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福祉業界がターゲット設定を行う上で大切にしたいこと

前回は「何を発信すべきなのか」の話をしましたが、今回は「誰に発信すべきなのか」を語っていこうと思います。何事もそうですが、既成概念の解放とターゲット設定が大切です。

情報が届く先にいる「誰か」の姿を想像していますか?

人材獲得のための説明会やイベント、チラシやウェブサイトなどを誰に向け発信しているかを具体的に想像していますか?忘れがちですが、全ての発信はその先に誰がいるのか?を明確にイメージできていないと届かないのです。さらにいうと、情報が届きそうな人にだけ発信し続けていてもいずれは枯渇します。

例えばラーメン屋さん。とんこつラーメンのお店は、とんこつラーメンが好きな人が集まります。それでもお店は成り立ちます。しかし、とんこつラーメンの人気が徐々になくなってきたらどうでしょうか?とんこつラーメン好きな人たちにばかり目を向けていると、いずれ窮地に立たされます。じゃー、「とんこつラーメン好き以外の人に自分のお店に来てもらって喜んでもらえる発信や工夫ってなんだろう?」という思考が必要になるのです。
ここからが肝で、とにかく全人類に向けて発信しようということでは広報は成り立たないんですね。とんこつラーメンを食べたことがある人と、生まれて初めて食べる人と、以前は食べていたけど飽きてしまった人と、それぞれ発信の内容が異なってくると思うのです。
つまり、好きになってくれれば誰でもいいやではなく、明確にどのような人生背景で現在どのような考えや生き方をしている人に来店してほしいのかを細かく考えて設定していかないといけないんですね。
ちょっと例えが個人的趣向に寄り過ぎて失礼しました。ちなみに私は鶏白湯ラーメンが好きです。

福祉業界がターゲット設定を行う上で大切にしたいこと

1. まずは母数を増やそう
ターゲットを設定する上でまずすべきことが、既成概念からの開放です。介護の世界に入るなら、有資格者、昔から介護を志していた根っからの福祉人材・・・そんな既成概念に囚われたまま人材を集めていませんか?ただでさえ人材が少ない福祉業界。まずはその既成概念を捨て去り、広い視野を持つことが大事だと思うのです。

2. どういう人と働きたいのか?を明確に描こう
既成概念を開放できたら先述したような情報を届けたい「誰か」のことを想像するフェーズに入ります。これをマーケティング業界では「ペルソナ」を立てる、といいます。ここでは技術、学歴だけではなく、趣味、生き方まで想像することが大切です。

3. 法人や施設のスタンスと照らし合わせよう
既成概念を開放してまっさらな状態からペルソナを立てたところで改めてその人材を見直して見ると、法人や施設のスタンスが見えてくる。技術や学歴だけでなく、どんなケアをしていきたいのか、スタッフ同士でどのような関係性を作りたいのか、どのように新たな風を吹き込みたいのか・・・ペルソナを元にこれらを整理することは、結果として施設・事業所のブランディングに必要な素材作りにも繋がります。そこで洗い出された自分たちのビジョン、スタンスを練り込み、組み立てたペルソナに届く形での発信方法を検討していくことが大切です。

人材獲得において一番怖いのは、ミスマッチです。お金と労力をかけていろんなものを作ったのに、全然届かない。届いても法人の考え方と合わない。今までこのようなこと、ありませんでしたか?そのようなことがないように発信素材の掘り起こし、選定、ブランディングの伴走まで行うことをクリエイティブディレクションと呼びます。(持論)

横一列から脱却しよう

人材獲得のための発信と言ってもEVENT、WEB、SNSなどその手法は様々です。さらに、それらで使う素材も写真、イラスト、動画などたくさんの種類があります。前回はターゲットを設定したほうがいいよという話をしたので、今回は発信する情報もターゲットに合わせたクリエイティブにしたほうがいいよという話をします。他意はないのですが「笑顔のおじいちゃんおばあちゃんに手を添えて微笑むスタッフ」というありがちな構図では差別化は難しく、届けたい人間の目にとまる内容にすることが大切です。まずはWEBやSNSのクリエイティブから整えることをおすすめします。ポイントを整理していきます。

