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【西洋建築史】ゴシック様式って何?

前回からの続きです.
今回からゴシック編に入ります.

平成15年の一級建築士試験には,次の知識が問われました.

【問題】◯か×で答えよ
下図は,ゴシック建築のフライングバットレスである.


【解説】
ロマネスク建築が進化して,ゴシック建築となります.ヨーロッパ各地に修道院が建てられたり,聖地巡礼といって,遠方へお参りに出かけるキリスト教信者が増えたことで,より多くの巡礼者が集まる地域が都市として発展していきます.

そして,都市の教会堂は巨大化していきます.その方が,より多くの巡礼者を各地から集めることができます.一方で,科学技術の進歩によって,構造的合理性が高まり,巨大化しながらも,ロマネスク建築と違い,ステンドグラス越しに自然光をふんだんに内部へ取り込めるようになります.

さらには,半円アーチでなく,アーチの上部が尖ったような尖頭(せんとう)アーチの採用によって,石造りの空間が軽やかに天上の神の世界へと昇っていくような上昇性を演出できるようになりました.屋根荷重を支える柱なども細くみせるような装飾的工夫もなされてます.それがゴシック建築です.

↓のYouTube動画の解説が非常に分かりやすいので倍速視聴してください.

ゴシック建築の特徴は,下記の通り.

1.尖頭アーチ(上部に尖ったアーチ)

尖頭アーチ↑
ロマネスク様式では半円アーチだったが,ゴシック様式では交差ヴォールトも尖頭アーチになる

ロマネスク様式の半円アーチに比べて,尖頭アーチの方がアーチ脚部の外側に向かって開こうとする力(スラスト)を小さくできる.
※スラストの動画解説(YouTube)は↓

重い石造りのアーチは,その自重によって,下に崩れようとします.その際,アーチ脚部は外側に広がって崩れます.それは,スラストが発生するからです.また,アーチの脚部の位置はそのままに,アーチの高さ(ライズ)を高くするほど(=半円でなく,尖らせるほど),スラストは小さくできます.このイメージは忘れないでください.

2.交差リヴヴォールト(リブとは,肋骨や肋骨状の骨組みのこと)
後期のロマネスク建築から登場した技術で,現存する最古の建築物は,ハリー・ポッタのロケ地として有名なダラム大聖堂です↓

3.フライングバットレス(控壁(ひかえかべ)や飛梁(とびばり))
天井部分のヴォールト屋根のスラストにより,外壁部分が外側に倒れるのを防ぐために設けます.

フライングバットレス=飛梁+控壁
↑の図で各特徴をイメージしてみよう

【解答】◯ 続く


【参考となるYou Tube動画】時間のない方は視聴不要

以上

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