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8月30日(水)

名前を知らない花に、ただただ美しいと触れるあなたがうらやましかった。時は崩落し、あの小さな花も、いまは瓦礫の下に埋もれている。流れる川を、うつろい変わる雲を、愛でるあなたの永遠の眼。切り崩せない愛情を抱くあなたのおおらかな両腕が、記憶のなかのわたしを抱き寄せる。おわることのない、ピリオドのない名付けを、わたしにして欲しかった。囁きは、あなたの囁きは、沼のように永遠だった。

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