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【日本建築史】光浄院客殿(こうじょういんきゃくでん)

前回からの続きです.

これまでご説明してきた通り,書院造りには,公家や貴族を中心に茶室建築の手法が取り入れられた数寄屋風書院造り(代表例/桂離宮西本願寺飛雲閣)の流れがありますが,それとは別に武家社会では生粋の書院造りが進化・洗練されていきます.

その代表格が平成17年の一級建築士学科試験問題として出題された光浄院客殿(こうじょういんきゃくでん)です.

【計画科目/問題コード17241】
光浄院客殿の平面は,「匠明」の殿屋集に描かれている「主殿の図」とほぼ同じであり,桃山時代の標準的な武家の住宅の形式を示すものと考えられている.

【解説】
光浄院客殿は,「園城寺(おんじょうじ/三井寺)」の子院の一つ.主室となる「上の間」には,床(押板)・違棚・帳台構えがあり,広縁に張り出した「上の間」には,床(押板)と附書院がある.

また,寝殿造りの名残りと言える中門廊もあり,主殿造り(寝殿造りのうち主殿だけで暮らしを完結させる様式)の代表作であり,かつ,初期の書院造りの代表的な平面形式とも言える.

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この平面に酷似した平面図が,1608年に江戸幕府大棟梁の平内政信によって描かれた気割書である「匠明」の中に「武家主殿の図」として掲載されている.

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尚,客殿(きゃくでん)とは,客を迎える建物のこと.

【解答】〇
 続く


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