クリエイティブの整理はロゴと写真から

クリエイティブコンテンツを整理する上でまず手がけるものとしてオススメなのが、ロゴと写真です。御社のロゴは、時代にあったものになっているでしょうか?Googleやスターバックスも、時代に合わせ、より多くの人に受け入れられやすいデザインにアップデートをしています。ロゴは施設や法人の顔です。時代に乗り遅れないデザインを取り入れていきましょう。
次に写真素材です。フリー素材を使うこともあるかもしれませんが、できるだけオリジナルのものを撮影しましょう。フリー素材を使っている別々の事業所が同じような写真を求人広告に載せているのを見かけますが、これではパッと見た時に違いが全くわかりません。スタッフの表情や施設の雰囲気が伝わるための大切な判断材料になりますので、老若男女、多くのスタッフに協力してもらい、どうしたら自分達らしい個性が出るのかを考えて撮影するロケーションやシチュエーションのアイディアを出し合い、撮影者に伝えるようにしましょう。
汎用性が高く、一番に目に触れるこのふたつの素材によって、その後作られる全ての制作物のクオリティが左右されると言っても過言ではありません。これらはとことんこだわって良いものを作ることをオススメします。

コンセプトをふんだんに盛り込んだクリエイティブの事例

では、実際にどのようにクリエイティブコンテンツを整えていくのか。私たちの事業所「WASSUP」の事例をみていきましょう。Ubdobeが2021年に立ち上げた事業所「WASSUP」は居宅介護、重度訪問介護、移動支援などを展開する事業所です。「今までの人生では見たことのなかった景色を見に行こう」「福祉の既成概念を超えて人間や物事の本質を見つめよう」「利用者と共に一度きりの人生を楽しもう」というようなコンセプトでやっていくことにしたのですが、私たちの思い描く事業所を作るには、もちろん上記のコンセプトに共感してくれる人材を集めなければなりません。
そこで私たちはターゲットとして
・「自分らしく生きる」ことを大切にしている人
・「福祉らしい福祉」に物足りなさや息苦しさを感じている人
・おしゃれや趣味を楽しみたい若年層
というペルソナを立て、彼らに目に留めてもらえるような素材のクリエイティブを考えました。

まずは、作りたいクリエイティブのイメージ画像を片っ端から検索して保存します。WASSUPの時は、そのほとんどがHIPHOPアーティスト界隈のビジュアルでした。そして、ついつい自分達の若い頃に流行ったデザインを選びがちですが、そこはぐっと堪えて「今の時代のもの」を選びました。最新の表現と事業所のコンセプトを掛け合わせることで、今のHIPHOPや音楽やエンタメが好きな人により届くものにまとまっていくはずだと思ったからです。

そこから、集めたイメージ画像を元に各デザイナーと相談を重ね、ロゴデザイン、WEBデザインを整えていきます。当時WASSUPはまだオープン前だったため、写真素材を撮影することが難しいという問題がありました。そこで、イメージするスタッフや利用者の姿をイラスト化して散りばめることで、見る人に実際の雰囲気を連想してもらえるように工夫しました。

結果、現在働いてくれているスタッフは、WASSUPの広告画像やWEBを見て「ここで働きたい」と思ってくれた人がほとんどで、ファッションも髪の色も様々。まさにターゲットに設定した通りの人材が集まって来てくれています。

デザインはデザインのプロに!

こんなことを書くとあたかも自分達で作ったかのように思われるかもしれませんが、これらほとんどの素材の実際の制作は、各分野に精通したデザイナーに制作を依頼しています。皆さんの職場は、ただでさえ忙しい現場かと思います。介護には介護のプロがいるように、ロゴ、写真、WEB、動画、それぞれの分野ごとにプロが存在するので、彼らに存分に頼りましょう。

一方で、それぞれバラバラに「丸投げ」してしまうと、最終的な統一感がなくなってしまうという懸念が生まれます。さらには、自分達が作りたいものに適したデザイナーを探し出すことも、慣れないうちはそれなりの苦労だと思います。そこで必要になるのが、一つのコンセプトを元にそれらの全てをまとめあげる、クリエイティブディレクターです。そして、このクリエイティブディレクションにおいても、プロがいます。自分たちで考え抜いたものを基にどんどん人を巻き込んでいき、良質なクリエイティブコンテンツを制作していきましょう!

次回は今回できなかった別の発信方法、「イベント」についてお話しします!
お楽しみに!

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