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【学科】福岡市立博多小学校

前回からの続きです.


令和3年の一級建築士「学科」試験に出題された知識です.

【計画問題コード03151】正しい記述かどうか?
福岡市立博多小学校(福岡県)は,オープンプラン型を採用し,旧来型の職員室の代わりに壁のない教員コーナーやワーキングスペースを設けることで,複数の教員で児童を見守ることのできる空間整備が行われた.

令和3年にはじめて出題

【解説】
1995年に竣工した千葉市立打瀬小学校(コチラ)の後,1998年に設計にあたったシーラカンスは,シーラカンスアンドアソシエイツとして改組された.さらに,その年,シーラカンスK&H(工藤和美氏,堀場弘氏)として,シーラカンスアンドアソシエイツから対等分社する.この福岡市立博多小学校(コチラ)はシーラカンスK&Hによる設計.

Google Earthより

福岡市立博多小学校(福岡県,シーラカンスK&H,2001年)は,廊下と教室を隔てる壁をなくし,隣接するフリースペースも活かしながら,多彩な学びの形を自由にレイアウトできるオープンプラン型(オープンスクール方式)が採用されている.旧来型の職員室の代わりに壁のない教員コーナーやワーキングスペースを設けることで,複数の教員で児童を見守ることのできる空間となっている.内部空間の様子はコチラ

限られた敷地に小学校,幼稚園(園庭は校庭を共有),公民館を同時に新築し,それらが回廊デッキでつながりあう総合的な計画となっている.敷地周辺とも一体感があり,「学校はまち,まちは学校」というコンセプトを実現させている.詳しくは,コチラ

Google Earthより

教室回りの平面計画などはコチラのページでご覧いただけます.
また,設計者である工藤和美さんの著書「学校をつくろう!(TOTO出版)」は,お薦めです.将来的に学校建築に興味のある方は,是非,ご購入ください.僕も拝読させて頂きましたが,建築のチカラで社会をより良い方向へと変えていったノンフィクション物語です.コチラ.改めて,建築のチカラというものの価値と可能性を体感できます.僕の生まれ故郷でもある千葉県いすみ市では,今後,廃校となる小学校が出てきますのでその再生の際には,是非とも工藤さんに建築デザインをお願いしたいです.

工藤さんの著書(超絶,お薦めです)

本の中で,最も刺さったのは,現状の小学校建築は,どれほど建築家が通常の予算内で,これまでになかった魅力溢れる小学校の建設を目指そうとしても,その小学校だけに人気が集まってしまうと近隣の従来型の小学校からクレームがはいる可能性があるという理由で反対されてしまう.それが,日本の小学校建築が進化が鈍い理由だと書かれていました.

そのように考えると,一級建築士「学科」試験で出題される小学校建築とは,この国の学校建築の進化やイノベーションに大きく貢献されてきた建築作品が選出されております.そう考えると,試験勉強する意欲がわいてくるのではないでしょうか.試験勉強を一緒に楽しみましょう.

【解答】〇
 続く

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