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読書メモ: 受験と進学の新常識

 個人的に絶賛開催中の中学受験を研究しようキャンペーンで手に取りました。

 以前よりおおたとしまさ氏の書いているものはそこここで目にしていたと思います。まともな書き手だな、という印象はありました。本書は各所で書かれたもののダイジェスト的な内容とのこと。先日読んだ瀬川松子「中学受験の失敗学」に比べるとかなりちゃんとした本ですね。

 第一章は中高一貫校の栄枯盛衰や近年のトレンドなどがわかり、参考になりました。また、学校がわの受験日や受験回数、定員設定などによる偏差値操作についても触れていました。これは大学受験においても似たようなことが昔からあるので、中学受験もそうなんだなあ、ビジネス的には見た目の数字を上げることは切実な問題ですよねーと心がちょっとキュンとした次第です。第三章の鉄緑会の話も感心しました。学校教育と塾での学習が補完関係にある、というのがいいのか悪いのかわかりませんが現状認識としては納得です。

 なかでも一番得るものがあったのは、第六章で言及されている首都圏中学模試センターの「思考コード」でした。これ、とってもいいフレームワークじゃないですか?

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 結局仕事や人生において大事なことって、いろんな経験や学習内容からC-1,C-2,C-3にあたるような考えを導きだすことだと思うんですよね。

 「学校の勉強など社会に出たら役に立たない」などという戯言をたまに目にすることがあり、いつも哀れを誘うのですが、それはお前がその程度のクオリティの仕事しかしていないからであるということと、そういう人にとって勉強とはAレベルの問題を解くことだという勘違いがあるのだと思うんですよね。学校で習ったことって、生きていく上ですごく役に立ちますよ。

 これは学生だけではなく、社会人にとってもいかに学ぶか、あるいはスキルを習得することの指標になるのではないでしょうか。とかく目が向きがちな資格試験ってその多くがA1,A2もしくはB1からB2くらいまでですから、その知識や技術の運用能力を保証するものではないんですよね。結局それが血肉となり結果につながっていくのはCレベルの思考ができるどうかだと思います。

 これは教育目標分類学というジャンルだそうで、全く知りませんでしたが、いいことを教えてもらいました。

 おおたとしまさの著作は信頼できそうですね。多数出版されているようなので他のも読んでみます。

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