見出し画像

シンガポールを視察Vo.2 緑化政策から持続可能な「サスティナブル・シティ」へ

2024年1月、3泊5日でシンガポール・マレーシアの視察に行ってきました。近未来型の巨大植物園があり「クリーン&グリーンシティ」と呼ばれるシンガポールは、土の循環を目指すupsoilの参考に訪れたい国の一つでした。

国を挙げて緑化政策に取り組むシンガポール視察の感想を3回に分けて書きます。今回はVol.2でサスティナブル・シティについて書きます。Vol.1は緑化政策についてです。

近未来型の植物園と持続可能な「サスティナブル・シティ」の追求

マーライオン公園の近くにある「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」は、世界最大のガラス温室としてギネス世界記録を持つ「フラワー・ドーム」や、高さ35メートルの人工滝がある「クラウド・フォレスト」、高さ25~50メートルの人口樹「スーパーツリー・グローブ」があり、東京ドーム約21個分の敷地面積で、シンガポール観光の目玉的存在ですが、「環境の持続可能性の原則」をコンセプトとした近未来型の植物園です。

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ
(俯瞰した写真が撮れなかったのでストックフォトです)

視察記録Vol.1で書いた「緑化政策」から35年後の2002年、シンガポール政府は、持続的な環境維持を目指す「シンガポール・グリーンプラン2012」を発表し、緑豊かな「ガーデンシティ」から持続可能な「サスティナブル・シティ」の追求へと移行しています。

この持続可能な「サスティナブル・シティ」の一環として建設されたのが「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」です。

雨水は園内の植物の灌水に使用

「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」でひときわ目を引く、「スーパーツリー・グローブ」。18本の人工的な樹が並んでいます。

1月のシンガポールは雨季、空色が若干残念ですが・・実際はとても清々しく圧巻でした
こちらは俯瞰のストックフォト

スーパーツリーをつなぐ地上22メートル、全長128メートルの空中散策ができる「スカイウェイ」もあります。夜には光と音のショー「ガーデン・ラプソディ」も行われ、まさにシンガポールの観光の目玉スポットです。

私のiPhoneで撮影。何気にとっても写真映えする高い光のショー。
平日も毎晩開催され無料で見れます。
↑写真の下の方に写っているのが、スマホ片手にショート見ている観光客

ショーを観にくる人出がすごい!別府には、こんなナイトの観光スポットが必要だと思いました。子供から大人まで楽しめる無料で見られるナイトショーがあれば、ホテルにチェックイン後にもう一度出掛けるし、周辺屋台の飲食も繁盛する、いい事づくめな気がするけどなぁ・・。

以前、地獄めぐりで、湯煙を活用したプロジェクションマッピングみたいなライトアップイベントがあったなぁ。。それが毎日あればいいのにーーーー、長野市長やってください!

さて観光に話がそれましたが、この光と音のナイトショーが行われる「スーパーツリー・グローブ」は、実はサスティナブル。

光を電気エネルギーに変え、雨水の受け皿となり、そしてフラワー・ドームやクラウドフォレストの換気口としての役割を担っているそうです。
集まった雨水は園内の植物の灌水に使用され、またスーパーツリー上部に設置された太陽光発電パネルで作られたエネルギーはスーパーツリーのショーや2つのドームの空気を冷却するための電気供給源となるなど、エネルギーの水の持続可能なサイクルの一部となっており、まさしく“スーパー”ツリーと言えます。

【シンガポール】ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの華やかな表舞台を支える立役者│SDGs

バイオマス発電と肥料化

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ内にある、バイオマス発電を行うエネルギー資源センター
バイオマス発電を行うエネルギー資源センターのモニター
引用:ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの循環の仕組み(簡略図)

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイのみならず、緑化政策によって市内のあらゆる場所に緑が溢れるシンガポールでは、年間約50万トンの間伐材、木からの落ちた小枝、樹皮、乾燥した葉などの「園芸廃棄物」が排出されます。それをバイオマス発電所に集め、動力源として発電に利用されています。

発電した電気は、ドーム内の空調や照明にも使われて、発電した際に排出される燃えかすは、肥料化して植物の栄養分として植物に還元しています。

高さ35メートルの人工滝がある「クラウド・フォレスト」
エキゾチックな植物に覆われた建物の中に登れます
シンガポールの74%は中華系の人々で、チャイニーズ風の装飾も多く見かけました
旧正月の飾り付けの時期だったのもあるかもしれません
大きなオリーブ?
ミストで湿気はありますが、館内は意外に寒い
なんだかかっこいい流木アート

大きい政治の力、沈みゆくニッポン

シンガポールの国会は一院制。国民の直接選挙で当選した議員、非選挙区選出議員及び任命議員から構成されています。

選挙の投票率は驚きの93%越え!ですが、そのカラクリは、投票に行かなかった場合、選挙人名簿から名前が抹消され、さらに50シンガポールドルの罰金が科せられるそうです。そして、国会が一院制だから選挙の回数が少ないことも理由だそうです。

天然資源の乏しいシンガポールが、たった20年で日本を上回る経済大国へと急激に成長できたのは、政治の力、国家の意思決定なのだと思います。低い法人税での外資系企業を誘致し、相続税を設けない。また教育にも熱心で、徹底した実力主義およびエリート教育だそうです。さらに、世界的に有名な大学の分校の誘致も上手く、海外からの教育留学も増え、優秀な高度人材が集まる仕組みが作られています。

このように発展が続いているように見えるシンガポールですが、実は出生率は驚くほど低く、2018年で1.1、日本の1.4よりも低い状況です。ここでも政府は戦略的な政策へと舵を切りました。しかしそれによって「外国人に職を奪われている」という声が上がり、現在はホワイトカラー人材と労働者人材の中間職のビザの発行を厳しくしているそうです。

ここからは、私的な意見ですが・・

沈みゆくニッポンにならない為に、私たちにできることはなんだろう。失われた30年の延長線上ではない、大胆なシフトが不可欠なのでは?

日本でも議論が出ている「道州制」にすることで、その地域の個性を活かし、振り切った施策が、ある程度の経済規模でできるのではないか?

シンガポールの強い政治力は、コンパクトなサイズ感だからできるのではないか?(イギリスによる植民地化、日本軍の支配下にあったなど、反骨精神や多民族国家であるなど他にも理由にあると思いますが)

コンビニでベットボトル500mlの水が300〜400円、サントリー角瓶700mlが1万円以上、入場料やサービス料など物価の高さは、安いニッポンを実感しました。(アメリカはもっと高いのだろう・・)

そりゃー、インバウンドで日本で爆買するわ。ちなみに、シンガポールの8割の人が2回以上、日本に旅行に来ているほど日本は人気の旅行先。大卒初任給は40万円以上だから、富裕層でなくても日本旅行は当たり前のようです。

次回は、シンガポールには山がない、だから「水」も「土」も大切。を予定しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?