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8月1日(火)
「また、良い明日に会いましょう」
良い明日、はやってくるだろうか。積乱雲がとぐろを巻き、そらは時々夕立を連れてくる。道端でみみずが乾涸びているのをみた次の日にかぎって雨が降り、きみは少し悲しくなるのだろう。きみの悲しさはいつも、地を這う蟲や、きみの血を吸う蛭や、田園の蛇なんかに向けられている。幼少期を懐かしむような心がまだそこに見え隠れするということ、それだけが僕の救いだ。あの夏に足を浸した用水路とか、燃やした草木とか、たてこもった小さな木の洞なんかの鱗片たち、どうか時折きみを振り向かせておくれ。懐古のまなざしと想起する導線が、僕の身体をきつく縛りあげる。そう、それでいいのだ。腐敗していくこと、還元されていくこと、消失していくことを、僕は僕に許さない。そして、きみにも。
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