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【学科】階段室型って何?

前回からの続きです.

平成17年の一級建築士「学科」試験で問われた集合住宅についての知識です.

【計画問題コード17101】正しいか,誤りかで答えよ.
中層又は高層集合住宅のアクセス方式における階段室型において,住戸へのアクセスが単調にならないように,階段をライトコートと組み合わせて計画した.

【解説】

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「階段室型」とは,↑図のように,各住戸へ階段室から直接,アクセスする形式のことをいい,1つの階段室に対し,2つの住戸がとりつくタイプが一般的です(通称/ニコイチ).各住戸は,2面(端部の住戸は3面)を外気に接するため,採光,通風,プライバシーの確保(他者から干渉を受けない住空間領域の確立)に優れています.さらに,各階の廊下部分の面積が少ないため,その分,共用部分の面積が減り,建物全体における専有面積の割合を高めることが出来ます.

一方,デメリットもあります.例えば,4階建て以上になるとEVの設置が必要となりますが,階段室ごとにEVを設置せねばならないため,設置台数が増えます.当然,EVを稼働させるための電気代やメンテナンス費用もかかります.したがって,中高層の集合住宅には不向きな形式です.また,一つの階段室にしかアクセスできないため,火災時の2方向避難も確保できません.

各階の住戸へのアクセスも決められた階段を使うだけなので,日常的なアクセスが単調となり,暮らしに張りがでません.そこで,階段とライトコートとを組み合わせる計画もあります.階段空間を演出することで,アクセス動線を魅力的なものにします.その分,建設コストはかかってしまいますが,暮らしに潤いが生まれます.

【解答】〇
 続く

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