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【日本建築史】New神社3様式

前回からの続きです.

前回は,日本の神社建築が仏教伝来以降,どういった影響を受け,どのように進化していったのかをご説明しました.今回は,その流れがどんな形で一級建築士「学科」試験問題に出題されているかについて紹介します.

「賀茂別雷(かもわけいかずち)神社(流造り)」は,令和元年の一級建築士「学科」試験問題に出題された知識です.

【計画科目/問題コード01023】
賀茂別雷神社本殿・権殿(京都府)は,切妻造り,平入りの形式をもち,前面の屋根を延長して向拝を設けた,流造りの例である.

【解説】
賀茂別雷神社(京都府・通称:上賀茂神社)の本殿と権殿(仮の本殿)は,同じ造りの建物が2棟,並んでいます.コチラ.切妻造り,平入りの形式をもち,前面の屋根を延長して向拝を設けた「流造り」の実例です.流造りが発生した理由や歴史的背景は,寺社建築から始まった『向拝(こうはい)』という空間の登場にあります.詳しくは,コチラ

流れ造り

【解答】〇

次に,「春日大社(春日造り)」についてですが,令和元年の一級建築士学科試験問題に出題されています.

【計画科目/問題コード01024】
春日大社本殿(奈良県)は,本殿と拝殿との間を石の間でつないだ,権現造りの例である.

【解説】
春日大社本殿(奈良時代,奈良県)は,切妻・妻入りの形式をもち,正面に片流れの庇が設けられている「春日造り」の例であり,千木と堅魚木を設け,井桁状に組んだ土台の上に柱を立てている.

春日大社の立面図・平面図

問題文は「日光東照宮」に代表される「権現(ごんげん)造り」についての説明であるため誤り.

日光東照宮(権現造り)

【解答】×

最後に,「宇佐神宮(八幡造り)」についてですが,平成18年の一級建築士「学科」試験に出題されています.

【計画科目/問題コード18252】
「大社造り」とは,切妻造り,平入りとし,前殿と後殿とを連結し,両殿の間に生じた屋根の谷に陸樋を設ける形式である.

【解説】
出雲大社に代表される大社造りは,切妻・妻入りの形式で,入口が中心からずれた非対称な構成に特徴がある.詳しくは,コチラ

出雲大社(大社造り)

問題文は,「大社造り」ではなく,宇佐神宮に代表される「八幡造り」についての説明であるため誤り.

【解答】×

以上で,仏教伝来以降の神社建築3様式(流造り,春日造り,八幡造り)についてもバッチリです!
続く

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