。
 満足行くドットを打った後は緑ボタンで保存ができて、保存されたガイドは本体のダイヤルで選べる10件のフォルダにコピーもできる。焙煎バリエーションを増やしたいときも本体内で操作できる。
 フォルダを分けるよりSDカードを複数用意して差し替えも悪くなさそうだとは思っている。
 記録焙煎の前に先に温度だけでもガイドを作っておいてもいいかもしれない。

焙煎の検討2

複数回焙煎を記録していると差分を知りたくなる場合もある。
 青いボタンを押しながら起動すると複数の焙煎曲線を重ねて表示できる。
 ちょっとした差がよく分かるようになる。複数の焙煎をテイスティングしながら眺めるとよく分かる。これもメモリーの関係で最大でも5件に絞っている。
 SDの空いているFIXフォルダにPCで入れ替えると比較用に表示できる。SDカード内の履歴はどこかに保存しておくことを推奨する。もちろんオフィス系ソフトでの管理もできるので、使っていないフォルダにまとめてコピーして閲覧もできる。遠い過去に焙煎したデータを引っ張り出して最新のデータと比較する時に重宝する。本体内で操作することも考えたが、どうあがいてもPCでの操作の速度に勝てそうもないので実装はしなかった。

自動焙煎

ボタンを押さずに起動すると、すでに焙煎記録のある場合は自動モードで立ち上がる。ボタンを押せば点火し予熱し、(設備を装備してある場合は生豆を投入し、ダンパーを調整し、)焙煎を開始する。履歴温度を目標としてガスは調整される。ダンパーの自動動作は記録時と同じ値での固定だが、マニュアルで動作させることもできる。(あくまでも緊急リカバリー用なのでそもそも基本の記録焙煎の完成を推奨する)
 ガスの自動化はプラスマイナス3度の角度で調整されるが、0~最大10度までの誤差を許容するように設定できる。("度"はサーボの角度であり、温度の"℃"とは別のもの)
 焙煎終了に伴う豆の排出は、設備を組めば自動で排出できる。最後の決定だけは自分で行いたい場合は特にサーボを用意しなければ駆動信号は無視されるし、焙煎終了前に自動排出解除と自動排出の切り替えができる。サーボが繋がっていれば基本は自動排除に設定されている。
 終了時にFIXボタンを押せば最新履歴はFIXフォルダにコピーされるが、通常であればそのまま電源を切ってもよく、そのままLOGフォルダには履歴が残る。FIXしなければ最後にFIXしたファイルが自動焙煎データとして使用される。

履歴の操作

焼き上がった履歴を操作してプロフを作り込みたい場合はPCのオフィス系ソフトで直接操作できる。温度を書き換えたりガスを設定し直したり、排出ドアのタイミングを1秒単位で調整することができる。
 これはガスやダンパーに加えてドラム回転速度による熱の入り方など、焙煎環境を充分把握してからの操作になるだろうが、マニュアル時のちょっとした修正などにも使えるテクニックだ。
 挙動を把握すればこことここの間を20秒伸ばすなどの自動焙煎用の履歴操作が可能。
 もちろん目標温度とガスダンパーの組み合わせを完全理解したら、全く一から組むのも面白いかもしれない。

ZenLab.

とまあそろそろ自分でも通常運用に近い感じで動かし始めて、これは手に乗る研究所に進化したなあと思ってしまったので、焙煎モニターZENラボとして完成させます。
 動画でもいいましたが、年内くらいで自前でのバグフィックスを終え、テストに参加いただける方がいれば少数量は制作できる準備をしています。もしよかったらBASEのカートに予約販売を用意しておきますので覗いてみてください。無料だとユーザ/開発者双方気が入らないと思いますので製品化予定価格の半額くらいで設定します。ZENを2022年内移行でお使いいただいていて、細かくフィードバックをいただける方に限定させていただきます。奮ってご参加ください。
 一発目の動画では伝わらない部分も多いだろうなと思ってますので、少しづつ動画を上げていきますので、こりゃだめだと思ったらいつでもキャンセルどうぞ。


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