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MONTAGE / THE LOVE GENERATION 雑感

やっぱりジャケット怖い。

妙な心地のするジャケットであるこの作品を買ったのは数年前、友人の車で少し遠くまでドライブをするということで車中でかける音楽は何か無いかとお店に入りテキトーに見繕っていたところ出会いました。
帯にはサウンドピックニックシリーズと銘打たれていて、遠出の音楽にちょうど良さそうだなと思ったのを覚えています。後ジャケット怖いなとも思いました。
しかしこの作品を聴くことは一度もありませんでした。友人の車にはCDを聴ける機能が無かったのです。驚愕。BluetoothみたいなのはあるといいますがなんだBluetoothって。生意気。

聴けないのでしょうがない。車中のなんというか、前面にちょっと物置けるスペースにポイと置いているとズルリと落ちたりするのでダッシュボードに入れてそのままドライブ。そしてCDはそのまま。そんなこんなでその友人の車に置きっぱなしにしてから数年後に私の手元に戻ってきたのです。

一応私が何個か書いてる音楽の雑感は、聴いたことないものをということで書き始めたのに今まで聴いてきていたものばかり書いていました。ここにきて初めて未聴のものを聴いて雑感を書くワケです。所持自体はしていたにしても。(いや、所持していたともいいづらいか)

ちょいとグループのことも書いておくとこのラヴ・ジェネレーションというグループはトムとジョンのベイラー兄弟を中心にした6人組のコーラスグループ。そしてこの作品は3作目にしてラストアルバムでありベイラー兄弟以外は脱退してしまっている。
ジャケットの後ろ姿だけが写りどこかへ行こうとしてるのが脱退したメンバーで壁人間2人がベイラー兄弟。脱退するメンバーを見つめている彼らの心の渇きが壁人間として表現されているようで寂しいような気持ちに。
そんな内部事情知ってたらサウンドピクニックとかいう謎の謳い文句に騙されてドライブ用に買ってないわと思いつつも音は確かに素敵なコーラスワークと柔らかな音色でピクニックには良さそう。ジャケットも壁人間の2人を外せばまさにピクニックだし。

なんやかんやで

曲目です。

1.MONTAGE FROM HOW SWEET IT IS (I KNEW THAT YOU KNEW)

ゆったりとして爽やかな曲。透き通るようなコーラスと徐々に盛り上がるホーンやストリングスの音とが重なって良い映画のラスト感がすごい。一曲目なのに。

2.LET THE GOOD TIMES IN

壮大な雰囲気のあった前曲とはまた違いこちらはポップな雰囲気。多少アップテンポでノれるのですがなんとなく寂しを感じるのは果たして。このアルバム、特にA面にあたる部分にその雰囲気は漂っているのですが。というか雰囲気って言い過ぎな雰囲気。

3.I KEEP ON TALKING

また一転してスローな落ち着いた曲に。コーラスが効いてるせいか気持ち良く聴けるけどやはり寂しさがどことなく漂っているような。

4.LOVE AND SUNSHINE

これまた一転して陽気な曲。まさにピクニックサウンドといった感じで楽しく小躍りでもしながら歌ってるかのよう。歌詞も明るいしウクレレやパーカッションの小物も楽しげでよろしいですね。

5.A TOUCH OF LOVE

また一転してスローな曲。なんだこの波状攻撃は。ファーストアルバムにも収録されている曲で録り直して今作に収録されたらしいです。不思議なサウンドで歌われるのは啓蒙的な歌詞。何故かプラネタリウムみたいな大きくて暗い空間で似合いそうな曲だなというイメージ。

6.CANDY

これまた一転してポップなシャッフルナンバー。囁くように優しく歌われる声と呑気な音が素敵。全編にわたり女性のくすぐったい笑い声が入っているのも楽しそう。

7.LOVE IS A RAINY SUNDAY

アップテンポで少々今までとは毛色が異なる曲。ファンクの感じもありつつホーンのメロウな音色が目立ち、それでいてコーラスワークも効きストリングスも効果的に鳴りめちゃくちゃ素敵な曲。これは特にいいですよ。

8.THE PILL

バンドが変わったのかと思うくらいロックなダンスナンバー。ラストの息継ぎしてないんじゃないかというくらい畳み掛けてくる歌い方はわりと好み。

9.SUNRISE HIGHWAY

前曲から一転して壮大な雰囲気のある曲へ。序盤のバンドサウンドから徐々にコーラスが入りホーンが入り段々と音が厚くなるにつれてボーカルも強く叫ぶように歌い歌詞もそれに合わせてどんどんポジティブなものになっていくのがいいですね。

10.MAGIC LAND

不思議なサウンドとコーラスでよろしい曲。ホーンがふんだんに入り盛り上がるこの曲を聴いていると遊園地の中にいるような気持ちになります。まさにマジックランド。これも中々お気に入り。

11.YOU

こちらはセカンドアルバムに収録されていたものを収録し直したものらしいです。落ち着いた印象の序盤から一気に盛り上がりまた一転して落ち着いてというコントラストがハッキリしている曲。このアルバム全体の作りそのものみたいです。

12.CONSCIOUSNESS EXPANSION

こちらも前曲と同じくセカンドアルバムかららしいです。跳ねるベースと不気味なチェンバロの音色が印象的。明るめの音色も鳴っているのですがかたわらのチェンバロやコーラスが寂しげに鳴っていて不思議な曲。最後は乱雑に音が鳴らされて遠雷のような音が重なり終わります。これがラストアルバムの大ラスと思うとなんだか象徴的な感じ。

聴きました。

67年のカリフォルニアで結成された彼らのラストアルバムである今作は68年に発表されたもので、聴いてみるとなるほどその年代の才能ある若者らしい音だなという印象でした。

同じくカリフォルニアで結成されたコーラスグループであるビーチボーイズがペットサウンズを発表したのが66年。68年に発表の今作が同じようにコーラス主体であり不思議な気分のサウンドと内面世界を顕著に表した歌詞でもって作られたのは同時代ならではのアンテナを張っていたからという感じですね。

とりあえず良い作品を随分と放置していたんだなという反省を込めて今作をデジタルのなんやかんやにして生意気なBluetoothでかけてドライブしたいと思います。私は免許持ってないのでまた友人の車で。

それではー。

よろしければ嘘記事もどうぞー。

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