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読書メモ: リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本

 ネットワーキング・チャレンジ読書。人脈というものをいかにとらえるかについて数冊の本を読み重ねてきましたが、ようやく目指すところに辿り着いた気がします。社会関係資本論の名論文を集めた論文集です。

 人脈をアカデミックに研究する分野、それは社会関係資本論あるいは社会ネットワーク論です。やっぱりこういうジャンルがあったのですね!

 本書はこれまでの社会ネットワーク論の転換点となるような7つの論文を、日本での研究の第一人者である野沢氏が一冊にまとめ、解説を加えたものです。

第1章 ノルウェーの一島内教区における階級と委員会
第2章 都市の家族
第3章 小さな世界問題
第4章 弱い紐帯の強さ
第5章 コミュニティ問題
第6章 人的資本の形成における社会関係資本
第7章 社会関係資本をもたらすのは構造的隙間か

 そうそう、こういうのを求めていたんですよ。

 3章のミルグラムの「小さな世界問題」は、手紙を繋いでネブラスカからボストンまで何人でたどり着くかという、非常に有名な実験で、私もぼんやりと内容は知っていました。いまでこそその手法や分析に疑問符がつくものの、アイディアはすごい。悪名高き「権威への服従実験」もうそうですが、ミルグラムって実験デザインの天才……なのかな? あまりよく知りませんが。解説でも触れられているように、インターネット・SNSが隆盛を誇る今、より新しく洗練された研究が待たれます。というか多分あるのだろうと思います。

 また、ロナルド・S・バートの「社会関係資本をもたらすのは構造的隙間か」はまさに「なぜ人脈が社会的な成功と関わるか」という問いにおいて示唆的です。人脈がいかに「社会資本」として成り立つのか、グラフ理論をもとにを論じつつ、閉鎖的なコミュニティ内での結合量が多い人よりも、コミュニティを超えてつながる人のほうが業績や昇進、給与などの面で優位であることが多いと論じています。

 読み進めるうちに、昔「孤独なボウリング」が翻訳されたときに流し読みしたことを思い出し、そうだ、これが社会ネットワーク論だったのだと今更ながら気付きました。

 とにかくアメリカのコミュニティが衰退していってヤベーという内容だったという記憶しかないですが、それでも十数年かけてなにかが私の中で繋がったような気がしたのでした。

 自己啓発本からは解放され、しばらくはこの分野の代表的な本を読んでいこうと思います。

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