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【日本建築史】唐招提寺金堂が出題

前回からの続きです.

今回も奈良時代に建立された唐招提寺金堂についてご紹介します.隅の組物に鬼斗が使われているのも特徴の一つです.

また,垂木が平行に並ぶ平行垂木(へいこうだるき)となっています.平行垂木の場合,隅部分の垂木は,上部からの屋根荷重を下部の桁へと流せません.端部にある垂木の下部に桁がないためです.コチラの解説がわかりやすいです.

中国(「大仏様(天竺様)」や「禅宗様(唐様)」として鎌倉時代に日本へ伝来)では隅部分の垂木を平行にせず,扇垂木(おうぎだるき)として隅部分の垂木も下部の桁で支えられるようにしています.平行垂木よりも,上部の力を下部へ流せるため構造的合理性の高い構造となっております.

和様という建築様式がこの唐招提寺金堂で完成しますが,鬼斗や平行垂木は,三手先組物とあわせて,和様の特徴の一つであると覚えておいてください.

三手先組物は,初期の薬師寺東塔に比べて,唐招提寺金堂では進化して,一つの完成形を迎えますが,その後も進化・洗練されていきます↓

唐招提寺金堂については,平成17年の一級建築士「学科」試験問題に出題されています.

【問題】
新薬師寺本堂は,一重,寄棟造りであり,前面1間を吹放しとしている.

【解説】
主語が,同じ時期に建築された新薬師寺本堂となっていますが,唐招提寺金堂の特徴であるため,問題文の記述は誤り.

【解答】×

新薬師寺本堂については,次の記事でご紹介します.
続く

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