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シンガポールを視察Vol.1 国を挙げて緑化政策に取り組む

2024年1月、3泊5日でシンガポール・マレーシアの視察に行ってきました。近未来型の巨大植物園があり「クリーン&グリーンシティ」と呼ばれるシンガポールは、土の循環を目指すupsoilの参考に訪れたい国の一つでした。

国を挙げて緑化政策に取り組むシンガポール視察の感想を2回に分けて書きます。(1記事の予定でしたが、書きたい事が多く2分割)

シンガポールは2度目でした。1度目は20数年前、当時はまだ円が強く、1シンガポールドルは80円ほどで、ブランド物を買うと日本より若干安く、バブルの名残りでシンガポール旅行はブームでした。マレーシアでガイドについてくださった日本語ガイド歴30年のエリックさんは、1980〜90年代は日本からの団体ツアーが多く、とても忙しかったと話してくれました。最近の日本語ガイドの仕事は減ってしまい、日本からの修学旅行がメインそうです。

シンガポール視察の目的

upsoilは「土は限られた貴重な資源」という考えのもと、農学博士と共同開発で「土のリサイクル再生材」と「循環培養土」の商品開発をしています。

このupsoilの海外展開を考えた時、土地が狭く都会であるシンガポール、香港、韓国はいけるのでは?と漠然と気になっていました。

今回は、シンガポールとマレーシアの都市開発イスカンダル計画の現場を現地不動産会社さんのガイドで視察できるというお誘いをいただき、思い切って行ってきました。

暮らしぶりや価値観が知りたかったこと。そして、近未来型の巨大植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」、巨大ドーム型植物園「フラワードーム」と「クラウドフォレスト」も体験したかったことが理由です。

異次元の緑化空間!

ジュエル(Jewel)「レイン・ボーテックス」
(残念ながら俯瞰で上手く撮れなかったのでこちらの写真はストックフォト)

ウェルカムは、チャンギ国際空港に直結する複合施設ジュエル(Jewel)。

ジュエルは宝石のような形をしたドームの中に、巨大屋内ガーデン「フォレストバリー」、まさに森のように大量の植物(約3000本)が植えられ、その中心に世界最長の人工滝「レイン・ボーテックス」、そして空中を走るような電車(スカイトレイン)が横切っています。まるでSF映画の中にいるような素敵な空間で、まさにupsoilが叶えたいアーバンガーデニングそのものでした!

ちなみに、ジュエルの設計デザインは、「マリーナベイ・サンズ」を建築したモシェ・サフディ氏。

世界最長の人工滝「レイン・ボーテックス」
JEWELを通り抜ける電車 スカイトレイン

2030年、建物の少なくとも80%を緑化

シンガポールはマレー半島の先端にある、東京23区ほどの小さな国で、1965年に独立した若い国です。しかも一切の天然資源がない貧しい国が緑化を推し進めることは「海外から信頼され、国際的な競争力を高める国作り」に必要だったようです。

グリーンに包まれるビル

独立から十数年で、強力な外資導入により、急速な経済発展を遂げ、アジアトップレベルの国に発展したその要因の一つに、緑化政策があったことは、都会的な住環境において、人間の暮らしに植物は欠かせない。というupsoilの思想の裏付けになります。

シンガポール政府は、2020年から2030年までに植樹本数を倍増させ、建物の少なくとも80%を緑化することを目標に掲げています。(さらに倍増させたらどれだけ緑が広がるんだ!と思いますが・・)ビルの屋上・壁面の緑化費用はその50%を政府が助成金を出しているそうです。

歩道横の生垣
ビルの間に緑
街路樹のサイズも大きく、歩道と車道の間の植え込みの幅がたっぷり
ちょっとしたところにも当たり前に植栽
とにかく木々が大きい!
植栽のメンテナンスをする作業の人を見かけました
土は人工的な玉?

初代首相リー・クアンユーの緑化政策

シンガポールは赤道直下にあり、四季のない熱帯性モンスーン気候。最高気温は31度、最低気温は24度で、この熱い日差しを遮ること、またシンガポールを訪れる人々へ快適で清潔なイメージを与えることを目的の一部とし、建国から2年後の1967年に、初代首相リー・クアンユーが「緑化政策」を打ち立てたそうです。

緑化政策のメリットは

  1. 都市環境の改善: ビルの緑化はヒートアイランド現象の緩和します。緑化政策は都市環境を改善し、生活の質を高めます。樹木や公園は都市の温度を下げ、空気を浄化し、都市の美観を向上させることができます。

  2. 持続可能な開発の促進: 限られた土地資源の小国では、持続可能な開発が特に重要です。緑化政策は、都市開発と自然環境のバランスを取り、生物多様性を保護する役割を果たします。

  3. 気候変動への対応: 緑化は、気候変動に対処するための重要な手段です。植物は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで、地球温暖化の緩和に貢献します。

  4. 社会的・心理的な利益: 緑の空間は、市民の健康や福祉にも良い影響をもたらします。自然との接触はストレスを減少させ、精神的な健康を促進するとされています。

  5. 観光の魅力向上: シンガポールは「ガーデンシティ」としてのイメージを強化し、観光客を引き付けるためにも緑化政策を推進しています。有名なガーデンズ・バイ・ザ・ベイやボタニックガーデンズなどは、この戦略の一環です。

  6. 国民の意識向上: 緑化政策を通じて、環境保護や持続可能性に対する国民の意識を高め、より環境に優しいライフスタイルを促進することも狙いの一つです。

山が無いから。「水」も「土」も大切だと市民は知っている

現地ガイドのジェームスさんによると、市民はみんな植物を大切にしているそうです。シンガポールには山が無いから水が無い、そして土も無い。だから、水も土も大切だと市民はみんな知っているそうです。

水は大きな3本のパイプをマレーシアから引き入れて確保。土や植物もマレーシアからの輸入に頼っているそうです。週末には、シンガポールから国境を超えてマレーシアへ買い物に行くのが当たり前だそうです。

地震の無いお国柄、大胆にベランダの手すりに植木鉢が置いてある風景が多く、大型植物もベランダで栽培されていました。市民はもっと植物を増やしたいと思っているのだそうです。(現地ガイドのジェームスさん談なので偏った意見かもしれませんが・・)

そして政府は市民のストレス解消のために街中に大きな公園を整備し、実際に週末は公園に出かける家族や若者が多いそうです。

日曜日の街中の公園 大学生なのか、多くの若者がお弁当を広げていました
日曜日の街中の公園 若者がめちゃ楽しそうに集っていました

話は逸れますが、若い人がめちゃ多く人手不足感はゼロ!支払いはキャッシュレスが当たり前ですが、自動レジや自動精算機はなく、日本の飲食店で最近よく見かける、配膳の猫ちゃんロボットもいませんでした。マレーシアからの出稼ぎの人が支えているそうです。

以上が、シンガポールの緑化政策についてを書きました。

続きは、シンガポールを視察Vo.2 緑化政策から持続可能な「サスティナブル・シティ」へ。をお楽しみに・・


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