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【学科】金沢市立玉川図書館

前回からの続きです.


Google Earthより

金沢市立玉川図書館(石川県,1979年,谷口・五井設計共同体)は,隣接する近世史料館(コチラ)と合わせて,2棟で構成されている.近世史料館は,元々,たばこ工場であったが,外壁部分を残し,内部をリノベーションして,歴史の重みを感じさせる赤レンガによる伝統的外観が以前のままの姿で保存・改修されいる.

手前が近世資料館,奥に見えるが新築された図書館

一方,新築された図書館部分は明るく開放的な内部空間(コチラ)を持つシンプルな外観デザインとし,外観のデザイン的対比が独特な建築美を醸し出している.

新築された東館(開架部門)の外装材にはコールテン鋼板(耐候性鋼板)を使用 

また,近世史料館の赤レンガを中庭の床仕上げとして使用するなど,赤レンガという素材を媒介にして2棟の建物の調和や融合を図っている.新築部分の内部にも一部,赤レンガが仕上げ材として使われている.

新築された図書館部分(画面右)と西館(学習・管理部門)の間にある中庭の床仕上げは赤レンガ

さらに,新築部分を無柱空間とするため,東館(開架部門)にある円柱から西館(学習・管理部門)のレンガの外壁まで約30mの長スパンの大梁が中庭をもまたいで架かっている(コチラ).この鉄骨大梁は,西館の外壁に使用されている赤レンガの色彩に合わせ,その補色となる緑色で塗装されている.

30mの鉄骨大梁を東館から中庭上部を超えて西館へと架け,東館内部は無柱空間となっている

東側の開架部門と,中庭(コチラ)を挟んで西側にある参考資料室や学習室,事務室などの学習・管理部門を切り離すことによって,開架部門(コチラ)を気軽に立ち寄り,利用できるよううな日常的で身近な空間としている.

2F平面図
1階平面図

隣接する公園との関係も重視され,公園を利用する人が敷地内や建物内を通り抜けられるようにすることで,図書館と街のつながりを深め,建物の公共性を高めている.You Tube動画は↓

フロアマップはコチラ.詳細な平面図はコチラ
コチラの解説も参考になります.

令和2年の一級建築士「学科」試験で問われた知識です.

【計画問題コード02151】正しい記述かどうか?
金沢市立玉川図書館(石川県,1979年)は,東側の開架部門と,中庭を挟んで西側にある学習・管理部門を分けることによって,開架部門を気軽に立ち寄り利用できる空間とした図書館である.

令和2年に新問題として出題

【解答】○(正しい記述である)

続く

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