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【日本建築史】一級建築士試験に出題されまくっとる『寝殿造り』

前回からの続きです.

「寝殿造り」については,平成16年,22年,令和2年の一級建築士「学科」試験に出題されています.

【問題】
「寝殿造り」の特徴として,寝殿の左右や後ろに造られた独立の住屋は,対屋と呼ばれ,渡殿で連結されている.

【解説】
「寝殿造り」とは,平安時代に完成された天皇・貴族の住宅形式をいい,正殿(せいでん)としての寝殿と,その左右や後ろにつくられている対屋(たいのや)と呼ばれる住屋(すみや)から構成され,それらが渡殿(わたどの)で連結されている.

【解答】○


【問題】
東三条殿(とうさんじょうでん・ひがしさんじょうどの/平安時代)などの寝殿造りは,柱は丸柱とし,寝殿の周囲には蔀戸(しとみど)を吊り,床は板敷きであったといわれている.

【解説】
問題文の通り.蔀戸(しとみど)は,コチラ

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【解答】○


【問題】
江戸時代における居住施設に関して,武士の住居には,主として,書院造りが用いられ,二条城二の丸御殿の白書院,黒書院等はその代表例である.この説明と下画像は組み合わせとして正しいかどうか?

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【解説】
二条城二の丸御殿は池に,面して雁行形に配置され,手前から玄関,遠侍,式台,大広間,黒書院,白書院と並ぶ.詳しくは↓

それに対し,上画像は,東三条殿(寝殿造り)の図であるため組み合わせとして誤り.

この知識が問われた際,寝殿造りの特徴である建物の南側にある池(上画像の左側)は消されて,文字表記もなく,いつもの図が90度時計回りに回転された図となっているため,この図が「寝殿造り」だと見抜けなかった受験生が多かったです.いつもは↓のような

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一級建築士「学科」試験は,たった1点で合否の命運がわかれてしまう1点勝負の試験です.毎年,「たったの1点が足らずに合格できなかった受験生」が続出します.受験生の得点分布において,最も多いボリュームゾーンでもあるので当然の話です.そこには,通学生も独学生も関係ありません.ただし,日本建築史だけはストーリーで理解しておけば,その貴重な1点を稼げます.日本建築史はほとんどの受験生が捨ててしまったり,ストーリーでなく,丸暗記で対応しようとする分野であるため,点数を稼げておりません.だからこそ,ライバル達と差をつけられるチャンスです.

また,日本建築史をストーリーで説明できるようになると建築デザインや建築実務が一層,楽しくなっていきますよ.僕自身もデザインで悩んだ際には,日本建築史に立ち戻るようにしております.

【解答】×
 続く

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