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2050年都市ビジョン提言書 ver2.0

「Urban+Planning VISION 2020(提言書ver1.0)」の公表から3年、研究会メンバーを増強してさらに検討を続けてきました。このたび「2050年都市ビジョン提言書バージョン2.0」を2024年5月29日に公表しました。

【要旨】

人口減少・超高齢社会、大規模災害の頻発、新型コロナウイルス感染症の脅威など、わが国を取り巻く社会・経済情勢が以前にも増して変化する中、都市づくりも新たな時代への対応が求められている。
このため、都市計画コンサルタントや行政職員、学識経験者からなる「2050年都市ビジョン研究会」を立ち上げ、わが国における望ましい都市の将来像(今から約30年後の2050年を想定)を描き出していくこと、そしてバックキャスティングアプローチによりその実現に向けて都市づくりの取組みの方向性を提言すること、さらには、行政や学会、都市計画コンサルタント業界をはじめとする幅広い関係機関に対して発信活動を行うなど、社会に問題提起していくことを目的に活動した。

バックキャスティングの概念

本研究会では、公益社団法人日本都市計画の学会研究交流事業として採択を受け、2021年度~2023年度の3ヵ年にかけて活動を行い、このほど「2050年都市ビジョン提言書 バージョン2.0(Urban+Planning VISION 2050 ver2.0)」(以下、提言書ver2.0)をとりまとめた。
提言書ver2.0は2021年5月にとりまとめた提言書ver1.0のバージョンアップ版であり、提言書ver1.0で行った提言の更新に加え、将来都市像を見据えた3つの重点テーマ(日常生活圏、都市圏、モビリティ)を設けて提言を行った。また、今後の時代の要請に応じた都市計画・まちづくりを実現していくために求められる都市計画制度・手法に関する提案を行った。

【提言のポイント】

1.共通理念は「つながる都市」
2050年の将来都市像の共通理念は提言書ver1.0を引継ぎ「つながる都市 近くにいなくてもつながる時代だからこそ、出会い、交流し、ともに暮らす価値が得られ「真につながる」都市へ」とした

図:将来都市像の共通理念「つながる都市」のイメージ

2.重点テーマの提言
提言書ver2.0では3つの重点テーマ(日常生活圏、都市圏、モビリティ)を設けてテーマに対する提案を行った。
①   これからの時代に対応した日常生活圏を再構築する「修復型近隣住区論」の提案
日常生活圏について、「修復型近隣住区論」を提案した。
我が国における近隣住区論は、新市街地など主に「都市をつくる」場面で適用されることが多かったが、今後避けられない既成市街地の「再生・修復」に役立つ、近隣住区論の応用版が必要ではないかという問題意識から提案を行った。具体的には、圏域の考え方を「自宅(自分自身)を中心」に考える発想の転換を行い、自宅を中心に徒歩15分圏に求められる都市の機能や空間、移動手段の修復の姿を描いた。例えば、働く・小商いをするといった働き方・自己表現の多様化に対応して住区の機能を修復することや、既存の街路・河川・軌道等を公園や緑をつなぐ「パークコネクター」として修復するといった、新規整備ではなく修復により着実に日常生活圏の価値を高めていくことを意識して提案をまとめた。
②   広域都市圏マネジメント
生活圏域が広域化し,広域的な都市インフラの整備が進捗する中、都市は自治体それぞれが計画し整備や運営が行われており、コンパクト+ネットワークの実現や防災・減災への対応の面で限界を迎えている。
人口減少、超高齢化社会を見据えると、生活実態に対応して、都市間連携による広域行政で、目的・機能に応じた圏域を計画・管理・運営することが必要という提言を行った。
③   自動運転時代のモビリティマネジメント
自動運転技術の開発が急速に進展しているが、作る側の取り組みが先行し、社会や都市の取ってどのように使いこなしていくことが望ましいかの検討が立ち遅れている。
「これからの時代に対応した近隣住区論」「新たな広域都市圏連携」などを推進し、よりよい都市を作り上げるために、全ての交通モードのオープンデータをリアルタイムで収集し、自動運転技術を活用して全体最適を実現する都市交通マネジメントが必要という提言を行った。

3.ディスカッションを追従・誘発する動的なビジュアルの作成プロセス
提言書ver2.0では金城正紀氏(法政大学兼任講師、東京家政大学非常勤講師、社会環境設計室代表)の協力をもと、最終的にとりまとめた提言に対してビジュアルをつくるのではなく、ディスカッションと3Dモデルによるビジュアル化を並行して行い、ディスカッションに追従してビジュアルを変化させていったり、ときにはビジュアルが新たなディスカッションを誘発していったりする関係性となるようなプロセスで両者を同時に進展させていった。
また、ビジュアルデータは提言書ver2.0に取り入れる(静的活用)だけでなく、webを介して提言書には無い視点からも閲覧可能となり、必要に応じて体験もできる(動的活用)ようにも取り組んでいる。

ディスカッションを追従・誘発するVRイメージ(シーン抜き出し)

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4.新たな時代の要請に応じた都市計画制度・手法の見直しを提案
提言では、望ましい都市の姿だけでなく、以下のような都市計画制度や実現化プロセスに関する提案も行っている。提言書ver1.0は提案④までであり、提案⑤~⑦はver2.0にて追加したものである。

提案①:強いスケルトンと柔軟なインフィルの両面を併せ持ったマスタープランへ
提案②:容積ボーナスから、アクティビティボーナスへ
提案③:自分のまちの都市計画にコミットできる都市計画税制へ
提案④:これからのニーズに対応できる都市計画コンサルタントへ(ホームドクター型、官民連携伴走型、プロジェクトマネージャー型など)
提案⑤:都市の装置として地域で支える公共交通へ
提案⑥:道路構成の明確化と歩行者と公共交通が主役の道路交通へ
提案⑦:新たな広域都市圏の仕組みづくり





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