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【学科】トーレ・ヴェラスカ(用途/集合住宅)

前回からの続き【建築作品を学ぼう♪】シリーズ

今回は,イタリアのミラノに建つトーレ・ヴェラスカ.
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■解説

~↓↓↓1分で解説!YouTubeショート動画↓↓↓~

歴史あるミラノの町並みの上空に集合住宅の塊が浮かぶトーレ・ヴェラスカは.高さ106メートルの高層建築でありながら最上部に勾配屋根を持ち,中世都市の塔を彷彿させる.

上部に浮かぶ「塊」は,それを支える低層部よりも平面的に突出している

上空に浮かぶ「塊」から外部に柱が飛び出し,その柱が低層部のボリュームと斜材(コンクリート・ブレース)で連結されている.この力学的緊張感は,中世のゴシック建築の特徴であるフライング バットレス(↓)を逆さにしたようだ.

このつっかい棒のような斜材は,近くにあるミラノ大聖堂との呼応関係がある.つまり,地域性がデザインされている.これは,地域性を無視して,どの地域でも同じ材料(鉄,ガラス,コンクリート),同じ構成で高層ビルを乱立させていったインターナショナル スタイル(=国際様式)への皮肉というか,反発的なデザインでもある.

ミラノ大聖堂(ゴシック建築の代表作の一つ)

設計者の一人であるE.ロジャースも,トーレ・ヴェラスカのデザインは,ミラノ大聖堂の構造表現に対する応答であり,ミラノという街の〝雰囲気〟への応答であると語っている.

低層部は店舗やオフィス等で,上層部の「塊」部分が,集合住宅となっている.

設計はBBPR.BBPRは4人の建築家(Gianluigi Banfi,Lodovico di barbiano,Enrico Peressutti,Ernesto N Rogers)で構成されるグループ名.

尚,第二次世界大戦後の1950年代後半に,敗戦国となったイタリア,日本,ドイツで高層集合住宅の名作がそれぞれ新築されている.日本では,前川國男の設計による晴海高層住宅(コチラ)がこのトーレ・ヴェラスカと同じ1958年に竣工し,その翌年に,ドイツでハンス・シャロウンによるロメオとジュリエットが竣工している.


■学科試験ではどう問われる?

平成5年(1993年)の一級建築士「学科」試験で問われた知識です↓

【計画問題】正しい記述かどうか?
トーレ・ヴェラスカ(Ernesto N.Rogers)は,高層住宅である.

【解答】〇


■まとめ【サマリーキーワード】

 ✅高層集合住宅
 ✅低層部は店舗,上層部は集合住宅
 ✅フライングバットレスのようなデザイン
 ✅地域や街並みとの呼応


■建物概要(製図試験対策用)

 【建  物  名】トーレ・ヴェラスカ
 【竣  工】1958年
 【階  数】地下2階 地上27階建て
 【構  造】鉄筋コンクリート造

今回は以上です♪
次の建築作品へ続く.


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