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国民の遺書 「泣かずにほめて下さい」感想

小林よしのり責任編集
国民の遺書 「泣かずにほめて下さい」靖國の言乃葉100選

久しぶりに本を読んだ。

戦争で亡くなった我々の先祖達がそれぞれの守るべき者達へと宛てた死ぬ前に残した言葉が綴られていた。





検閲もあったのだろう。

「私」を捨て「公」を綴りながらも、その背景と言葉の中にある「私」が読み取れてどの言葉も重く心を揺さぶる手紙ばかりだった。

当時の日本の若者達の言葉づかいの美しさには目を見張るものがあった。

20代の若者の手紙も多く涙を誘う。





手紙の中には平仮名で書かれたものもちらほらとあった。

当時の日本人の識字率は高い水準にあったが、漢字だと伝わらないという家族への配慮からひらがなで書かれていたという解説を読んだ時、どんな局面においても人に優しくあるという事がどんな事なのかを学び涙が止まらなかった。

恥ずかしながら「法務死」という言葉があった事を初めて知った。


直接の戦犯ではないにも関わらずその多くは冤罪に近しい形でB級、C級という扱いを受け、勝戦国から一方的に裁かれ死刑となっていった方達の言葉も心を揺さぶる手紙だった。





誰かを恨むでもなく、運命を受け入れ「公」を全うしようという言葉から何を感じたか。

私達の祖先が守りたかったこの国に国民として生きる事への感謝だった。

そして死を間近に控えた極限の中において大切な人を想う気持ちの中に「私」である本音が読み取れて涙が止まらなかった。





20代の若者がしっかりとした言葉で家族、こと母親への感謝を記した内容が多い。


自分が亡くなるという親不孝を詫びる言葉。

親孝行が出来なかった事を悔やみつつも戦死こそ孝行であると「公」という建前で結ばれる言葉。

自分が亡くなった先の家族の生活まで思いやる優しさ。


私なら絶対にこんなにも尊く、思いやりを持った言葉など残せないだろう。





私は戦争賛美の思想はない。

しかし我々の先祖がなぜ戦争へと道を進めたのか。

それは日本を含むアジアの国々を欧米諸国による植民地化から護りたいという大義名分がそこにあった事は忘れずに認識していたいと思う。

その中に悲惨で繰り返してはならない惨状もあったが、当時の日本人の誇りを奪うような歴史の誤認は避けるべきだと思う。





靖国神社は古くから軍人達の心の拠り所であった。

その周辺に植えられている桜の樹は彼らを偲び植えられたものだという。


桜という花の儚さの裏にあるそんな話を知って以来、私はイマイチ「花見」というのが苦手であり浮かれた野外飲み会に参加する気持ちにはなれないでいる。





我々の先祖達が残してくれたこの国で生きている事の幸せを忘れずに生きて行こうと思った。

そして今年こそは靖国神社にこの季節に参拝しようと思う。

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