鴨川等間隔ゾンビ 夏編
BLAM!!銃声に驚いてカモが逃げる。
「ヴァーー!!」
BLAM!!おれは引き金をもう一度引いた。
「ナイッショッ!」
農家めいた麦わら帽子を被った田島がサムズアップする。
対岸に等間隔にゾンビが並んでいる。カップルだ。
9月初旬の京都、三条〜四条大橋間の鴨川遊歩道。田島と俺は、ボランティアでゾンビ退治をしていた。
「この暑さなのに、いるなんてなあ、さすがカップルゾンビ」
6月。突如鴨川に現れたゾンビは、並ぶカップルを次々と襲った。カップルがゾンビとなり、またカップルを襲う。豪雨で減少したものの、市民や観光客から苦情が出た。
8月になってようやく市が対策を始め、駆除ボランティアを募集したというわけだ。
「鴨川以外にもいるんだろ」
「『と、いうわけで』あたりにいるらしい」
俺たちの連絡を受け、市の清掃班が、ゾンビの死体を運ぶ。
「次は姉ちゃんの日傘借りてくるか。ゾンビになっちゃったし」
田島はポツリと言った。
【続く】
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