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第35回「下水道施設における新たな工事出来形確認手法の構築」

UPGRADE with TOKYO 第35回(テーマ「下水道施設における新たな工事出来形確認手法の構築」)を開催しました

東京都が抱えるさまざまな課題の解決に向け、これまでにない製品・サービスをスタートアップ企業が紹介するピッチイベント「UPGRADE with TOKYO」が1月15日(月)に開催されました。
第35回目となる今回のテーマは「下水道施設における新たな工事出来形確認手法の構築」。UGV(無人地上車両)・ドローンをはじめとしたロボット技術、点群処理や画像処理技術等を有した企業5社がピッチに臨み、ドローンに関連したハードウェア、アプリケーション、フライトコントローラ等を自社で製造・販売している株式会社Liberaware(リベラウェア)が優勝しました。

新たな工事出来形確認手法の構築――より安全で効率的な確認作業の導入を目指して

東京都下水道局では、老朽化した下水道施設のリニューアルや頻発する豪雨への対応を進めるため、様々な工事を実施しています。
下水道工事の完成時には、検査担当職員が現場で、形状や寸法といった出来形を施工管理基準に照らし合わせて確認していますが、高所や狭隘(きょうあい) 、硫化水素など有害なガスが発生する所があるなど、特に安全対策に労力と時間を要しています。
そこで、下水道施設内で人が容易に近づくことの出来ない所において、3D測量や画像認識AI等の活用により、人による確認作業の代替となる、新たな工事出来形の確認※手法を募集しました。

※工事出来形の確認:工事の受注者が契約図面のとおりに構造物を築造しているか、引き渡しを受ける前に発注者が確認する行為

■優勝社:エントリーNo.5 株式会社Liberaware
『狭小空間専用ドローンと3Dデータ生成技術によるソリューション』

優勝した株式会社Liberawareが提案したのは、狭小空間に特化した特殊小型ドローン「IBIS」によって現地を撮影し、その映像をもとに3Dモデル化することで、人が立ち入ることができないエリアにおける工事出来形確認を行う取り組みです。
 
一般的なドローンと比較しても非常に小型でありながら、通常のドローンでは姿勢制御が難しい地面や天井、壁付近でも安定して飛行でき、暗く粉塵の多い空間でも精細な映像を撮影できるカメラを搭載した自社製ドローン「IBIS」によって現場を複数回に分けて撮影し、取得した動画から画像処理技術(SfM)を活用して3Dモデルを作成、契約図面との比較を行います。
 
本ピッチにおいては、提案機器が出来形確認に求められる精度(誤差±20mm)をどのように確認を行い、実現ができるのか、また、立ち入りに制約がある箇所に対しても無人測定が可能か、出来形確認作業がスムーズに行うことができる時間軸で契約図面との比較を図ることができるかという点が重視されました。

その中で、自社製ドローンの下水道環境における適応可能性の高さと、下水道の現場における運用イメージが明確であり、今後の実証実験に対する技術的な課題も併せて提案がなされていたことが評価され、株式会社Liberawareが優勝しました。

■審査委員特別賞:エントリーNo.4 株式会社イクシス
『公共インフラの3次元データ作成業務数日本一の会社がお届けする出来形計測サービス「Field DX」のご提案』
また、本ピッチでは株式会社イクシスが審査委員特別賞に選ばれました。株式会社イクシスは、現場の環境に併せてドローン・地上型スキャナ等を組み合わせて点群データを取得し、点群図面化サービス「Field DX」を用いて3Dモデル化、BIMデータと差分比較を実施するソリューションを提案しました。

■エントリーNo.1  APEX株式会社
『三次元測量プラットフォーム 非GNSS環境への応用』
APEX株式会社は、UGVや犬型ロボットを使ったデータ取得と、データ解析アプリ「SIMPLE-POINT」を活用したデータ解析・管理によって工事出来形を検測するソリューションを提案しました。

■エントリーNo.2 nat株式会社
『高精度3Dスキャンアプリとドローンを活用した工事出来形確認ソリューション構築』
nat株式会社は、レーザースキャンアプリをインストールしたiPhoneをUAVに搭載することで現場のデータを取得し、3D作成アプリ「Scanat」による3D化・出来形確認を行うソリューションを提案しました。

■エントリーNo.3 CalTa株式会社
『デジタルツインを活用した工事出来形確認手法の構築』
CalTa株式会社は、ドローンやロボット等によるデータ取得と、自社プラットフォーム「TRANCITY」によるデータ解析・3D化を行うソリューションを提案しました。

今回のピッチイベントは、東京の下水を集め、きれいにする下水道施設の中に存在する危険なエリア(高所や狭隘、硫化水素などの有害なガスの発生箇所など)での工事において、職員が直接的に計測することなく出来形を確認できる新たな手法を募集するものでした。

優勝した株式会社Liberawareとの協働プロジェクトをはじめ、下水道工事における安全確保・効率化が進展し、また、その上で都民の生活がより良いものとなることを願っています。

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