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わたしの本棚②

 連続投稿チャレンジ二日目。というわけで、先日述べた計画に沿って、本日は②その他の国の歴史関連の本を自分の本棚から紹介させていただこうと思います。

①林志弦『犠牲者意識ナショナリズム』(東洋経済新報社)

 世界で最初に原爆が投下された街の人間として平和教育を受ける中で、私が抱き続けたひとつの大きな言語化できない違和感が腑に落ちた本でした。私が受けた平和教育に欠けていたのは、「そもそも侵略戦争を始めたのは日本であり、非人道的な行いをしていたこと」という点でした。「犠牲者」としてのみ語られる平和教育に対して、なにか薄っぺらいというか、作り物めいた印象を受けたのはおそらくこのためです。


 他国にも自国にも「犠牲」を強いた日本という国に住んでいる私にできることは、人と人とを分断しようとする悪意や意図によってではなく、起こったことを冷静に分析し、記憶し、どうすれば二度とこんなことが起こらないか考え、行動することだけだと思っています。この本を読んで、ますますその思いを強くしました。非常に分厚くはあるのですが、多くの人に読んでいただきたいです。

②ジョセフ・S.ナイ ジュニア 、デイヴィッド・A. ウェルチ『国際紛争―理論と歴史』(有斐閣)

 絶対読んでほしい。
なぜ戦争・紛争が起こるのか、過去の戦争を例に挙げながら様々な視点から解析した本です。私は「戦争はいけないことだ!」とだけ主張する平和教育は平和教育ではないと思っています。戦争が非人道的で起こってはいけないことであることはもう議論するまでもないのですから、それよりも「どうすれば戦争が起こらないのか」、つまり「なぜ戦争は起こるのか」という仕組みの部分を学び、そこからいかにして防ぐかを考えていかなければいけないのではないでしょうか。


 「歴史が何の役に立つのか」という問いへの一つの答えがこれだと思っています。人間が人生を二度生きられない以上、そして何度も実験することができない以上、我々は過去から学ぶことしかできません。戦争・紛争を理論化しようと試みるこの本には非常に価値があると思います。ぜひご一読ください。

③中村元哉『対立と共存の日中関係史―共和国としての中国』(講談社)

 「中ソ関係」に興味はあっても、「日中関係」にはほとんど興味がなかったのですが、こちらの本でより深く知りたいと思うようになりました。そもそも、中ソ関係を語る上で、「日本」という存在は切っても切り離せない国です。清朝末期から1970年代あたりまでの中国の歴史を、日本がどのようにかかわったのかを丁寧に説明しながら解説してくださっています。個人的には、近現代史における日中関係の教科書的な存在だと思っています。

 ところで、現在1950~70年代の中国共産党上層部の権力争いなどについて書かれた良書を探しております。大変お恥ずかしいのですが、東洋史学科卒のくせに、中国近現代史の著名な教授を存じ上げないもので…もしおすすめの本がございましたら、教えていただければ幸いです。

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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