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状況が落ち着いたら堅牢な胃袋を連れて朝一の便で新千歳空港に来てくれ。

そしてまず温泉に入るんだ。飛行機降りて即温泉、遠方であればあるほどその恩恵が身にしみるだろう。比喩ではなく。

それからできるだけ出発前の朝食は軽めにして、機内でも空腹には耐えていただいて、それから温泉で胃袋様への血流も良くしていただいて、それから堪能して欲しい。
北海道の、食を。

まず朝食営業を行っている店舗がいくつかある。
カフェから和食からスイーツまでよりどりみどりだ。

新千歳空港ターミナルビル>朝早くから営業
http://www.new-chitose-airport.jp/ja/spend/shop/eat/time/

誤解を招かぬよう宣言しておくが、これは序盤である。ここで食べ過ぎてはいけない。せいぜいいつもよりも軽い間食程度に収めておくべきだ。
食べ過ぎるのであれば、選ぶのは血糖値をがっつりとあげるスイーツを中心にしておきたい。
このあといくらでも消費できるのだ、朝であれば罪悪感も少ない。ロイズチョコレートワールドを内包する空港をなめてはいけない。

続いて、天気次第だが展望デッキに行け。
新千歳空港の展望デッキは12月〜3月までの冬期間閉鎖されるし、天候に試される大地北海道では強風や積雪によりいくらでも閉鎖される場合がある。

だが、朝8時から夜8時までという12時間営業は強い。
一部空港と違って展望デッキ自体の入場料は無料であるから、思う存分、端から端まで推し航空機種や推し航空会社の飛行機を眺め倒せ。
運が良ければ海上保安庁の固定翼機もしれっと通過していく。カメラを忘れるな。
早朝の北海道、特に周囲がもう畑か畑かゴルフ場か畑か国有地か陸自駐屯地か演習場、という緑あふれる大地の清々しい空気を胸いっぱい吸ってくれ。

展望デッキで1時間もぼうっと眺めれば、もはや浮世のしがらみは全て溶けて消えると言って過言ではないだろう(11月終わり頃は普通に冬なので防寒はしっかりしてください。でも寒さで全部どうでも良くなるのは本当です)
そうやってただ純粋に魂で旅の交差拠点である空港という概念を全身全霊素直に受け入れる体制が整ったところで、ありとあらゆるお土産コーナーを見て回って欲しい。
冬であれば冷えた体を温めるために温泉に戻ってもいい。

お土産店だが、向き不向き、好みはあるだろうから気になったところだけでいい。まずはざっと見て回るのだ。
その後、気になった店舗に入るもよし試食をはしごするもよし、疲れたらあらゆるところにベンチや椅子があるからそこで休むもよし。
そうして2時間くらいウロウロしていると、いつのまにやらお昼時である。

みなさま、堅牢な胃袋のご用意はよろしいでしょうか。
発揮するのはここです。

上から下まで、和から洋まで北海道名物から全国展開の安心の味まで、なんでもござれである。
さすがに成田空港のようにハラール対応の店舗が複数ある、とかではないが「どんぶり茶屋」さんがハラール認証を得ていたはずである。

HALAL GOURMET JAPAN「Donburichaya New Chitse Airpor」
https://www.halalgourmet.jp/restaurant/784773

さて昼食を終えてあなたは満腹を訴える胃袋様のご機嫌とり、すなわち腹ごなしをしなければならない。
ここで新千歳空港スタンプラリーである。道中誘惑はあるであろうが、まずはスタンプラリー制覇だけを目標にしていただきたい。

新千歳空港ターミナルビル>スタンプラリー
http://www.new-chitose-airport.jp/ja/spend/enjoy/play/quiz/

これは各スタンプ台にある新千歳空港にまつわる二択クイズの正解と思う方にスタンプを押していく、クイズとスタンプ収集が同時進行で行われるものである。台紙はどのスタンプ台にも用意されているから、最寄りから始めると良いだろう。
つまり単純にスタンプを集めていくだけではなく、クイズ自体に正解する必要があるという頭も体も使う催しとなっている。

当初は確か国際線ターミナルビル1階のものすごいはじっこあたりまで行く必要があったが、今見たところ2階・3階で完結できるようである。
このことからその時々によってスタンプ台の場所が異なることがわかったが、それでも割と距離にすると歩かされるのである。

食後の腹ごなしにぴったりであるし、景品交換所として指定されている国内線ターミナル4階の「フライヤーズ」は飛行機模型や関連書籍、自衛隊グッズや各種航空会社グッズを取り扱うグッズショップである。
今だ、財布の紐を開け。ここは1度目のサビです。

もし歩き疲れたのであれば同じ階にプロント新千歳空港店という安心全国展開店があるし、とりあえずここでソフトクリーム食べるべきである。
後悔をしたくないのならば。

いい具合に腹ごなしがすみ、そろそろ空港を堪能したような気になってきた頃合であろう。
甘い。
人生はそう都合良くあなたをこの空港から離れさせないようにできている。

先ほどちらりと申し上げたであろう。ロイズチョコレートワールドである。
北海道といえばロイズ、ロイズといえば北海道、という方程式を抱えていらっしゃる方も少なくはあるまい。
その通り、北の大地が誇るどうやっても美味しい製品しかなくて非の打ち所のなさがかろうじて嫌いなところといえなくもない、みたいな領域である。

