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【学科】令和3年 計画科目No.2(新問なのに受験生の50%以上が得点できた理由)

令和3年(2021年)の計画科目は過去20年分の知識による正答だけでは足切り点を超えられませんでした。これは15年以上,一級建築士「学科」試験本試験問題の出題内容を検証してきて初めてのことです.これまでの検証結果は,コチラ
※ちなみに,計画以外の科目は足切り点を超える点数を得点できており,総合点(92点)も合格基準点(87点)をクリアできています.

ただし,この話を勘違いして,過去20年分の知識だけでは合格できなくなったと誤解されている受験生がおりますので,そうではないことを解説させて頂きます.

まず,計画科目も過去20年分の知識による正答のみで9点は取得できております.基準点(足切り点)は10点でしたが,「とりこぼし」さえなければ,9点を得点可能です.これは,四枝択一式の本番での出題において,正答枝そのものを不適当な記述の選択枝(=×問)として見抜けるかどうかで判定した際の取得点数であり,この9点以外にも,過去問20年分の知識を活用することで正答枝を絞り込み,得点を稼げています.そこで,それがどういった問題だったのかを事例を用いてご説明しましょう。

まずは,令和3年 計画科目No.2をご覧ください.令和3年の学科本試験問題は,コチラで公開されています.

この問題の正答枝は,3番選択枝の「レッチワース」です.これは過去20年間には出題されていませんでしたが,それ以前には,出題されたことのある過去問(昭和62年)です.計画科目No.2の解説は↓

レッチワース(イギリス/ロンドン)は,エベネザー・ハワードの提唱による「田園都市理論」に基づき最初に建設された都市として有名.パトリック・ゲデスの「保存的外科手術」という概念に基づきて建設された都市ではない.

ちなみに,令和3年に学科試験に合格された「あんじぇら」さんも↓のような1月30日にツイートされていました↓

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※「あんじぇら」さんの合格までの勉強内容は,こちら(計画科目は13点を取得).

このように,過去20年に出題された知識でなくとも,それ以前に出題されていたり,都市計画の知識として有名だったものが正答枝として用意されることがあります.

また,この計画科目No.2の受験生の皆さんの回答分布は↓でした.○%とは,全体を100%とした際に,その選択枝を正答枝と解答した受験生の割合を示しています.
1番選択枝を正答枝と解答(13%
2番選択枝を正答枝と解答(25%
3番選択枝を正答枝と解答【52%】←が正答枝(レッチワース)
4番選択枝を正答枝と解答(11%)←過去問(平成22年10問目4番選択枝)
※学科試験終了後に実施した最多解答判定システムの調査結果より

ちなみに,4番選択枝は平成22年に出題されている過去問の類似問題なので,4番を正答枝と解答された方は,そもそも過去問の勉強不足です(論外).したがって,1~3番の中に正答枝が含まれていることになり,そこで9割の受験生が悩んだことになります.

その結果,受験生50%以上が得点できています(このNo.2の他,50%以上の受験生が得点できた問題は,No.10,12,13,18,20の計6問もあります).

この問題の1番選択枝の「ミレトス」や,2番選択枝の「カンピドリ広場」なんて,多くの受験生が見たことも,聞いたこともなかったです.生粋の新問題です.それは,出題者も熟知しています.その上での出題でしょう.

その中で,この3番選択枝だけでは「パドリック・ゲデス」=「進化する都市」と学んだことのある受験生もいました.平成7年に過去問にも出題されています↓

進化する都市は,パドリック・ゲデスの著書である.(平成7年に出題)

↑のような出題なので,中身はよく分かってなく,「進化する都市」=「パドリック・ゲデス」という程度の理解です.

そこで,出題者は,「レッチワース」を「パドリック・ゲデス」の理論に基づいて建設されたかどうかを受験生の皆さんに問いたのです.この時,「進化する都市」ではなく,「保存的外科手術」というキーワードを用いて出題しているのは,「進化する都市」で出題したら,正答枝だと気づいてしまう受験生が増えてしまうからでしょう.

一方で,「レッチワースという都市をそもそも知らないのだから,正答枝と見抜けないよ!ヽ(≧д≦)ノ」と考えてしまう受験生へアドバイスさせてください.

学科試験問題は,毎年,進化します.

この問題では,「都市計画理論」=「提唱者(研究者)」での丸暗記から一歩,進化させて,「有名な田園都市という「都市計画理論」の実現例として「レッチワース」という都市があることを一級建築士として知っておいてくださいね.世界で最初にこの理論に基づいて建設させていますからね.」という具合に,出題者は学科試験問題として学ぶ知識を進化させたのです.

このように,「これって,問題進化系の出題かな?」気づけえるようになれば,正答枝として見抜きやすくなります.このように,知識量で完全武装するのではなく,得点の稼ぎ方を知っておくことが大切です.「レッチワース」というキーワードをなんか聞いたことがあると思って,3番選択枝を正答枝と選び,得点できた合格者もいます.

ポイント
過去20年分の知識に該当しない正答枝が複数あって,どれを正答枝にするか迷った場合は,聞いたことのあるキーワードを含んだ選択枝がないかを確認する.その選択枝の内容とよーく向き合い,出題者と対話する.問題進化系かもしれないと感じたら,その選択枝を正答枝とする.ただし,あくまで過去問20年分の知識をフル活用して,じっくり出題者と対話した上で決断してください.一歩間違えれば,とりこぼしとなってしまいます.

尚,合格ロケットに収録されてない過去20年分の以前に出題された過去問の知識(計画科目)については,今後,毎週火曜日に配信しているメルマガ(こちら)で紹介していきますね.

ただし,現在,「あんじぇら」さんをはじめ,学科合格された皆さんは,製図試験勉強の真っ最中なので,製図試験が落ち着いたら,合格ロケット合格組の皆さんへ「本番でどのように考えて,得点できたのか?」をヒアリングし,その結果をメルマガ(こちら)で配信していきます.

尚,今年,合格ロケット2021で勉強したのに,合格点を突破できなかった方は,来年度学科試験用の合格ロケット2022を40%オフの41,500円(税込)で購入できます.期間限定となりますが,この制度を知らないユーザーがいましたので改めてお伝えしておきます.合格ロケットも地道にコツコツ進化していきます.詳しくは,こちら

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