甘いものが苦手な方向けにも、甘いとしょっぱいを混同させもはや永久機関を生み出すに等しいチョコレートポテトチップスという、「美味しいものはカロリーと塩分でできている」を地でいく製品がある。
また、限られた店舗にしか併設されていないロイズベーカリーがある。パン屋である。チョコレートブランドが、パン屋である。

美味しいしかない。美味しいしかない。大事なことなので二回言いましたが、美味しいです。甘い以外のパンもあったと思うのでマジでここのパンを買って明日の朝食にしてくれ。頼む。道民の願いだ。

ロイズのチョコなんて観光地であればどこでも買えるが、パンだけは限られた店舗にしかないんだ。ベーカリーだけは正真正銘限定なんだ。頼む、石狩当別町のふと美工場直売店でもパンはないんだ。頼む、観光に来て一番手に取りやすいのがここなんだ。新千歳空港なんだ。
わかったな、あとは頼んだ。

ここで無事に翌日の朝食(もしくはおやつでもいい、なんでもいい、食べてくれ)を手に入れたあなたは、そろそろ足も疲れたし夕飯の算段を考えることであろう。
だがここでお待ちいただきたいことがある。

北海道が誇るのは、ロイズだけではないのだ。

北菓楼、千秋庵、六花亭、わかさいも、きのとや、Milkissimo(ミルキッシモ)、ペイストリースナッフルス、柳月、ルタオ、もりもと、花畑牧場、雪印パーラー、北海道牛乳カステラ、エトセトラエトセトラ………

もう頼むから全部片っ端から覗いて片っ端から試食してくれ。
全部美味しいから。
そして気に入ったものは賞味期限に気をつけつつ財布の紐を開くのだ
2度目のサビですここです。

「もりもと」のトマトゼリーとハスカップジュエリー。
「千秋庵」のノースマン。「雪印パーラー」のスノーロイヤルスペシャルアイスクリーム。
「北海道牛乳カステラ」の濃厚チーズケーキ。「きのとや」の焼きたてチーズタルトときのとやバームクーヘン。
「六花亭」の雪やこんこといつか来た道、王道のマルセイバターサンド。「北菓楼」の空港限定商品、カップシュー夢風船。

書ききれなくなるのでここまでだが、商品名に「いも」と入っていながら芋類を一切使わずにとても芋っぽさを創り出すことに成功した「わかさいも」はイチオシである。

これで一生分のスイーツを手にしたと錯覚するであろうあなたは、浮ついた気持ちのまま空港を離れようとするだろう。
待ってくれ、最後にもう一つあるのだ。

エアポートヒストリーミュージアムを、忘れてはいけない。

ここまでの華やかなりし物欲を刺激するありとあらゆる財布の紐との戦いを終えたあなたは、そういうのと一切関係のないただ淡々とつづられるこの地の歴史に興味を持つだろう。
何せこの千歳の土地は千歳村の村民の皆様が開拓した土地である。そこから始まる空港自体の移り変わりと簡潔ではあれど嚙み締めるには十分な量で織りなしてくれる場所である。
また、各機種の飛行機模型なども今はもうこの空を飛ばなくなったロゴや塗装、機種などがあって思い入れのある人にはたまらない空間である。

その他にも大空ミュージアムとかアイヌ文化展示コーナー(イチオシ)があったり、我々に優しいアニメイトがあったりするし映画館すら内包するのでもう最終的にはここに一泊する方が賢明とすら言える。
そんな方向けに温泉にも宿泊できるし、エアターミナルホテルもあるのでもうここで一泊してくれ。そして翌日に朝早く営業の店舗で今日とは違う朝食を楽しんで早い時間の快速エアポートで札幌に行くなり小樽に行くなり、好きにして欲しい。

今回、北海道大好き心が爆発して道民としてはほぼ使命感とすら言える勢いでつづったが、本当に大前提として状況が落ち着いてからでお願いしたい。
あなたも私も北海道も、いずれ死ぬ。

だが今日がその時ではないのだ(ってアラゴルンも言ってる)

これからどうなるか誰にもわからない。だから、世の中が、北海道がだいじょうぶって言ってから、上記の行動を全部やってくれ。

やってくれ、と言っているけどこの世の全員が石油王ではないのを知っているので、本当に厳選して自分の気に入ったものだけでいい。
厳選もまた一つの楽しみ方である。そうして巡り合った一品は、あなたの人生の中でひときわ輝く。

もちろん財布の紐を全開にして、なんなら口座を開いてくれてもいい。
それもまた楽しみ方の一つであり、そうして華やかに巡り会い堪能した品々も、あなたの人生で輝き続ける。厳選したのと同じように。

要は、新千歳空港に来るなら胃袋と財布と体力を用意してできるだけ早い時間から、なんなら前泊する勢いで堪能してくれ、という話です。
久々に結論のある文章を書きました。
個人の嗜好が満遍なく反映されているからかなり偏っているし、シュタイフネイチャーワールドとか全然触れていないところがまだまだあるので、それは現地でのお楽しみとしていただきたい。

自分が自信を持って他人にお勧めできる場所がどこかと考えたら新千歳空港だったので空港のことだけです。
他の観光地については自信を持っている人に譲ります。何かの参考になったらこれ幸い。

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